1 本件の概要
本件は,(株)北海道拓殖銀行(以下「拓銀」という。)が,短期金融市場からの資金調達が極めて困難になった結果,自主再建を断念し,道内の営業の全部を(株)北洋銀行(以下「北洋銀行」という。)に営業譲渡しようとするものである。
2 独占禁止法上の考え方
(1) 一定の取引分野
ア 役務の範囲
預金業務及び貸出業務それぞれに一定の取引分野が成立すると判断した。
イ 地理的範囲
拓銀及び北洋銀行の営業活動地域等からみて,北海道地域において一定の取引分野が成立すると判断した。また,店舗の設置状況等からみて,道内の地域単位でも一定の取引分野が成立すると判断した。
(2) 競争への影響
本件においては,預金業務,貸出業務について,営業譲受け後の北海道及び道内の一部地域における北洋銀行のシェアが高くなる(北海道では預金で約20%,貸出で約30%)。
しかしながら,拓銀は,資金調達難から自主再建を断念しており,このために本件譲渡を決めたものである。また,(1)で画定したいずれの取引分野においても,有力な競争業者が存在する。
これらの事情を総合的に勘案すれば,(1)で画定したいずれの取引分野においても,競争を実質的に制限することとはならないと判断した。