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(平成17年度:事例11)群高青果株式会社と群馬大同青果株式会社との青果物卸売事業の統合について

(平成17年度:事例11)群高青果株式会社と群馬大同青果株式会社との青果物卸売事業の統合について

第1 本件の概要

 本件は,群馬県高崎市に所在する高崎市総合地方卸売市場(以下「高崎市場」という。)において青果物の卸売業を営む群高青果株式会社(以下「群高青果」という。)と群馬地方卸売市場群馬大同青果株式会社(以下「群馬地方卸売市場」という。)において青果物卸売業を営む群馬大同青果株式会社(以下「大同青果」という。)が,共同新設分割により青果物卸売事業を統合することを計画したものである。
 本件の関係法条は,独占禁止法第15条の2である。

第2 一定の取引分野

1 卸売市場の概要

 「卸売市場」とは,生鮮食料品等の卸売のために開設される市場であって,卸売場,自動車駐車場その他の生鮮食料品等の取引及び荷さばきに必要な施設を設けて継続して開場されるものをいう(卸売市場法第2条第2項)。
 このうち,一定規模以上のもので,都道府県,20万人以上の市又はこれらが加入する一部事務組合が農林水産大臣の認可を受け開設する市場を「中央卸売市場」といい,中央卸売市場以外の卸売市場で,面積が一定規模以上で都道府県知事の認可を受け開設する市場を「地方卸売市場」という。高崎市場及び群 馬地方卸売市場はこの「地方卸売市場」に属する。

2 一定の取引分野の画定

(1) 役務の範囲

 本件については,当事会社である群高青果が高崎市場,大同青果が群馬地方卸売市場において青果物の卸売業を営んでいることから,青果物の卸売業について一定の取引分野が成立すると判断した。

 (2) 地理的範囲

 当事会社が所在する群馬県央地域は,関越自動車道の高崎ICからも近く,新潟県や首都圏へのアクセスも容易であり,また茨城方面に通じる北関東自動車道,新潟方面に通じる関越自動車道については,当該地域内の高崎ジャンクションにより接続し,長野方面に伸びる上信越自動車道へは,当該地域内の藤岡ICにより接続するなど,東西南北の各地域に所在する他の卸売市場間の移動を容易に行い得る交通至便な地区である。
 このため,買参人が当該卸売市場と代替的に仕入れることができる範囲からみて,高崎市場と群馬地方卸売市場を中心とする半径50キロ圏内に一定の取引分野が成立すると判断した。

第3 本件統合が競争に与える影響の検討

1 市場の状況

 青果物の卸売業を巡っては,景気低迷による消費の減退に加え,消費者の食生活の多様化,市場外流通の拡大による流通構造の変化等を受け,取扱高は減少傾向にある。また,近年の卸売市場法の改正による卸売手数料の弾力化等もあって,その事業環境は大きく変化している。こうした変化に対応していくために,当事会社は青果物卸売業を統合することにより,取引量の増大と経営効率等の向上を実現しようとするものである。
 当事会社の取扱高は合計約140億円となっている。

2 考慮事項

 高崎市場と群馬地方卸売市場を中心とする半径50キロ圏内においては,他の卸売会社として,下表の8社が存在する。これらは,いずれも登録等の手続や時間距離等の点からみて,買参人が容易に仕入れることが可能な代替的仕入先と認められる。
 買参人が卸売市場に登録する際には,一定額の保証金を提出する必要があるものの,買参人にとって大きな負担額ではなく,また,合理的理由なく保証金額に差が設けられるといったこともなく,重複登録が困難な状況にはない。

所属市場 卸売会社 取扱高
前橋生鮮食料品総合地方卸売市場 前橋青果(株)

16,324

伊勢崎市公設地方卸売市場 長野県連合青果(株)伊勢崎支社 5,852
館林市総合地方卸売市場 館林中央市場(株) 3,259
地方卸売市場群馬中央青果株式会社 群馬中央青果(株) 3,543
渋川魚菜地方卸売市場 (協)渋川魚菜市場 1,643
桐生市公設地方卸売市場 桐生青果(株) 6,245
地方卸売市場熊谷青果市場 (株)熊谷青果市場 12,295
沼田地方卸売市場沼田魚菜協同組合 沼田魚菜(協) 3,748
(参考)
高崎市場・群馬地方卸売市場
当事会社合算取扱高 14,266

 (出所:当事会社提出資料を基に当委員会にて作成)
 (注) 表中の取扱高の期間は,平成16年4月から平成17年3月までの1年間である。

第4 独占禁止法上の評価 

 買参人の卸売市場への登録等の手続や時間距離等の点からみて,容易に仕入れることが可能な代替的仕入先が複数存在することから,本件統合が行われたとしても,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

第5 結論

 以上の状況から,本件行為により,第2の2で画定した一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

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