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(平成10年度:事例2) 旭化成工業(株)及び三菱化学(株)のポリスチレン樹脂事業の統合(平成10年8月営業譲受け届出受理,10月営業譲受け)(新会社名 エー・アンド・エムスチレン(株))

(平成10年度:事例2) 旭化成工業(株)及び三菱化学(株)のポリスチレン樹脂事業の統合(平成10年8月営業譲受け届出受理,10月営業譲受け)(新会社名 エー・アンド・エムスチレン(株))

1 本件の概要

 本件は,旭化成工業(株)及び三菱化学?鰍ェ,ポリスチレン樹脂事業に関する経営環境が厳しくなっていることを踏まえて,同事業部門の収支を改善するため,両社の折半出資によって共同出資会社を設立し,両社のポリスチレン樹脂事業に関する営業権,製造設備,研究設備等を譲渡し,両社のポリスチレン樹脂事業を統合しようとするものである。

2 独占禁止法上の考え方

(1) 一定の取引分野

 ポリスチレン樹脂には,一般用ポリスチレン樹脂及び耐衝撃性ポリスチレン樹脂の品種があるが,ユーザーは両者を同一の用途で使用できること,また,両者の基本的な製造工程は同一であって,それぞれの設備に重要な変更をせずに同じラインで生産することが可能であり,各ポリスチレン樹脂メーカーは両者を生産している状況にあることから,両者を合わせたポリスチレン樹脂の販売分野に一定の取引分野が成立すると判断した。

(2) 競争への影響

 本件事業統合によって設立される共同出資会社のポリスチレン樹脂の販売数量シェア,同生産能力シェアは,それぞれ35%前後かつ第1位となる。
 しかしながら,以下の事情を総合的に勘案すれば,本件事業統合によって,ポリスチレン樹脂の販売分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

 本件共同出資会社のほかに,有力な競争業者が複数存在する。

 ポリスチレン樹脂は,いわゆるユーザーの使い慣れの問題も少ないことから,ユーザーは比較的容易にポリスチレン樹脂の購入先を変更できる。

 アジア各国のメーカーは生産コストが国内メーカーに比べて低いために,潜在的な輸入圧力が働いている。

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