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(平成12年度:事例1)(株)第一勧業銀行,(株)富士銀行及び(株)日本興業銀行の持株会社の設立による事業統合

第1 本件の概要

 本件は,(株)第一勧業銀行(以下「第一勧銀」という。),(株)富士銀行(以下「富士銀」という。)及び(株)日本興業銀行(以下「興銀」という。)の3行が,経済のグローバル化と金融自由化が本格的に進展する中,総合的な金融サービスを提供するため,共同で持株会社を設立し,「みずほフィナンシャルグループ」として,全面的に統合するものである。
 3行は共同持株会社の下に3行を置くほか,3行の証券子会社3社(第一勧業証券(株),富士証券(株)及び興銀証券(株))と信託銀行子会社2社(第一勧業富士信託銀行(株)及び興銀信託銀行(株))が合併する。

第2 金融機関を取り巻く環境の変化について

1 金融市場の自由化の進展

 近年,我が国においては,直接金融市場の活性化を図るための自由化が進み,企業が株式,社債等を発行して資金調達を行う環境が整備された結果,大企業を主たる顧客基盤としていた都市銀行等は,今後,中小企業・個人向け取引を一層増加させる必要に迫られており,地方銀行等の地域金融機関との競合関係が一層強まっていくものとみられる。他方,大企業向け取引は,株式・社債の引受,保有資産の証券化等の金融商品の提供,M&Aの仲介のウエイトが高まり,外資系の金融機関や国内の大手証券会社との競争が強まるものとみられる。

2 情報技術の発展

 情報技術の発展や通信インフラの整備により,銀行業においても,インターネット等新たな媒体を活用した業務展開がみられるほか,顧客データベースの構築等積極的な情報投資が競争上重要となっている。また,他業種企業から情報技術を利用した新たな形態での銀行業への参入が計画されている。

3 バブル経済の崩壊

 銀行は,バブル経済の崩壊により多額の不良債権が生じたことから,収益力を高め,不良債権を償却し,資産内容を健全にするため,事業の再構築が必要となっている。

第3 独占禁止法上の検討

1 金融分野における競争について(10条,15条関係)

(1) 一定の取引分野について

 本件については,金融分野における競争への影響の検討に当たり,次のとおり一定の取引分野が成立すると判断した。

ア 預金業務
 主として全国市場について,全国に店舗を置いて営業展開する都市銀行(9行),長期信用銀行(3行)及び信託専業銀行(6行)で検討し,地域市場(都道府県)についてもその地域に店舗を置いて営業展開する地方銀行等を含めて検討することとした。

イ 貸出業務
 本件は,長期信用銀行である興銀と都市銀行である第一勧銀,富士銀との異業態間の銀行統合であるが,(ア)長短分離規制が撤廃されたこと,(イ)期限別貸出構成が同質化していること等を勘案すれば,提供する金融機能は同質のものと判断されるところ,主として全国市場について,全国に店舗を置いて営業展開する都市銀行,長期信用銀行及び信託専業銀行で検討し,地域市場(都道府県)についてもその地域に店舗を置いて営業展開する地方銀行等を含めて検討することとした。

ウ 外国為替業務
 外貨の売買を行う外国為替取引は,銀行が,輸出業者や個人の有する外貨と国内通貨である円を交換したり,輸入業者や個人の有する円と銀行自身が有する外貨を交換することにより,顧客から手数料を収受する「対顧客取引」と銀行相互間での外貨の調達や銀行自身が外貨により資金運用を行う「インターバンク取引」とに分けられるところ,いずれも,東京外国為替市場で活動する全金融機関ベースで検討することとした。

エ 証券業務
 株式,債券業務については,それぞれ,引受,売買において一定の取引分野が成立すると判断される。
 企業経営や財務戦略上の種々の課題に対し最適と考えられる金融商品やサービスを提供する投資銀行(インベストメントバンク)業務については,証券会社のほか銀行等の異業態の金融機関が参入していることから,全市場参加者ベースで検討することとした。

オ 信託業務
 信託銀行が営む業務について,全信託銀行ベースで検討することとした。

(2) 競争への影響の検討

 上記(1)で画定した取引分野のうち,競争への影響が大きい預金,貸出,債券の引受・売買及び信託業務について検討したところ,検討の結果は次のとおりであり,いずれの取引分野においても競争を実質的に制限することとはならないと判断される。

