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ディスカッション・ペーパー

>平成15年度 >

企業結合による価格変化に関する実証分析

企業結合による価格変化に関する実証分析

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「企業結合に関する株価イベント分析」(2004年5月)
 深町 正徳(競争政策研究センター研究員)
 牧野 舞(競争政策研究センター研究員)
概要
 近年,競争法の運用や競争政策の企画・立案に当たり,経済学的な分析を積極的に導入することが重要であるとの認識が高まってきている。本論文は,過去に比較的大きな企業結合が行われた産業のうち,石油製品,炭素製品,セメント及び段ボールの4産業を取り上げて,米国の研究事例で採用されている分析手法も参考にしつつ,分析対象製品の価格を被説明変数,需要やコスト等の価格変動要因を説明変数として回帰分析を行い,企業結合前後における価格変化に関する実証分析を試みたものである。また,企業結合以前の状況が継続していれば実現したであろう価格(予測値)を推計式により算出し,実測値との乖離をグラフ化する試みも行った。さらに,企業結合当事者やそのライバル企業・取引先企業等に対し,企業結合が市場に与えた影響等に関するアンケート調査・ヒアリング調査を行い,価格変化の背景等の把握も併せて行った。
 分析結果によれば,一部の事例において,企業結合の時期を境に価格が,それ以前の状況が継続すれば実現したであろう水準よりも有意に数%~十数%上昇しているものがみられた。特に,企業数が少なく,新規参入圧力や国際競争圧力のない製品において, 企業結合後価格が上昇する傾向がみられた。また,今回の分析を通じて,分析期間中に行われていたカルテルや業務提携による価格上昇など,企業結合以外の要 因による価格の変化についても実証することができた。さらに,実測値と予測値のグラフ化により,企業結合の前から実測値が予測値を上回る傾向もみられた。
Key Words: 企業結合,価格分析,誘導型価格方程式,Beach and MacKinnon の方法,石油製品,炭素製品,セメント,段ボール
JEL Classification Number: D43, K21, L13, L49, L61, L65, L69
CPDP
11-J(PDF:1,969KB)

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