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(平成18年度:事例1)味の素株式会社によるヤマキ株式会社の株式取得について

第1 本件の概要

 本件は,味の素株式会社(以下「味の素」という。)が,ヤマキ株式会社(以下「ヤマキ」という。)の株式を取得することを計画したものである。
 関係法条は,独占禁止法第10条である。

第2 一定の取引分野

1 製品概要

(1) 風味調味料,液体風味調味料

 風味調味料とは,だしを取る手間を省いて短時間で簡単に天然だしに近い風味を得たいというニーズから生まれた製品であり,かつお節等の風味原料を粉砕し,食塩等の調味料を混合したものである。
 風味調味料と液体風味調味料は,いずれもだし汁を作るための調味料であるが,風味調味料は顆粒又は粉末状で,お湯に投入することによりだし汁となるのに対し,液体風味調味料は液体状であり,そのままだし汁として利用できるという点で風味調味料よりも調理上の作業性が高いものの,単位使用量当たりのコストが高い。

(2) めん類等用つゆ

 めん類等用つゆは,風味調味料に用いられる原料に,醤油,みりん等を加えた液状の調味料である。主に,そば・うどん等めん類のつけ汁,和風煮物,炒め物等に使用されている。
 めん類等用つゆも,風味調味料と同様に,料理の風味付けのために使われているが,醤油が添加されているため,醤油等を使用しない調理(主に味噌汁)には使用できない。

2 一定の取引分野の画定

 当事会社は共に風味調味料等を製造販売していることから,本件結合は水平型企業結合の面を持つ。また,味の素はヤマキに対し,うま味調味料として風味調味料及びめん類等用つゆの原材料に使われている「グルタミン酸ナトリウム」及び「核酸系調味料(イノシン酸ナトリウム+グアニル酸ナトリウム)」を販売しており,本件結合は垂直型企業結合の面も持つ。このため,以下では,水平型企業結合及び垂直型企業結合のそれぞれについて検討を行う。

(1) 水平型企業結合

 風味調味料,液体風味調味料,めん類等用つゆは,いずれも料理に風味を付与するために使用されるものであるが,形状,用途,使用方法,コスト等の点が異なるため,各製品間の代替性の程度は大きくなく,それぞれ一定の取引分野を形成していると考えられる。また,各製品については,それぞれ,業務用と家庭用とがあるところ,流通経路や販売単位もそれぞれ異なっており,相互に代替性を有するものではない。
 これらのことから,本件では,以下のとおり6つの取引分野(商品の範囲)が画定されるが,このうち当事会社間で競合している分野は,業務用風味調味料,家庭用風味調味料,業務用液体風味調味料,業務用めん類等用つゆの4分野である(表中○印を付したもの)。

  業務用 家庭用
風味調味料
液体風味調味料 ×
めん類等用つゆ ×

 また,需要者は基本的には全国の事業者から購入し,各メーカーは全国を事業地域としている状況であり,製品の特性等からみて特段の事情も認められないことから,地理的範囲は全国で画定した。

(2) 垂直型企業結合

 味の素はヤマキに対し,「グルタミン酸ナトリウム」及び「核酸系調味料」を販売しており,垂直型企業結合については,これら2製品のうまみ調味料の製造販売市場が川上市場,グルタミン酸ナトリウム等を使用して製造する風味調味料等の製造販売市場が川下市場となる。
 また,需要者は基本的には全国の事業者から購入し,各メーカーは全国を事業地域としている状況であり,製品の特性等からみて特段の事情も認められないことから,地理的範囲は全国で画定した。

第3 本件企業結合が競争に与える影響の検討

1 家庭用風味調味料以外

 水平型企業結合である「業務用風味調味料」,「業務用液体風味調味料」及び「業務用めん類等用つゆ」と,垂直型企業結合である「うま味調味料」については,以下に示すように,いずれも一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