ア 預金業務について
 都市銀行,長期信用銀行及び信託専業銀行の18行ベースで,本件統合による3行のシェアを合算すると,20数%で,その順位は第1位となり,第2位の都市銀行との格差は8%強となるほか,複数の都市銀行等が統合を予定していることから,今後,集中度が高まると見込まれる。
 しかしながら,次のような状況が認められる。

(ア) 株式投資信託の新規設定が急増するなど,現在の低金利下で個人預金が投資信託等の代替的な金融商品に流入し,隣接市場である証券会社,投資信託委託会社,保険会社等が提供する預金を代替する金融商品が競争圧力となっていること

(イ) 隣接市場である郵便貯金(平成11年3月末における貯金残高は約250兆円)が競争圧力となっていること

(ウ) 低コストを反映した高い利回りを実現するインターネット専業銀行やコンビニエンスストアを利用した24時間サービスを行う消費者利便訴求型の銀行の参入が予定されており,これらが今後,有力な競争業者となっていくことが見込まれること

(エ) 現在の低金利下で,資産運用手段として株式等他の金融商品に見劣りしないよう,各銀行は金利優遇商品や懸賞付き商品など独自性のある多様な預金商品を提供し,預金獲得競争を展開していること

(オ) 大手都市銀行等の有力な競争業者が存在すること

 また,東京都においては,3行のシェアは20%を超え,その順位は第1位となるが,上記(ア)~(オ)の状況に加え,都市銀行,地方銀行等を合わせて127の銀行が事業活動を行っているほか,信用金庫等の多数の系統金融機関も存在していること

イ 貸出業務について
 都市銀行,長期信用銀行及び信託専業銀行の18行ベースで,本件統合による3行のシェアを合算すると,25%強で,その順位は第1位となり,第2位の都市銀行との格差は約14%となるほか,複数の都市銀行等が統合を予定していることから,今後,集中度が高まると見込まれる。
 しかしながら,次のような状況が認められる。

(ア) 資金調達手段が多様化され,大企業は社債,コマーシャルペーパー,売掛債権流動化等の間接金融にはよらない資金調達を進めており,隣接市場からの競争圧力が働くこと

(イ) 一般に,信用リスクが低く,貸出額の大きい大企業向け貸出は,縮小傾向にあるところ,資金調達の一部に間接金融を利用する大企業に対しては,(ア)の状況の下で,複数の大手都市銀行等の有力な競争業者が存在すること

(ウ) 中小企業向け貸出が3行の主要な収益基盤の一つとなることが見込まれるところ,一般に,大企業と比べて信用リスクが高いとされる中小企業向け貸出は,貸出資産の劣化・縮小を防ぐため,常に新たな貸出先の獲得が必要とされることから,大手都市銀行等の有力な競争業者との間で活発な競争が行なわれるものと見込まれること

(エ) 個人向け貸出は,多様なローン商品の開発,金利優遇,手続利便の向上等をめぐり,大手都市銀行等の有力な競争業者との間で活発な競争が行われるものと見込まれること

 また,東京都においては,3行のシェアは25%を超え,その順位は第1位となるが,上記(ア)~(エ)の状況に加え,都市銀行,地方銀行等を合わせて,127の銀行が事業活動を行っているほか,信用金庫等の多数の系統金融機関も存在しており,大企業,中小企業ともに取引先金融機関の変更が可能な状況にあること

ウ 債券の引受・売買業務について

 3行の証券子会社の合併により,社債の引受高シェアは,20%弱で,その順位は第1位となる。また,3行と結合関係のある証券会社を加えた場合の社債の引受高,公社債の売買高は,合算すると,それぞれ,25%弱・第1位,10%強・第1位となる。
 しかしながら,次のような状況が認められる。

(ア) 今後,企業の資金調達手段として直接金融の伸張が期待され,証券市場の需要拡大により競争は活発化すると見込まれること

(イ) 商品開発や販売力等の事業能力が高い大手証券会社等が有力な競争業者として存在すること

(ウ) 公社債の引受・売買業務においては,銀行の証券子会社の躍進が著しいところ,これら有力な競争業者が存在すること

(エ) 外資系証券会社が当該分野で業績を大きく伸ばしていること

エ 信託業務について

 合併を行う3行の信託銀行子会社に,富士銀の子会社である安田信託銀行(株)を合算してシェアをみると,信託全体では10%強で,その順位は第4位となるほか,有価証券信託,金銭債権信託及び不動産信託において第1位となる。
 しかしながら,信託全体としては,有力な競争業者が複数存在しているところ,長期化する低金利や規制緩和により信託商品の銀行窓口販売が解禁されるなど資産運用手段として信託分野は拡大しており,競争が活発に行われている。
 また,個別の信託分野をみると,次のような状況が認められる。

