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(平成16年度:事例2)株式会社スズケンによる沖縄薬品株式会社の株式取得について

第1 本件の概要

 本件は,株式会社スズケン(以下「スズケン」という。)が,平成16年10月を目途に,株式交換により,沖縄県において医薬品卸売業を営む沖縄薬品株式会社(以下「沖縄薬品」という。)を子会社とすることを計画したものである。本件株式取得により,スズケンの子会社であって沖縄県において医薬品卸売業を営む株式会社スズケン沖縄(以下「スズケン沖縄」という。)と沖縄薬品との結合関係が形成されることとなる。
 本件株式取得の関係法条は,独占禁止法第10条である。

第2 商品及び役務の概要

 当事会社が取り扱っている商品は,次表のとおり,医薬品である医療用医薬品,一般用医薬品,動物用医薬品及び診断薬と,医療用機器・材料であり,当事会社などの医薬品卸売業者は,多数のメーカーの商品の品揃えを図って販売する等の役務を提供している。

取扱品目 機能・効用 ユーザー
(1)医療用医薬品 医療機関において医師が治療に使用し,または処方する医薬品(保険医療で使用される)であり,新薬(新規に開発・製造された医薬品)と後発品(新薬の特許消滅後に製造される新薬と同じ薬効の医薬品)がある。 医療機関,薬局
(2)一般用医薬品 最終ユーザーである一般消費者が,薬局・薬店で購入可能な医師の処方箋を必要としない医薬品 薬局・薬店
(3)動物用医薬品 動物の治療に用いられる医薬品 医療機関
(動物病院)
(4)医療用機器・材料 医療機関が検査・治療のために使用する機器 医療機関
(5)診断薬 医療機関が実施する各種検査に用いられる医薬品 医療機関

第3 独占禁止法上の考え方

1 一定の取引分野

(1) 商品及び役務の範囲

 本件における一定の取引分野は,ユーザーからみて機能・効用が同種であるか否かなどの観点から,前記第2のとおり,医療用医薬品,一般用医薬品,動物用医薬品,医療用機器・材料及び診断薬の卸売分野について画定される。
 なお,一般用医薬品のうち薬局・薬店と直接取引する医薬品メーカー(以下「直販メーカー」という。)の製品は,医薬品卸売業者が取り扱うことがないため,本件における一定の取引分野には含まれない。

(2) 地理的範囲

 沖縄県においては,医療用医薬品のユーザーである医療機関等は,医薬品の欠品が生命に直接影響することから,緊急時に対応できるように,主として県内に営業拠点を持つ医薬品卸売業者と取引している。一方,一般用医薬品については,ユーザーである薬局・薬店は,緊急時の対応が不要であるため,県外に営業所を置いている医薬品卸売業者又は直販メーカーとの取引も可能ではあるが,台風の影響で本土(本州,九州等)との交通機関が数日間麻痺することがあるなど納品面の不安があることから,主として沖縄県内に営業拠点を持つ医薬品卸売業者又は直販メーカーと取引している。
 また,沖縄県が,本土との距離が非常に遠く,県外の営業所からの営業では効率的ではないために,沖縄県で営業している医薬品卸売業者は,沖縄県内に営業所を置いて営業を行っている。
 以上により,本件における一定の取引分野の地理的範囲は,沖縄県の地域に画定される。

2 詳細審査分野

 前記1で画定した取引分野のうち,(3)動物用医薬品及び(4)医療用機器・材料については,株式取得後の当事会社グループのシェアが10%以下と市場での地位が低いこと,(5)診断薬については,有力な競争業者が3社存在し,また,検査機器メーカーによる医療機関への直販が卸売分野全体の約15%を占めるため,卸売業者間の協調を妨げる要因になり得ると考えられること等から,詳細な検討は必要ないと判断し,本件行為後の市場状況,販売数量シェア及び順位に基づき,特に競争に及ぼす影響が大きいと考えられた(1)医療用医薬品及び(2)一般用医薬品について,重点的に審査を行った。

第4 取引分野ごとの検討

1 医療用医薬品の卸売分野について

(1) 市場の状況

 平成14年度の沖縄県における医療用医薬品の卸売分野の市場規模は,約485億円である。本件株式取得により,当事会社グループの医療用医薬品の合算販売額シェア・順位は,約40%・第1位となる。

順位 会社名 シェア
1 A社 約30%
2 B社 約25%
3 スズケン沖縄 約20%
4 沖縄薬品 約20%
  その他の卸売業者 約5%
(1) 当事会社グループ合算 約40%
  合計 100%

 (出所:調査結果を基に当委員会において作成)

(2) 考慮事項

ア 単独行動による競争の実質的制限についての検討

(ア) 当事会社グループのシェアが約40%であるところ,25%以上のシェアを持つ有力な競争業者が複数存在する。

(イ) 医薬品卸売業者は,通常,どのメーカーの医薬品であっても,少なくとも二次店として取り扱うことが可能であり,また,医療機関等から幅広い品揃えを要求され,多数のメーカーの同薬効の医薬品を取り扱っている。

