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(平成19年度:事例5)サンエツ金属(株)による新日東金属(株)からの事業の全部の譲受け

第1 本件の概要

 本件は,黄銅棒の製造販売事業等を営むサンエツ金属株式会社(以下「サンエツ金属」という。)が,同事業を営む新日東金属株式会社(以下「新日東金属」という。)から事業の全部を譲り受けることを計画したものである。
 関係法条は,独占禁止法第16条である。

第2 一定の取引分野

1 製品概要

(1) 黄銅棒

 黄銅棒は,黄銅(銅に亜鉛を加えた銅合金をいう。真鍮(しんちゅう)とも呼ばれる。)の棒形状の製品であり,その成分によって,(1)JIS規格品である一般品と(2)一般品以外の特殊品に大別され,下表の6品種に分けられる。このうち,切削加工性を良くするために鉛を2~3%添加した快削黄銅棒は,ガス器具部品,水栓金具部品等幅広い用途で使用されており,黄銅棒製品全体の5割以上を占めている。

区分 品種 主な特長 主な用途
一般品 快削黄銅棒 被削性,展延性 ビス,ボルト,ナット,ガス器具,エアコン部品
鍛造用黄銅棒 熱間鍛造性 機械部品,バルブ
ネーバル黄銅棒 耐食性,耐海水性 船舶部品,シャフト
高力黄銅棒 高強度,耐食性 ポンプ軸,船舶用プロペラ軸
特殊品 耐脱亜鉛黄銅棒 耐脱亜鉛 水栓金具
鉛レスカドミレス黄銅棒 鉛100ppm以下,カドミウム10ppm以下 一般品及び耐脱亜鉛黄銅棒とほぼ同様の用途

 (出所:当事会社提出資料を基に当委員会にて作成)

(2) 黄銅線

 黄銅線は,黄銅の線形状の製品であり,黄銅棒と同様,その成分によって,(1)JIS規格品である一般品と(2)一般品以外の特殊品に大別され,下表の4品種に分けられる。このうち,鉛を添加しない黄銅線(以下,鉛を添加しない狭義の黄銅線は,広義の黄銅線と区分し,「黄銅線」と記述する。)は,展延性(薄く延びる),転造性(転がして造る)に優れていることから,各種電気・機械部品等幅広い用途で使用されており,黄銅線製品全体の9割を占めている。

区分 品種 主な特長 主な用途
一般品 黄銅線 展延性,転造性 びょう,小ねじ,ピン,かぎ針
快削黄銅線 被削性,展延性 ビス,ボルト,ナット,電子部品,ライター部品
ニップル用黄銅線 被削性,展延性 ニップル,ナット
特殊品 溶接用黄銅線 溶接性 溶接棒

 (出所:当事会社提出資料を基に当委員会にて作成)

(3) 黄銅加工品

 黄銅加工品は,黄銅棒や黄銅線を加工して製造される各種機械,電気・電子機器向けの部品(ネジ,ナット,自動車部品,精密機械部品等)であり,その種類は多岐にわたっている。
 黄銅加工品には,加工方法の違いにより,(1)快削黄銅棒や「黄銅線」等を切削して加工した製品(以下「切削加工品」という。)と,(2)鍛造用黄銅棒を600~800度に加熱・プレス後に整形加工した製品(以下「鍛造加工品」という。)の2種類がある。

2 一定の取引分野の画定

(1) 商品範囲

ア 黄銅棒
 黄銅棒一般品及び耐脱亜鉛黄銅棒については,品種ごとに効用等や用途が異なり,加工目的に応じてユーザーによって使い分けられていることから,需要者からみた代替性は認められない。しかしながら,これらの製品は,同一の製造設備で生産することが可能である上,鉛レスカドミレス黄銅棒との間で需要面での代替性が認められる(注)ことから,黄銅棒全体で商品範囲を画定した。ただし,黄銅棒と黄銅線はともに押出材であり,最終の仕上工程で棒状にするか,コイル状にするかの形状の差があるにすぎないところ,黄銅線のうち,快削黄銅線,ニップル用黄銅線及び溶接用黄銅線の3品種は,黄銅棒一般品及び耐脱亜鉛黄銅棒と同一の製造設備で生産することが可能であることから,本件では,黄銅棒全体に黄銅線の一部(「黄銅線」を除く前記3品種)を含めた「黄銅棒等」で商品範囲が画定されるが,検討対象に含まれる快削黄銅線,ニップル用黄銅線及び溶接用黄銅線の販売数量は,黄銅棒等の販売数量の約1%程度であることから,黄銅棒について検討することで,黄銅棒等の検討に代えることとした。

 (注) 鉛レスカドミレス黄銅棒は,鉛やカドミウムの含有を抑制した環境対応型製品であり,黄銅棒一般品及び耐脱亜鉛黄銅棒とほぼ同様の用途に用いられているところ,鉛に代えて添加されているビスマスの価格が3年前と比較して,1,200/kgから5,000円/kgに値上がりしていることを受け,当該製品から黄銅棒一般品又は耐脱亜鉛黄銅棒へ切り替える動きがみられる。

イ 黄銅線
 黄銅線については,前記(1)で画定した黄銅棒等の商品範囲に含まれない,鉛を添加しない「黄銅線」のみで商品範囲を画定する。
 なお,「黄銅線」は,当事会社間で競合しないことから,本件の検討対象とはしないこととした。