(ア) 有価証券信託及び金銭債権信託については,親銀行からの受託が多いこと

(イ) 不動産信託については,統合によるシェアの増加は0.5%にとどまるほか,大手信託銀行等の有力な競争業者が存在すること

2 事業支配力の過度の集中について(9条関係)

(1) 持株会社については,独占禁止法第9条において,事業支配力が過度に集中することとなるものの設立又は転化が禁止されているが,当委員会は,「事業支配力が過度に集中することとなる持株会社の考え方」(平成9年12月 公正取引委員会。以下「9条ガイドライン」という。)に従って,事業支配力が過度に集中することとなる持株会社かどうかを判断することとしている。
 具体的には,持株会社グループが9条ガイドラインに掲げる3つの禁止類型のうち,いずれかに該当する場合に事業支配力が過度に集中することとなるとされている。

(2) 3行の持株会社グループ(第一勧銀,富士銀,興銀+国内の子会社+実質子会社)が9条ガイドラインの3つの類型に該当するかについて以下の検討を行ったところ,いずれの禁止類型にも該当しないことから,本件持株会社は事業支配力が過度に集中することとはならないと判断した。

ア 第1類型
 持株会社グループの規模が大きく(持株会社グループの総資産合計額が15兆円超),かつ,相当数(5以上)の主要な事業分野のそれぞれにおいて別々の大規模な会社(単体総資産が3,000億円超)を有する場合が要件であるところ,金融会社を除いたグループの総資産合計額は15兆円を超えない。

イ 第2類型
 大規模金融会社(単体総資産額が15兆円超)と,金融又は金融と密接に関連する業務を営む会社以外の大規模な会社(単体総資産額が3,000億円超)を有する場合が要件であるところ,総資産が3,000億円を超える事業会社が存在しない。

ウ 第3類型
 相互に関連性のある相当数(5以上(規模が極めて大きい事業分野に属する有力な会社を有する場合3以上))の主要な事業分野のそれぞれにおいて別々の有力な会社(シェア10%以上又は売上高上位3位以内)を有する場合が要件であるところ,金融に関連する事業分野において,銀行以外に有力な会社が存在しない。

第4 産業界に与える影響について

 本件統合により,3行は,上場会社約2,300社(銀行,保険会社を除く。)のうち,約1,600社(約70%)に対して融資を行うこととなる。また,このうち3行からの融資額の合算が第1位となる上場会社は約700社弱(約30%)となる。
 このため,本件統合が産業界に与える影響について,3行から融資を受ける事業者(上場会社及び中堅・中小会社)等に対し,アンケート調査及びヒアリング調査を実施した。
 調査結果の主なポイントは,次のとおりである。

1 本件統合の評価

 事業会社へのアンケートの結果,本件統合に対する期待として,5割強の事業者が「金融サービスの向上」や「安定的な資金供給」をあげている。一方,本件統合による懸念は特にないとする事業者は15%弱にとどまり,「サービスの低下」,「借入条件の悪化」等何らかのマイナスの影響があるとの懸念を有している。

2 個別事業者の経営に与える影響

(1) 本件統合により,設備資金及び運転資金の調達の手段を変えるとする事業者は4割程度あった。他方,設備資金及び運転資金の調達で代替的な資金調達手段がなく,資金調達の構成を変えられないとする事業者は,全体の2割強にのぼっている。

(2) 統合後,3行合算の借入比率が,従来の借入比率第1位の銀行を上回る事業者のうち7割の事業者は,融資姿勢の変化に伴うリスクを回避するため,借入比率の調整を行うとしている。

