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企業結合に関する株価イベント分析

企業結合に関する株価イベント分析

タイトル,著者,概要 本文
(PDF)
「企業結合に関する株価イベント分析」(2004年5月)
 深町 正徳(競争政策研究センター研究員)
 牧野 舞(競争政策研究センター研究員)
概要
 近年,競争法の運用において経済分析の重要性が高まってきている。中でも,企業結合の審査では特に,企業結合前の時点で企業結合後の競争状況を予測するという性質上,経済分析が重要視されることは当然であり,米国連邦取引委員会等においても,株価イベント分析が実際の企業結合審査に用いられているといわれている。
 株価イベント分析を競争法の運用に適用する場合,同分析により把握される株価の変化(投資家による企業の期待利益の予測の変化)を市場の競争状況に関する予測の変化に変換しなければならないことから,まず,公正取引委員会が実施したアンケート調査結果も交えながら,企業結合当事者やライバル企業の市場行動原理について合理的な仮定を置きつつ,ある程度普遍的に適用可能な「変換」の考え方について整理を行った。
 次に,上で整理した考え方に基づき,石油製品,炭素製品,セメント,段ボールの4産業において過去に行われた企業結合(10事例)を対象として実際に株価イベント分析を行った。分析結果によれば,企業結合当事者の効率性が改善し社会的総余剰が増加すると考えられる事例が3事例であるのに対し,企業結合当事者の効率性が悪化し社会的総余剰が減少すると考えられる事例が5事例であった。
 なお,この結果は株式市場が完全であることを前提としているが,日本ではこの点が疑問視されていることもあり,株式市場の予測に関する推定結果の正確性について,今後事後的に検証を行う意義は大きいと考えられる。
Key Words: 企業結合,株価イベント分析,アブノーマルリターン,石油製品,炭素製品,セメント,段ボール
JEL Classification Number: D43, K21, L13, L49, L61, L65, L69
CPDP
12-J(PDF:214KB)

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