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(平成15年度:事例9)日立金属(株)及び住友特殊金属(株)による永久磁石事業の統合について

第1 本件の概要

 本件は,住友特殊金属株式会社(以下「住友特金」という。)を承継する会社として,吸収分割の方法により日立金属株式会社(以下「日立金属」という。)及び住友特金の永久磁石事業の統合をするというものである。
 本件の関係法条は,独占禁止法第10条及び第15条の2である。

第2 永久磁石について

 磁石は,磁力を発生させる方法によって,電磁石と永久磁石に分類される。
 永久磁石は,原料によって,アルニコ磁石等(以下「鋳造磁石」という。),フェライト磁石,希土類磁石に分類され,希土類磁石は,主原料の希土類によってネオジム磁石とサマリウム・コバルト磁石(以下「サマリウム磁石」という。)に分かれている。また,フェライト磁石と希土類磁石は,製法によって,焼結磁石とボンド磁石に分かれている。

<永久磁石の概要>
種類 主原料 主な用途
鋳造磁石 アルミニウム,ニッケル,コバルト,鉄,クロム 計測機器,各種モーター
フェライト磁石 酸化鉄,炭酸ストロンチウム(又は炭酸バリウム) 各種モーター,スピーカー
ネオジム磁石 ネオジム,鉄,ホウ素 ハードディスク用ボイスコイルモーター,産業機器用モーター,小型スピーカー
サマリウム磁石 サマリウム,コバルト 各種小型モーター,センサー

第3 独占禁止法上の考え方

1 一定の取引分野

 永久磁石について,我が国のユーザーは,用途に応じて前記第2で分類された永久磁石を使い分けている事実が認められる。したがって,本件においては,次の7種類の永久磁石の製造販売分野について,一定の取引分野が成立すると判断した。
 なお,地理的市場は,いずれも全国市場として画定した。

 (一定の取引分野)

  •  ネオジム焼結磁石,ネオジムボンド磁石
  •  サマリウム焼結磁石,サマリウムボンド磁石
  •  フェライト焼結磁石,フェライトボンド磁石
  •  鋳造磁石

2 重点調査の対象

 前記第3の1で画定した取引分野のうち,本件統合後のシェア・順位,市場規模等に基づき,特に,競争に及ぼす影響が大きいと考えられたネオジム焼結磁石,フェライト焼結磁石及び鋳造磁石の製造販売分野について,重点的に調査を行った。

3 市場の状況

 平成14年におけるネオジム焼結磁石,フェライト焼結磁石及び鋳造磁石の市場規模の合計は,約800億円である。
 本件事業統合により,ネオジム焼結磁石,フェライト焼結磁石及び鋳造磁石における当事会社の合算シェア・順位は,次のとおりとなる。

<ネオジム焼結磁石>
順位 会社名 シェア
1 住友特金 約45%
2 A社 約30%
3 B社 約15%
4 日立金属 約5%
(1) 当事会社合算 約55%
  合計 100%

 (注) 四捨五入の関係上,合計は必ずしも一致しない。

<フェライト焼結磁石> <鋳造磁石>
順位 会社名 シェア 順位 会社名 シェア
1 C社 約30% 1 住友特金 約40%
2 日立金属 約25% 2 E社 約35%
3 住友特金 約20%   輸入品 約20%
  輸入品 約20% 3 日立金属 約5%
4 D社 約5%   その他 0~5%
  その他 0~5% - - -
(1) 当事会社合算 約45% (1) 当事会社合算 約45%
  合計 100%   合計 100%

 (出所:調査結果を基に当委員会にて作成)

4 考慮事項

(1) ネオジム焼結磁石

ア 競争事業者の存在
 本件行為後においても,シェア約30%を有する競争事業者が存在するほか,10%を超えるシェアを有する競争事業者も存在する。ただし,これらの競争事業者は,いずれも当事会社が保有する特許権の実施許諾を受けて製造販売を行っている。

イ 取引先変更の容易性
 日本の磁石メーカーが製造するネオジム焼結磁石の品質・性能に差異がなく,ユーザーは複数の磁石メーカーからネオジム焼結磁石を調達していることから,ユーザーは取引先を容易に変更することができる。

ウ 川下市場からの競争圧力及びユーザーの価格交渉力
 ネオジム焼結磁石は,ハードディスク用ボイスコイルモーター,産業機器用モーター,小型スピーカー(携帯電話,ノートパソコン用)等に組み込まれている。ユーザーは,新規製品の仕様策定を行う際及び当該製品の量産段階において取引先磁石メーカーを決定しているが,最終製品であるハードディスク,産業機器,携帯電話,ノートパソコン等は性能や販売価格の競争が激しい製品であるため,ユーザーは,比較的短期間で仕様変更を行うことによって見積り比較を実施して部品調達コストの引下げを図っていることから,川下市場からの競争圧力及びユーザーの価格交渉力は強いものと認められる。