(3) 借入条件については,半数の事業者は,本件統合による影響は特にないとしているものの,1割強の事業者は,不利になるとみている。

(4) 本件統合により,預金等借入以外の取引や社債引受の要請等が現にある又は今後強まると見込んでいる事業者は4割から5割と高い比率となっている。

3 業界再編への影響

 アンケートの結果,7割弱の事業者が「特段の変化はない」としており,本件統合が事業者の属する各業界の再編に影響を与えるとみているものは少なかった。

4 企業集団内取引への影響

(1) 富士銀は同行の主要取引先28社の社長をメンバーとして芙蓉会を,また,第一勧銀は同行の主要取引先48社の会長・社長をメンバーとして三金会を主催し,定期的に会合を開催している。

(2) 本件統合が,こうした企業集団にどのような影響を与えるかについてアンケート調査したところ,企業集団内外の取引の変化については,企業集団内外の事業者とも8割以上が特に変わらないとしており,企業集団が解消するとみている事業者は少なかった。また,企業集団の今後の動向については,企業集団に所属する事業者の5割強が,企業集団内の事業者同士の結び付きが維持・強化されるとの見方を有しており,結び付きが弱まるものとみている事業者の割合を上回った。

第5 独占禁止法及び競争政策上の取組

1 独占禁止法及び競争政策上の問題点の指摘

 当委員会は,上記第4の調査結果を踏まえ,3行に対して,以下のとおり,独占禁止法及び競争政策上の問題点の指摘を行った。

(1) 事業経営への関与について

ア 本件調査の過程において,事業規模が拡大する3行に対し,融資比率及び出資比率が高まる事業者は,銀行が以下のような行為を行う等,その事業経営への関与を懸念している。

  •  預金等借入以外の取引を行う(あるいは増やす)よう要請すること
  •  社債引受幹事を特定の証券会社とするよう要請すること
  •  社債の管理を当事会社で行わせるよう要請すること

イ 融資比率や出資比率の高まりを背景として,上記のような行為を行い,当該「要請」に応じない場合不利益な取扱いをする旨を示唆する等,3行の営業活動いかんによっては,不公正な取引方法(19条)につながるおそれがあることから,今後の事業活動に際しては,自社の影響力を背景として,取引先事業者に不利益を被らせるような行為がないように所要の対応が図られる必要がある。

(2) 企業集団について

 当委員会の実施した累次の企業集団調査においては,集団内取引の割合は年々減少している等の実態がみられるところ,今般の調査によれば,上記第4のとおり,企業集団内の取引に変化がなく企業集団内の事業者同士の結び付きが維持・強化されるとの見方が集団内外の事業者において多く,企業集団に属していることをもって取引先等の選別が行われ,排他的,閉鎖的な取引関係となるとの懸念があることから,これを払拭するために,所要の対応が図られる必要がある。

2 3行からの申出

 上記の問題点の指摘に対して,3行からは以下の申出があった。

(1) 事業経営への関与について

 融資比率や出資比率の高まりを背景として取引を要請することに対する懸念については,現状でも独占禁止法遵守についての役職員への周知徹底等の体制を整えるなど,コンプライアンスの徹底に努めているところ,統合後も引き続きこれに努めるとともに,新設される持株会社において,指摘のあったような行為を行わないようグループ全体のコンプライアンス統括機能を全うするための体制作りを行う。

(2) 企業集団について

 みずほフィナンシャルグループは,中立的かつ開かれた金融グループとして事業活動を行うこととしており,同グループが中心となって特定の排他的な企業集団を形成していくことは考えていない。平成14年春に予定している傘下銀行の統合・再編時までに,銀行を中心に運営される形での企業グループは,解消を含め,運営の見直しを行う。
 具体的には,芙蓉会については,富士銀が事務局・幹事役を外れ,開催場所についても同行本店から他所に変更することを決定している。また,三金会も,運営方法について同様の方向で見直しを行う。

第6 当委員会の今後の対応

1 本件の事業統合について,相談のあった持株会社の設立,その下に3行を置くこと,3行の証券子会社3社及び信託銀行子会社2社の合併については,独占禁止法上の規定に違反するおそれはないと認められた。
 また,平成14年春を目途とする当事行の更なる再編については,必要に応じて,改めて検討することとする。

2 本件統合が産業界に与える影響に関して,当委員会が指摘を行った問題点に対する当事行からの申出については,その実施状況を十分注視していくとともに,独占禁止法に違反すると認められる行為がある場合には,これに対して厳正に対処していくこととする。

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公表事例において参入について検討を行った例

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