(1) 業務用風味調味料及び業務用液体風味調味料

 業務用風味調味料及び業務用液体風味調味料については,味の素が第1位のシェアを有しているが,ヤマキのシェアはわずかであり,統合によるシェアの増分は小さい。また,10%程度のシェアを有する競争事業者が複数存在すること,各メーカーとも生産能力の増大が容易であること等から,当事会社の単独行動により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。
 また,統合によるシェアの増分が小さいことに加え,多数の競争事業者が存在し,シェアの変動もみられるなど活発な競争が行われていると考えられること等から,当事会社と競争事業者の協調的行動により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

(2) 業務用めん類等用つゆ

 業務用めん類等用つゆについては,多数の企業が存在し,味の素のシェアも小さいことから,本件行為により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

(3) 垂直型企業結合関係について

 うま味調味料であるグルタミン酸ナトリウム及び核酸系調味料については,味の素が第1位のシェアを有しているが,味の素のほかにも複数の競争事業者が存在する。
 このため,仮に,味の素が,当該製品について,ヤマキとのみ取引を行うようになったとしても,他のユーザーが調達先を失うおそれはないと考えられる。
 また,グルタミン酸ナトリウム,核酸系調味料の全消費量に占めるヤマキのシェアはわずかであり,味の素がヤマキとのみ取引を行い,それ以外の事業者に対する供給を制限するということは考え難い。
 このため,本件行為により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

2 家庭用風味調味料

(1) 市場規模

 家庭用風味調味料の市場規模は,平成17年度見込みで512億円となっている。食の洋風化や家庭内調理の減少などから市場規模は減少傾向にある。

(2) 市場シェア・HHI

 家庭用風味調味料の市場における各社のシェアは,下表のとおりである。
 本件企業結合により,当事会社の合算シェア・順位は約70%・第1位となる。
 また,本件企業結合後のHHIは約5,200,HHIの増加分は約900である。

順位 会社名 シェア
1 味の素 約60%
2 A社 約20%
3 ヤマキ 約10%
4 B社 約5%
5 C社 約5%
6 D社 0~5%
7 E社 0~5%
8 F社 0~5%
  その他 0~5%
(1) 当事会社合算 約70%
  合計 100%

 (注) 平成16年度実績。
 (出所:当事会社提出資料を基に当委員会にて作成)

(3) 当事会社間の製品の代替性

 各事業者は,テレビコマーシャル等による積極的な広告宣伝を行うことによりブランドイメージを高めることや,高品質など商品の特徴を前面に出すことなどによって,製品の差別化を図っている。こうした状況の下で,ユーザーは,嗜好に応じて商品を選択している。
 商品がブランド等により差別化されている場合,代替性の高い商品を販売する当事会社間で結合が行われ,他の事業者が当該商品と代替性の高い商品を販売していないときは,当事会社は,他の事業者に売上を奪われることなく容易に価格を引き上げることが可能となるため,結合によって競争が実質的に制限されるおそれがある。
 各メーカーの商品間の代替性の程度について検証するため,各商品の価格・数量データを用いて,各メーカーの商品間の需要の交差弾力性(注)を計測したところ,味の素の商品は,ヤマキ以外のメーカーの製品との間で代替性が高いと推定され,ヤマキの商品との間にも一定の代替性が存在している可能性があるが,その程度は他の会社の商品との間の代替性に比べて低いと推定される。

 (注) 需要の交差弾力性とは,A商品の価格が1%上昇した場合に,A商品と競合関係にあるB商品の需要が何%増加するかを示す指標であり,需要の交差弾力性が正の大きな値になるほど,A商品とB商品の代替性は高いと評価される。

(4) 価格の動向

 家庭用風味調味料の小売価格は,各社の製品とも低下傾向にある。

(5) 競争的な行動を採っている競争事業者

 競争事業者の中には,大袋タイプの製品等について低価格販売を行いシェアを拡大しているものがいる。また,うま味調味料や食塩を添加せずに,他社製品よりも健康志向的であり,高品質の製品であることを前面に出して,シェアを伸ばしている事業者もいる。このように,事業者間で積極的にシェアを奪い合う状況がみられる。

