このページの先頭ですサイトメニューここから
このページの本文へ移動
公正取引委員会
  • サイトマップ
  • 音声読み上げ・文字拡大
  • ENGLISH
  • 公正取引委員会について
  • 報道発表・広報活動
  • 相談・手続窓口
  • 独占禁止法
  • 下請法
  • CPRC(競争政策研究センター)
サイトメニューここまで

本文ここから

(平成19年度:事例10)(株)メディセオ・パルタックホールディングスによる(株)コバショウの株式取得

第1 本件の概要

 本件は,医薬品等の卸売事業等を行う株式会社メディセオ・パルタックホールディングス(以下「メディ・パル」という。)が,同事業を営む株式会社コバショウ(以下「コバショウ」という。)の株式を取得することを計画したものである。
 関係法条は,独占禁止法第10条である。

第2 一定の取引分野

1 商品及び役務の概要

 当事会社グループ間で競合関係にあるのは,一般用医薬品,化粧品・日用品及び健康食品の各卸売業である。このうち,化粧品・日用品及び健康食品の各卸売業については,当事会社グループの市場における地位が低く,本件行為による競争上の影響は軽微であると考えられることから,一般用医薬品の卸売業について詳細に検討を行った。

(1) 一般用医薬品の概要

 一般用医薬品とは,一般の人々が,薬剤師等から提供された適切な情報に基づき,自ら購入し,使用する医薬品であって,軽度な疾病に伴う症状の改善,生活習慣病等の疾病に伴う症状発現の予防,生活の質の改善・向上,健康状態の自己検査,健康の維持・増進,その他保健衛生を目的とする医薬品である。医師の処方せんを必要とせず,薬剤師が常駐する薬局等において販売されている。
 平成18年における一般用医薬品の市場規模(生産金額)は,約6000億円である。

(2) 一般用医薬品の流通経路

 一般用医薬品の約7割は当事会社のような卸売業者を経由して小売店に販売されているが,一般用医薬品メーカーの中には,一般用医薬品卸売業者(以下「卸売業者」という。)を経由することなく直接に小売業者へ販売するメーカー(以下「直販メーカー」という。)も存在する。

2 一定の取引分野の画定

(1) 商品範囲

 一般用医薬品には様々な薬効を有する製品が存在し,それぞれ機能・効用は異なるものの,卸売業者は,すべての薬効の一般用医薬品を取り扱うことができる。したがって,一般用医薬品の卸売業について商品範囲を画定する。

(2) 地理的範囲

 ドラッグストアチェーンなどは,自己の物流センター等が所在する都道府県内に配送拠点を構える卸売業者に限らず,ブロック内に配送拠点を構える卸売業者からも調達を行っているが,地場の薬局・薬店については,基本的に,自己の店舗が所在する都道府県内に配送拠点を構える卸売業者からの調達に限られている。したがって,各ブロック及び各都道府県について,重層的に地理的範囲を画定する。

第3 本件企業結合が競争に与える影響の検討

1 当事会社の事業エリア

 当事会社グループ間で競合関係にある事業エリアは,東北,関東,甲信越,東海,近畿及び中国の各ブロック(注)である。

 (注)ブロック割りは次のとおりとした。
(1)北海道(北海道)
(2)東北(青森県,秋田県,岩手県,山形県,宮城県及び福島県)
(3)関東(東京都,神奈川県,埼玉県,千葉県,茨城県,栃木県及び群馬県)
(4)甲信越(新潟県,富山県,福井県,石川県,長野県及び山梨県)
(5)東海(愛知県,三重県,岐阜県及び静岡県)
(6)近畿(大阪府,京都府,兵庫県,奈良県,和歌山県及び滋賀県)
(7)中国(広島県,岡山県,島根県,鳥取県及び山口県)
(8)四国(愛媛県,香川県,高知県及び徳島県)
(9)九州・沖縄(福岡県,佐賀県,長崎県,熊本県,大分県,宮崎県,鹿児島県及び沖縄県)

2 各地理的範囲における競争状況

(1) ブロック別

 当事会社グループ間で競合関係にある各市場における競争の状況は,次のとおり。
 なお,東北ブロック,甲信越ブロック及び東海ブロックについては,セーフハーバーに該当することから省略している。