(2) フェライト焼結磁石及び鋳造磁石

ア 有力な競争事業者の存在
 本件行為後においても,フェライト焼結磁石の販売市場においてはシェア約30%を有する競争事業者が,鋳造磁石の販売市場においてはシェア約35%を有する競争事業者が存在する。

イ 輸入品の圧力及び海外品価格との連動性
 フェライト焼結磁石及び鋳造磁石における輸入品のシェアは,いずれも約20%あり,ユーザーは容易に輸入品を購入できる。
 また,工場を海外に移転させているユーザーは,海外品を現地調達していることから,日本の磁石メーカーに対して海外品の価格を基に価格交渉を行っている。
 なお,鋳造磁石は,製造において特殊な設備を必要とせず,技術的にも成熟している磁石であるため,中国や東南アジアといった地域で製造されており安価な製品が日本に輸入されている。そのため,日本の磁石メーカーは,国内での製造から撤退して製造拠点を海外に移すといった対応を進めており,輸入品との価格差はほとんどない状況にある。

ウ 取引先変更の容易性
 ユーザーは,輸入品(海外品)を含めた複数の磁石メーカーからフェライト焼結磁石及び鋳造磁石を調達していることから,ユーザーは取引先を容易に変更することができる。

エ 川下市場からの競争圧力及びユーザーの価格交渉力
 フェライト焼結磁石は,玩具,家電,自動車等のモーターや各種スピーカーなどに組み込まれている。そして,最終製品である玩具,家電,自動車,音響機器等は,コストを削減して大量生産するために海外の生産拠点で製造され,部品も現地調達されることが多い。そのため,ユーザーは,磁石メーカーに対して,海外品の価格を基準とした価格設定を求めており,磁石メーカーは,ユーザーからの価格引下げ要請を受け入れていることから,川下市場からの競争圧力及びユーザーの価格交渉力は強いものと認められる。
 なお,鋳造磁石は,フェライト焼結磁石,ネオジム焼結磁石等への置換えが進んで需要が減少している。

5 競争者間の協調的行動に影響を及ぼす事情

(1) ネオジム焼結磁石

 次の事情が認められることから,磁石メーカーが協調的な行動を採るおそれは少ないと考えられる。

 ネオジム焼結磁石は,ユーザーが仕入価格引下げを目的とした見積り比較による方法で取引先を決定しているため価格が低落し続けているところ,ユーザーの調達方法は今後も変わることはないので,磁石メーカーは価格を引き上げることが難しい状況にあること。

 競争事業者は,積極的な販売活動を行うと見込まれること(後記4参照)。

(2) フェライト焼結磁石及び鋳造磁石

 生産拠点を海外に移転させているユーザーは海外品を採用しており,国内で調達しているユーザーは容易に輸入品を購入できる状況にある。したがって,磁石メーカーが販売価格の引上げや出荷数量の制限を実施した場合,ユーザーは調達先を輸入品(海外品)に変更する蓋然性が高いと考えられるので,磁石メーカーが協調的な行動を採るおそれは少ないと考えられる。

第4 当事会社が届け出てきた措置及び効果

1 ネオジム焼結磁石について,住友特金は,その製造販売に関する特許権を保有しており,日本の磁石メーカーに対しては,自社で保有するネオジム焼結磁石に関するほとんどすべての特許を一括して実施許諾している。
 そのため,これらの特許のうち,ネオジム焼結磁石を製造する上で必須とされる特許については,その主要なものが特許期間満了により消滅しているものの,当該許諾に関する契約期間が満了するまで,日本の磁石メーカーは,特許権が消滅した範囲内でネオジム焼結磁石を製造販売したとしても,契約上の制限を受けるおそれがある。

2 当委員会の調査過程において,当事会社は,本件統合における会社分割に関して採ることとする措置として,おおむね,以下の内容を明記した計画書を届け出てきた。

(1) 住友特金が保有する特許権の実施許諾については,現行の許諾契約が満了した後も,現在のライセンシーからの求めがあれば適正な条件の下でその求めに応じることとし,遅くとも行為日までにその旨を日本国内のライセンシーに対して通知すること。

(2) 現行の許諾契約に関して,特許権が消滅した特許を用いてネオジム焼結磁石を製造販売することは現行の許諾契約の制限を受けない旨を,遅くとも行為日までに日本国内のライセンシーに対して通知すること。

3 これらの措置が実行された場合,ライセンシーである競争事業者は,生産設備の増強や販売活動をより積極的に行うといった行動を採ることが容易になると考えられる。競争事業者の存在が大きくなれば,ユーザーは取引先変更,価格交渉等を一層容易に行うことができるので,ネオジム焼結磁石の市場における販売競争がより活発になると考えられる。

第5 結論

 前記第3に記載の考慮事項及び競争者間の協調的行動に影響を及ぼす事情と併せて,当事会社が届け出てきた措置の内容を踏まえれば,本件統合により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

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