(6) 競争事業者の供給余力

 市場規模は減少傾向にあるところ,生産設備の撤去等が行われていないこと,また,工場を新設しているメーカーもあることから,各社とも供給余力を有していると考えられる。

(7) 隣接市場からの競争圧力

ア めん類等用つゆ
 家庭用風味調味料の用途の約4割を占める和風煮物,めん類つゆ,炒め物等については,風味調味料に更に煮物などに適した配合で醤油などがブレンドされためん類等用つゆでも一定の代替が可能である。
 めん類等用つゆは,家庭用風味調味料よりも価格は高いものの,醤油・砂糖等のコスト次第では,めん類等用つゆの方がコスト的に割安となる場合がある。また,味付けの手間が省ける,味付けの失敗がない等の点で,めん類等用つゆの方が使い勝手の面で優位にある。
 また,家庭用風味調味料とめん類等用つゆの需要の交差弾力性を計測すると,正で有意な結果が得られており,めん類等用つゆの価格下落によって家庭用風味調味料の販売数量が減少する関係が示されている。
 実際の市場動向をみても,めん類等用つゆの市場規模が拡大(10年間で約50%増加)しているのに対し,家庭用風味調味料の市場規模は縮小(10年間で10%強減少)しており,家庭用風味調味料がめん類等用つゆに代替されている実態がうかがわれる。
 なお,当事会社のうちヤマキは,めん類等用つゆの製造販売も行っているが,同市場におけるヤマキのシェアは10%程度であり,ヤマキ以外に有力な競争事業者が多数存在している。

イ だし入り味噌
 だし入り味噌とは,味噌に風味調味料等のだしがあらかじめ添加された味噌である。
 味噌汁を調理する場合には,だしと味噌を用いるが,あらかじめだしが添加された簡便性の高いだし入り味噌を用いることによって,家庭用風味調味料が不要となる。このため,家庭用風味調味料の用途の約6割を占める味噌汁については,だし入り味噌による一定の代替が可能である。
 味噌汁を調理する場合において,家庭用風味調味料を使用する場合とだし入り味噌を使用する場合のコストを比較すると,だし入り味噌の方が割安となる。また,だし入り味噌の方が簡便であり,使い勝手の面で優位にある。
 実際の市場動向をみても,だし入り味噌の市場規模が拡大(10年間で20%弱増加)しているのに対し,家庭用風味調味料の市場規模は縮小(10年間で10%強減少)しており,家庭用風味調味料がだし入り味噌に代替されている実態がうかがわれる。

第4 独占禁止法上の評価

1 単独行動による競争の実質的制限についての検討

 家庭用風味調味料は,ある程度差別化が進んだ製品であるところ,味の素とヤマキとの間には一定の代替性が存在すると考えられるものの,高い代替性が認められるとはいえない。また,有力な競争事業者が存在しているところ,同社を含めた競争事業者は十分な供給余力を有しているほか,生産能力の増大も容易であると考えられる。このため,当事会社が他の事業者に売上げを奪われることなく容易に価格を引き上げることは難しいと考えられる。
 また,競合品である「めん類等用つゆ」及び「だし入り味噌」の存在が,競争圧力として機能している。
 したがって,当事会社の単独行動により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

2 協調的行動による競争の実質的制限についての検討

 家庭用風味調味料の取引分野については,中小メーカーを含めれば70社以上の事業者が参入しており,また,大手メーカー間では,当事会社を含めた事業者間でシェアを奪い合う関係にあるなど,事業者間では活発な競争が行われているものと考えられる。近年,低価格によりシェアを伸ばしたり,高品質の製品を投入することによりシェアを伸ばすなどの行動を採る事業者が存在し,協調的な行動はみられない。
 また,「めん類等用つゆ」及び「だし入り味噌」の存在が,競争圧力として機能している。
 さらに,各社は十分な供給余力を有していると認められ,生産能力の増大も容易な状況にある。
 したがって,当事会社と競争事業者の協調的行動により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

第5 結論

 以上の状況から,本件行為により,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

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公表事例において隣接市場からの競争圧力の有無について検討を行った例

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