卸売業者のみ 卸売業者と直販メーカーを含む。
  当事会社グループの順位,
合算シェア,HHI,HHIの増分
シェア10%以上の
競争者の状況
当事会社グループ
の順位,合算シェア
シェア10%以上の
競争者の状況
関東 1位・約30%・約1,500・約400 2位 約15%
3位 約15%
4位 約10%
1位・約20% 2位 約15%(直)
3位 約10%
近畿 1位・約40%・約2,400・約900 2位 約15%
3位 約15%
1位・約30% 2位 約10%(直)
3位 約10%
4位 約10%
中国 1位・約70%・約5,100・約2,200 なし 1位・約45% 2位 約15%(直)

(注1)平成16年度実績
(注2)セーフハーバー非該当地域のみ記載。本件行為後の順位,シェア,HHIを記載。(直)は直販メーカー
 (出所:当事会社提出資料を基に当委員会にて作成)

(2) 都道府県別

 当事会社グループ間で競合関係にある各市場における競争の状況は,次のとおり。
 なお,埼玉県,神奈川県,長野県,新潟県,岐阜県,静岡県,愛知県及び三重県については,セーフハーバーに該当することから省略している。


卸売業者のみ 卸売業者と直販メーカーを含む。
当事会社グループの順位,
合算シェア,HHI,HHIの増分
シェア10%以上の
競争者の状況
当事会社グループの順位,合算シェア シェア10%以上の
競争者の状況
青森 1位・約40%・約2,700・約700 2位 約30%
3位 約15%
4位 約10%
1位・約25% 2位 約20%
3位 約15%(直)
秋田 2位・約25%・約4,000・約300 1位 約60% 2位・約15% 1位 約35%
3位 約15%(直)
茨城 1位・約60%・約3,900・約1,400 2位 約15%
3位 約10%
1位・約40% 2位 約15%(直)
栃木 2位・約25%・約1,900・約300 1位 約30%
3位 約15%
4位 約10%
2位・約15% 1位 約20%
3位 約15%(直)
千葉 1位・約30%・約1,900・約300 2位 約20%
3位 約15%
4位 約10%
1位・約20% 2位 約15%(直)
3位 約15%
4位 約10%
東京 1位・約30%・約1,500・約300 2位 約15%
3位 約15%
4位 約10%
5位 約10%
1位・約20% 2位 約15%(直)
3位 約10%
山梨 1位・約60%・約4,200・約1,800 2位 約20% 1位・約40% 2位 約15%
3位 約15%(直)
滋賀 1位・約55%・約3,900・約1,400 2位 約30% 1位・約40% 2位 約25%
3位 約10%(直)
京都 2位・約40%・約3,200・約600 1位 約40% 2位・約30% 1位 約30%
3位 約10%(直)
大阪 1位・約40%・約2,100・約700 2位 約15%
3位 約15%
4位 約10%
1位・約30% 2位 約10%(直)
3位 約10%
兵庫 1位・約45%・約2,700・約1,000 2位 約20%
3位 約10%
1位・約35% 2位 約15%
3位 約10%(直)
奈良 1位・約40%・約2,600・約800 2位 約20%
3位 約20%
1位・約30% 2位 約15%
3位 約15%
4位 約10%(直)
和歌山 1位・約65%・約4,800・約1,800 2位 約20% 1位・約50% 2位 約15%
3位 約10%(直)
鳥取 1位・約90%・約8,500・約2,300 なし 1位・約60% 2位 約15%(直)
島根 1位・約85%・約6,900・約3,000 なし 1位・約55% 2位 約15%(直)
岡山 1位・約90%・約7,900・約3,100 なし 1位・約60% 2位 約15%(直)
広島 1位・約75%・約5,700・約2,600 なし 1位・約50% 2位 約15%(直)
山口 2位・約30%・約2,300・約400 1位 約30%
3位 約25%
2位・約20% 1位 約20%
3位 約15%
4位 約15%(直)

(注1)平成16年度実績
(注2)セーフハーバー非該当地域のみ記載。本件行為後の順位,シェア,HHIを記載。(直)は直販メーカー
 (出所:当事会社提出資料を基に当委員会にて作成)

3 取引先変更の容易性

 卸売業者は,多数の一般用医薬品メーカーと取引を行い多数の薬効の製品を取り揃えている。卸売業者の中には特定の一般用医薬品メーカーとは取引関係のない者も存在するが,当該一般用医薬品メーカーと取引のある卸売業者から調達を行う(二次卸)ことで,幅広い品揃えを確保することが可能となっている。
 また,予定された期日までに納品すること,欠品・誤納を生じさせないことといった卸売業者としての基本的機能において各卸売業者間に差はほとんどない。
 したがって,一般用医薬品の小売業者は調達先の卸売業者を容易に変更することが可能であり,実際にもそのような調達先の変更は頻繁に起こっている。