ウ 黄銅加工品
 黄銅加工品は,ユーザーの用途に合わせて様々な製品が製造され,加工方法の違いにより,切削加工品と鍛造加工品に区分されるところ,切削加工品と鍛造加工品は,それぞれ加工方法及び原材料が異なる上,伸銅品加工メーカーは,切削機又は鍛造機のいずれかを所有し,技術的にどちらか得意な方に特化しているのが一般的であり,供給面での代替性が認められないことから,それぞれの製品ごとに商品範囲を画定し,検討対象分野を当事会社間で競合する切削加工品とした。

(2) 地理的範囲

 本件対象商品は,いずれも物流面等による制約がなく,日本全国で販売されていることから,地理的範囲は全国で画定した。

第3 本件企業結合が競争に与える影響の検討

1 黄銅加工品

 黄銅加工品(切削加工品)については,本件統合によるHHIの増分が微小であり水平型企業結合のセーフハーバーに該当することから,本件統合により,当該製品市場における競争が実質的に制限されることとはならないと判断した。

2 黄銅棒

(1) 市場規模

 平成18年度における黄銅棒の市場規模は,約1750億円となっており,過去5年間で約1230億円伸びているが,これは銅価格の高騰の影響を受けたものであり,出荷量の推移はおおむね約24万トンと,ほぼ横ばいとなっている。

(2) 市場シェア・HHI

 黄銅棒の市場における各社のシェアは,下表のとおりである。
 本件企業結合により,当事会社の合算販売数量シェア・順位は,約35%・第1位となる。
 また,本件企業結合後のHHIは約2,200,HHIの増分は約500である。

順位 会社名 シェア
1 A社 約25%
2 サンエツ金属 約20%
3 B社 約15%
4 C社 約10%
5 新日東金属 約10%
6 D社 約10%
7 E社 0~5%
8 その他 0~5%
  輸入品 0~5%
(1) 当事会社合算 約35%
合計 100%

 (注)平成18年度実績
 (出所:当事会社提出資料を基に当委員会にて作成)

(3) 競争事業者の存在

 10%以上のシェアを有する競争事業者が複数存在する。

(4) 取引先変更の容易性

 黄銅棒の9割を占める一般品については,メーカー間で品質差が認められないところ,ユーザーは複数購買を行い,調達量を変更している状況がみられることからも,ユーザーは容易に取引先を変更することが可能である。

(5) 供給余力

 各社の生産能力及び生産量から判断すると,当事会社及び競争業者は十分な供給余力を有している。特に,競争業者の供給余力は当事会社の販売数量に相当する分量に上る。

(6) 隣接市場からの競争圧力

 従来の黄銅からアルミニウム,樹脂,ステンレス及び鉄などの他素材に切り替える動きがみられる。例えば,黄銅棒の需要の約6割を占める水道・ガス関係向けは,機能面・価格面でエンドユーザーの条件を満たせば,他素材に容易に代替が可能とみられることから,黄銅棒の価格設定によってはこれら他素材への切替えが更に進む可能性があり,黄銅棒の価格引上げの牽制力として一定程度の評価が可能である。

(7) 輸入

 黄銅棒の輸入実績の推移をみると,国内総需要に占める輸入品の割合は,この5年間を通じて1%に満たないものの,年々,輸入品に占める韓国材の割合が高まってきており,現在は韓国からの輸入がそのほとんどを占めている。
 韓国では,この10年間に黄銅棒メーカーの集約が進み,現在,1社独占となっている。日本の黄銅棒メーカーが40年近くも経過した古い生産設備を今なお使用し,国内全メーカーを合わせても月産約3万tしか生産できないのに対し,韓国メーカーは生産能力が1.5万tの最新鋭の設備を有し,月産1.2万tの生産を行っているなど,生産効率性が極めて高い。
 黄銅棒一般品はJIS規格であるところ,当該韓国メーカーはJIS規格の認定工場としての認証を取得しており,既に日本に連絡事務所を設けて日本進出を果たしており,日本の代理店を通じて国内販売を本格的に開始している。
 韓国メーカーの日本参入を受け,韓国からの黄銅棒の輸入量は,平成17年には参入前の平成15年と比べて約17倍の約2,400tにまで急増したものの,翌平成18年は1,700t程度にとどまっており,昨今の急激なウォン高の影響により,韓国メーカーによる国内市場への拡販が中止されている状況にある。
 しかしながら,韓国メーカーは,国内に既に販売拠点を設けており,現に相当程度,国内への供給を行っていることから,今後の為替動向にもよるが,拡販が再開される可能性が高いと考えられ,国内黄銅棒メーカーの価格引上げに対する一定程度の牽制力となるものと考えられる。

第4 独占禁止法上の評価

1 単独行動による競争の実質的制限についての検討

 ユーザーにとって取引先の変更が容易であること,有力な競争事業者が存在しており,競争事業者は供給余力を有していること,黄銅からアルミニウムや樹脂等への切替えが進んでおり,隣接市場からの競争圧力が認められること,潜在的な輸入圧力が存在することから,当事会社の単独行動により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

2 協調的行動による競争の実質的制限についての検討

 ユーザーにとって取引先の変更が容易であること,当事会社を含め各社とも供給余力を有していること,隣接市場からの競争圧力が認められること,潜在的な輸入圧力が存在することから,当事会社と競争事業者の協調的行動により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

第5 結論

 以上の状況から,本件行為により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

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平成19年度における主要な企業結合事例

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