(ウ) 前記(ア)及び(イ)から,当事会社グループが単独で価格を引き上げようとする場合には,医療機関等は取引先を他の医薬品卸売業者に変更することが容易である。

(エ) 医療機関等は,非常に厳しい経営状況の下,医薬品の購入費用削減に努めており,入札等の方法により,価格の安い医薬品卸売業者から購入している。また,近年,他の医療機関等との間で一括共同購入する動きが進んでいることから,医療機関等の価格交渉力が強くなっている。

イ 協調的行動による競争の実質的制限についての検討

(ア) 主要な競争業者が4から3に減少し,HHI(注)が3,000超と著しく高度に寡占的な市場構造になるが,沖縄県のユーザーである医療機関等の大部分を占める民間の医療機関等の多くは,商品の価格だけでなく,価格に含まれるサービスの提供内容も取引先選別の判断材料としており,これら民間の医療機関等については,卸売業者が提供するサービス内容に格差があることから,卸売業者間での協調が行われにくい状況にある。

 (注) HHI(ハーフィンダール・ハーシュマン指数)は,当該一定の取引分野における各事業者の市場シェアの2乗の総和によって算出され,1,000以上であれば寡占的,1,800以上であれば高度に寡占的であるとされている。

(イ) 医療機関等は,非常に厳しい経営状況の下で医薬品の購入費用削減に努めており,当事会社グループ等の県内卸売業者からの購入価格が高い場合には,価格が非常に安い県外の卸売業者や後発品を取り扱っている専門卸売業者から医療用医薬品を購入することが可能である。
 また,特に国公立病院においては,最近,コスト意識を強めており,一括共同購入による価格引下げを図るとともに,価格が非常に安い県外の卸売業者及び後発品専門卸売業者の入札参加,後発品の使用割合の増加といった発注方法の工夫を図り,価格交渉力を強めている。
 以上のように,医療機関等は,価格が非常に安い県外の卸売業者や後発品専門卸売業者から医療用医薬品を購入することが可能であり,このことが卸売業者との価格引下げの交渉材料になることから,これらの取引先の存在が,卸売業者間の協調を妨げる要因となり得ると考えられる。

(ウ) 法制度上の新規参入障壁がなく,医療機関等との取引関係が固定的ではないことから,参入は困難ではない。

2 一般用医薬品の卸売分野について

(1) 市場の状況

 平成14年度の沖縄県における一般用医薬品の卸売分野の市場規模は,約30億円である。本件株式取得により,当事会社グループの一般用医薬品の合算販売額シェア・順位は,約15%・第3位となる。

順位 会社名 シェア
1 C社 約40%
2 D社 約25%
3 沖縄薬品 約10%
4 スズケン沖縄 約5%
  その他の卸売業者 約20%
(3) 当事会社グループ合算 約15%
  合計 100%

 (出所:調査結果を基に当委員会において作成)

(2) 考慮事項

 一般用医薬品については,当事会社グループの地位が低いことから卸売業者間の協調的行動による競争への影響面を重点的に審査した。

 隣接市場として直販メーカーの医薬品が存在し,薬局・薬店への一般用医薬品の卸売分野全体の約3割を占めている(金額ベース)ことから,卸売業者間の協調を妨げる要因になり得る。

 一般用医薬品のユーザーである薬局・薬店においては,ドラッグストアチェーンを中心として,活発な価格競争が行われていることから,医薬品卸売業者に対する価格引下げ要求が厳しくなっており,また,ドラッグストアチェーンは,当事会社グループ等の県内卸売業者からの購入価格が高い場合には,価格が非常に安い県外の卸売業者から一般用医薬品を購入することが可能であり,さらに,他県の医薬品卸売業者から,本部での一括購買窓口を通じて購入している者もいる。
 以上のことから,価格交渉力が強いドラッグストアチェーンの存在は,川下からの競争圧力となるため,卸売業者間の協調を妨げる要因になり得る。

第5 独占禁止法上の評価

1 医療用医薬品の卸売分野

 前記第4の1(2)の検討結果を総合的に勘案すると,本件株式取得により,沖縄県における医療用医薬品の卸売分野について,単独行動又は協調的行動により競争を実質的に制限することとはならないと考えられる。

2 一般用医薬品の卸売分野

 当事会社グループの地位が低いこと(3位約15%)及び前記第4の2(2)の検討結果を総合的に勘案すると,本件株式取得により,沖縄県における一般用医薬品の卸売分野について,単独行動又は協調的行動により競争を実質的に制限することとはならないと考えられる。

第6 結論

 以上の状況から,本件株式取得により,沖縄県における医療用医薬品及び一般用医薬品の卸売分野における競争を実質的に制限することとはならないと判断した。

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公表事例において参入について検討を行った例

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