4 供給余力

 卸売業者は,一般用医薬品メーカーからの仕入量を増やすことで容易に供給量を増やすことが可能であることから,各卸売業者には十分な供給余力があると評価できる。

5 隣接市場からの競争圧力

(1) 直販メーカー

 直販メーカーは基本的にすべての薬効の製品を取り扱っており,当事会社によれば,小売業者が取り扱う一般用医薬品に占める直販メーカー製品の割合は,約3割とのことである。
 一般用医薬品小売業者に対するヒアリングでは,同じ薬効を有する商品について,卸売業者は直販メーカー製の商品の価格を無視して卸価格を設定することはできないとの説明があった。また,卸売業者との価格交渉においては,卸売業者から仕入れる製品の仕入量を多少減らす代わりに直販メーカーからの仕入量を増やしたり,卸売業者から仕入れる製品の販促を控える代わりに直販メーカー製品の販促を行ったりすることで,卸売業者に対して一定の価格引下げ圧力をかけることは可能とのことである。

(2) 地理的に隣接する市場

 ドラッグストアチェーンは,自己の物流センター等が所在するブロック内だけでなく,隣接するブロック内に配送拠点を構える売業者からも商品の調達を行うことがあることから,地理的に隣接するブロック市場から一定の競争圧力が働いている。
 また,地場の薬局・薬店においても,地理的に隣接する都道府県に配送拠点を構える卸売業者からも商品の調達を行うことがあるため,地理的に隣接する都道府県市場から一定の競争圧力が働いている。

6 需要者からの競争圧力

 一般用医薬品の小売市場においては,ドラッグストアチェーンを中心として激しい競争が行われ小売価格は下落傾向にあるため,一般用医薬品小売業者から卸売業者に対する価格引下げ要求は強く行われているところ,一般用医薬品小売業者は,複数購買を基本としながら卸売業者各社の価格を比較するなどにより,より低い仕入価格を引き出そうとしている。
 特にドラッグストアチェーンは,卸売業者にとって主要な取引先となっており,その巨大な仕入量を武器に卸売業者に対して低価格での供給を要求している。

7 参入

(1) 薬事法による規制

 薬事法により,在庫を保管して医薬品を販売する場合には在庫を保管する事業所ごとに都道府県知事の許可が必要であるが,在庫を持たず営業機能しか有しない事業所の場合は,許可を必要とせず,いずれの都道府県でも販売を行うことができる。一般用医薬品は緊急性を特段必要とされないため,営業機能しか有しない事業所で販売することは可能であり,参入障壁は低いと考えられる。

(2) 薬事法の改正

 平成18年の改正薬事法の成立によって,平成21年には薬剤師なしで販売できる一般用医薬品分類が新設される予定となっている。
 具体的には,一般用医薬品をリスクの程度によって3分類し,このうち比較的リスクの低い2分類については,登録販売者(注)を配置すれば小売を行うことが可能となる。
 当事会社及び小売業者へのヒアリングでは,コンビニエンスストアやスーパーなどが登録販売者を配置して一定分野の一般用医薬品の小売を開始し,これら新規需要に応える形で,これまで一般用医薬品を扱ってこなかった食品卸売業者や化粧品・日用品卸売業者などが一般用医薬品の卸売を開始する可能性があると説明している。

 (注) 改正薬事法の施行に伴い,一般用医薬品の販売を担う薬剤師とは別の新たな専門家「登録販売者」の仕組みが設けられる。

第4 独占禁止法上の評価

1 中国ブロック以外の各ブロック並びに鳥取県,島根県,岡山県及び広島県以外の各都道府県について

(1) 単独行動による競争の実質的制限についての検討

 10%以上のシェアを有する競争事業者が複数存在すること,ユーザーである薬局・薬店による調達先の切替えは容易であること,卸売業者は十分な供給余力を有していると考えられること,直販メーカーや地理的に隣接する市場からの競争圧力が働いていること,需要者からの競争圧力・参入圧力が働いていることから,当事会社の単独行動により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

(2) 協調的行動による競争の実質的制限についての検討

 卸売業者は十分な供給余力を有していると考えられること,直販メーカーや地理的に隣接する市場からの競争圧力が働いていること,需要者からの競争圧力,参入圧力が働いていることから,当事会社と競争事業者の協調的行動により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

