11 日用品メーカーによる外注加工の共同化

日用品メーカーが,コスト削減を図るため,成型加工メーカーへの外注加工を共同化することについて,独占禁止法上問題ないと回答した事例。

1 相談者

 A社(日用品メーカー)

2 相談の要旨

(1) A社,B社及びC社(以下「A社ら3社」という。)は,日用品の甲製品のメーカーである。

(2) A社ら3社の甲製品の販売市場におけるシェアの合計は約25%であるが,甲製品を製造している有力な日用品メーカー等が他に3社あり,それぞれのシェアは,約40%,20%強,10%弱となっている。

(3) 甲製品のメーカーは,甲製品の成型加工を外注している場合が多く,A社ら3社の場合,成型加工会社への外注に要する費用(以下「外注費」という。)は,原材料費を含め甲製品の販売価格の約80%を占めている。また,甲製品の成型加工市場においてA社ら3社が占める割合は,約25%である。
 A社ら3社は,外注費を削減するため,外注加工を共同化し,各社の発注数量を集約したいが,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

 A社ら3社は,外注加工の共同化を行うものであることから,本件は,不当な取引制限の観点から検討する。

(1) 競争関係にある事業者が,共同して,商品又は役務の価格,取引の相手方等を取り決め,一定の取引分野における競争を実質的に制限する場合には,不当な取引制限に該当し,違法となる。[独占禁止法第3条(不当な取引制限)]

(2)
ア 甲製品の成型加工市場における,A社ら3社の占める割合が高い場合,甲製品の成型加工市場における競争を実質的に制限するおそれがある。
 相談の場合においては,甲製品の成型加工市場におけるA社ら3社の占める割合は約25%であることから,A社ら3社が外注加工の共同化を行っても,甲製品の成型加工市場における競争を実質的に制限するものとはいえず,独占禁止法上問題ないものと考えられる。

イ 一方,販売市場における競争への影響については,甲製品の販売市場におけるA社ら3社のシェアが高く,かつ,製品の製造に要する外注費の割合が高いときには,外注加工の共同化に伴う外注費の共通化が,販売価格の制限につながり,独占禁止法上問題となるおそれがある。
 相談の場合においては,甲製品の販売市場におけるA社ら3社のシェアの合計は約25%となり,甲製品の販売価格に占める外注費の割合は約80%に上るが,(1)A社ら3社以外にもシェア40%の首位メーカーなど有力なメーカーが存在すること,(2)A社ら3社は,甲製品の販売については,本件共同化の実施後も従来と同様に各社がそれぞれ独立に行うとしていることから,本件外注加工の共同化が,外注費の共通化を通じて,甲製品の販売市場における競争を実質的に制限するおそれはないと考えられ,独占禁止法上問題ない。

4 回答の要旨

 A社ら3社が,甲製品について外注加工を共同化することは,独占禁止法上問題ない。

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