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(平成13年度:事例1)住友金属工業(株)及び三菱マテリアル(株)によるシリコンウエハー事業の統合

(平成13年度:事例1)住友金属工業(株)及び三菱マテリアル(株)によるシリコンウエハー事業の統合

1 本件の概要

(1) 本件は,住友金属工業(株)(以下「住友金属」という。)並びに三菱マテリアル(株)(以下「三菱マテリアル」という。)及びその100%子会社である三菱マテリアルシリコン(株)(以下「三菱MS」という。)が,経営資源の効率的利用等を目的として,次世代の300mmシリコンウエハー(以下「300mmウエハー」という。)を含め,両社のシリコンウエハー事業全体を統合しようとするものである。

 (注) 住友金属,三菱マテリアル及び三菱MSは,平成11年3月,共同出資会社である(株)シリコン・ユナイテッド・マニュファクチュアリング(以下「SUMCO」という。)を設立し,シリコンウエハーのうち次世代の300mmウエハーについて,技術開発及び試作品用生産設備の管理・運営を共同で行っている。

(2) シリコンウエハーとは,半導体回路の基板となる円盤状の材料であり,ユーザーである半導体メーカーがこれを加工・切断して,ダイオード,トランジスタ,IC(集積回路),LSI(大規模集積回路)などの電子機器用のシリコンチップにしている。
 現在のシリコンウエハーは,直径が150mm及び200mmのものが主力であるが,将来的には,200mmシリコンウエハーの2倍強のチップを生産でき,かつ,生産コストを大幅に削減できる300mmウエハーが主力となるとみられており,現在,シリコンウエハーメーカー各社は,主に,ユーザーである半導体メーカー向けの試験用として300mmウエハーを生産している。

2 独占禁止法上の考え方

(1) 一定の取引分野

 本件においては,シリコンウエハーの製造・販売について,一定の取引分野が成立すると判断した。

(2) 競争への影響

 当事会社のシリコンウエハーの国内における販売金額シェアを合算すると,約30%となり,その順位が第1位となる。
 しかしながら,以下の事情を総合的に勘案すれば,本件統合により,2(1)で画定した取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

 販売金額シェアで10%を超す競争業者が複数存在し,そのうち1社は20%を超す競争業者であること。また,複数の海外の有力メーカーが国内に参入し,生産拠点を持っていること

 ユーザーは大手半導体メーカー等であり,その価格交渉力は強く,シリコンウエハー価格も年々下落傾向にあること

 ユーザーは,競争的価格での購入等を目的として,複数のメーカーからシリコンウエハーを購入していること

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