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(平成17年度:事例10)KDDI株式会社と株式会社パワードコムの合併について

第1 本件の概要

 本件は,電気通信事業を行っているKDDI株式会社(以下「KDDI」という。)と同事業を行っている株式会社パワードコム(以下「PWD」という。)が,法人データ通信分野における営業力の強化を目的として合併することを計画したものである。
 本件の関係法条は,独占禁止法第15条である。

第2 一定の取引分野

1 製品・役務の概要

 電気通信サービスは,大別して音声伝送,専用(線)サービス,データ伝送,その他のサービス(電報等)に分類される。このうち,法人向けデータ伝送等サービスは,専用(線)サービス,データ伝送(フレームリレー,IP-VPN,広域LAN,インターネットVPN)及びデータセンターサービスから構成される。

サービス名 サービス概要 セキュリティ データ伝送時の遅延の有無 価格
1.5M
専用(線)サービス 少数拠点間を1本の専用回線で接続するネットワークサービス 専用のため問題なし 専用のため遅延なし 100万円程度
W
A
N



フレームリレー データをフレームと呼ばれるパケットに分割して送信する旧来型のサービス 伝送路部分は専用のため問題なし 共有部分で遅延あるが,一定の速度を保証 50万円強
IP-VPN 複数拠点間をキャリアの所有する閉域網を経由して構築するネットワークサービス 通信事業者が閉域のネットワークを確保 網内遅延あるが,一定の速度を保証 25万円程度
広域LAN 同上 同上 同上 同上
インターネットVPN 複数拠点間をインターネット(公衆線)を経由して構築するネットワークサービス ユーザーがセキュリティ対応機器等で確保する必要あり 公衆網のため遅延あり,ベストエフォート 同上
データセンターサービス ネットワーク拠点としての場所(スペース)貸しサービス -
-
-

2 一定の取引分野の画定

 当事会社間で競合している法人向けデータ伝送等サービスは,法人向けデータ伝送等サービス全体からフレームリレーを除いた専用(線)サービス,IP-VPN,広域LAN,インターネットVPN,データセンターサービスである。
 これらのサービスは,データセンターサービスを除きデータを伝送するということについてはいずれも同様のものであるが,ユーザーからみた機能・効用から判断すると,複数拠点間をセキュリティの確保されたネットワークで構築したいユーザーは,IP-VPNと広域LANサービスのどちらにおいてもその機能を発揮することが可能であり,提供される価格もあまり違いはなく,また,実際にユーザーがIP-VPNと広域LANとの間でサービスを選択している状況が確認できたことから,両サービスは同様の市場であると認められる。
 また,IP-VPNや広域LANを選択するユーザーにとって,複数拠点間を専用線で構築するために要する費用を考えると,専用(線)サービスとの代替性は低いと考えられることから,IP-VPN・広域LANと専用(線)サービスは別の市場に属すると認められる。専用(線)サービスは,拠点数が少ない場合であって,高度なセキュリティと速度保証を確保したいユーザーに選択されている。
 なお,複数拠点間でのネットワークはインターネットVPNにおいても構築することが可能であり,ブロードバンド化の進展により,インターネットVPNはある程度IP-VPN及び広域LANとの代替性も認められる。しかし,公衆網を利用しているためにセキュリティに不安があることや,いわゆるベストエフォート型であり,速度保証がされないなどの品質上の問題から,インターネットVPNを選択するユーザーは現時点では限られていると考えられる。このため,インターネットVPNはIP-VPN及び広域LANとは別の市場と認められる。
 したがって,一定の取引分野は(1)専用(線)サービス,(2)WANサービス(IP-VPN,広域LAN),(3)インターネットVPN,(4)データセンターサービスの4つの分野に分けられると判断した。
 また,当事会社を含む法人向けデータ伝送等サービス提供事業者の多くは全国を事業地域としており,サービスの特性等からみて特段の事情も認められないことから,地理的範囲は全国で画定した。

第3 本件企業結合が競争に与える影響の検討

1 検討を要する分野

 上記第2の2で画定した取引分野のうち,(1)専用(線)サービス(統合後の当事会社のシェア約1%,第4位),(3)インターネットVPN(同約15%,第2位),及び(4)データセンターサービス(同約10%,第4位)については,当該合併後の当事会社グループのシェア及び順位が低いことから,詳細な検討は必要ないと判断し,統合後シェア約25%,第2位となり,特に競争に及ぼす影響が大きいと考えられる(2)WANサービス市場について,重点的に審査を行った。

2 WANサービスに係る検討

(1) 市場の状況

 WANサービスにおいて,本件行為後の当事会社合算シェア及びHHIは,以下のとおりである。

[WANサービス]
順位 会社名 回線数シェア
1 A社 約40%
2 B社 約20%
3 KDDI 約20%
4 PWD 約5%
5 その他 約15%
(2) 当事会社合算 約25%
  合計 100%
  HHI統合後 約2,800
  HHI増加分 約250

 (出所:当事会社提出資料を基に当委員会にて作成)

(2) 有力な競争事業者の存在

 WANサービスにおける行為後の当事会社合算シェアは,統合後約25%,第2位である。有力な競争事業者として,A社(約40%),B社(約20%)などのシェア10%以上の事業者が複数存在する。

(3) ユーザーの価格交渉力

 各サービスにおいて事業者間における品質差はなく,ユーザーにとってはどの事業者とも取引が可能であるため,ユーザーは複数の事業者から見積り合わせ等を行い,料金や付加サービス等の諸条件を検討の上,取引先を選択している。

(4) 隣接市場からの競争圧力

 近年ではブロードバンド化の進展により,インターネット利用が拡大し,インターネットVPNを採用するユーザーが増えてきている。セキュリティの品質を落としてもコストを重視し,なるべく安くネットワークを構築したいユーザーは,インターネットVPNを選択している。
 このことから,安価なインターネットVPNが隣接市場としてWANサービス市場に対する競争圧力として働いていると認められる。

第4 独禁法上の評価

1 単独行動による競争の実質的制限について

 有力な競争事業者が存在し,ユーザーの価格交渉力が強く,隣接市場からの競争圧力も見込まれることから,当事会社の単独行動により一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

2 協調的行動による競争の実質的制限について

 ユーザーの価格交渉力や隣接市場からの競争圧力が認められることから,当事会社と競争事業者の協調的行動により一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

第5 結論

 以上の状況から,本件行為により,上記第2の2で画定した一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

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公表事例において隣接市場からの競争圧力の有無について検討を行った例

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