2 中国ブロック並びに鳥取県,島根県,岡山県及び広島県について

(1) 単独行動及び協調的行動による競争の実質的制限についての検討

 他の地域と同様に,直販メーカーからの競争圧力及び参入圧力が認められるものの,行為後における当事会社グループのシェアが著しく高くなり隣接する複数の都道府県で独占的な状態が形成されることから,需要者である薬局・薬店等にとって他の選択肢がなくなるおそれがある。
 一般用医薬品小売業者に対するヒアリング調査においても,本件行為後に当事会社が独占的なシェアを持つことによって卸売業者間の競争原理が働かなくなり,仕入価格の上昇や情報提供サービスの質の低下といった事態が生じることを懸念する意見や,そのような場合に近隣で代替的な取引先を探すことは非常に困難であるといった意見が出された。
 したがって,当事会社の単独行動及び当事会社と競争事業者の協調的行動により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるおそれが高いと判断した。

(2) 当事会社が申し出た問題解消措置

 当事会社に対し,当該地域の大衆向け医薬品卸売市場における競争を実質的に制限することとなるおそれが高い旨を指摘したところ,コバショウが中国地方を事業エリアとする子会社(以下「X社」という。)に対する保有株式の一部を同業を営む複数の事業者に売却し議決権保有比率を引き下げること,コバショウのX社に対する役員の派遣を解消することを内容とする問題解消措置を講じる旨を申し出てきた。

(3) 問題解消措置を踏まえた独占禁止法上の評価

 前記(2)記載の問題解消措置が確実に実施された場合には,コバショウとX社間の企業結合関係は解消されると考えられ,X社が牽制力のある競争者となるものと考えられることから,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

3 四国ブロック並びに徳島県,愛媛県及び高知県について

 メディ・パルは,四国地方を事業エリアとする事業者(以下「Y社」という。)の議決権を保有しているが,現時点におけるメディ・パルの議決権保有比率等からすれば,両社間に結合関係はないと考えられる。
 しかし,仮に,メディ・パル及びY社間の結合関係が形成された場合には,Y社と当事会社グループの合算シェアが,四国ブロック全体では約70%,徳島県では約70%,愛媛県では約80%,高知県では約80%となり,独占的な状況が形成されるため,競争を実質的に制限することとなるおそれが高い状況となる。
 したがって,今後,メディ・パルがY社に対する議決権保有比率の引上げ,役員の兼任等両社の結合関係を強化することとなる行為を行う場合には,事前に当委員会に申し出るよう当事会社に要請することが必要であると判断した。

  卸売業者のみ 卸売業者と直販メーカーを含む。
  順位,合算シェア,HHI,HHIの増分 シェア10%以上の
競争者の状況
順位,合算シェア シェア10%以上の
競争者の状況
四国 1位・約70%・約4,900・約2,200 2位 約15% 1位・約45% 2位 約20%(直)
徳島 1位・約70%・約5,200・約2,400 2位 約20% 1位・約45% 2位 約20%(直)
3位 約15%
香川 1位・約40%・約2,800・約800 2位 約30%
3位 約15%
1位・約25% 2位 約20%
3位 約20%(直)
4位 約10%
愛媛 1位・約80%・約6,600・約2,700 なし 1位・約55% 2位 約20%(直)
高知 1位・約80%・約6,300・約3,100 なし 1位・約50% 2位 約20%(直)

(注1)平成16年度実績
(注2)当事会社グループ及びY社間の結合関係が形成された場合を仮定して計算した。なお,その後,平成20年1月1日付けでY社の完全子会社は愛媛県及び徳島県における一般用医薬品卸売事業を同業を営む他社へ譲渡しているが,本表には反映していない。
(注3)(直)は直販メーカー
 (出所:当事会社提出資料を基に当委員会にて作成)

第5 結論

 以上の状況から,中国ブロック以外の各ブロック並びに鳥取県,島根県,岡山県及び広島県以外の各都道府県については,本件行為により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。
 また,中国ブロック並びに鳥取県,島根県,岡山県及び広島県については,当事会社が申し出た問題解消措置が確実に実施された場合には,本件行為により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。
 加えて,四国ブロック並びに徳島県,愛媛県及び高知県については,今後,当事会社グループがY社に対する議決権保有比率の引上げ,役員の兼任等を行う場合には,事前に当委員会に申し出るように要請した。

本文ここまで

サブナビゲーションここから

平成19年度における主要な企業結合事例

サブナビゲーションここまで

以下フッターです。

公正取引委員会 Japan Fair Trade Commission

〒100-8987 東京都千代田区霞が関1-1-1 電話 03-3581-5471(代表)
  • ご利用案内
  • 関連リンク
  • 所在地
Copyright © 2013 Japan Fair Trade Commission. All Rights Reserved.
フッターここまでこのページのトップに戻る