37 部品の供給年限に関する自主基準 [団体ガイドライン8(2)]

1 相談者

 建設機械製造業者の団体(平成9年度)

2 相談の要旨

(1) 近年,ユーザーのニーズに応じた建設機械のモデル数の増加に伴い,会員の補修用部品の管理コストが著しく大きくなっている。このため,当団体では,在庫コスト縮減を目的として,会員が補修用部品を在庫保管する期間に関する自主基準を定めることを検討している。
 その内容は,すべての建設機械の部品を対象とし,機械の生産中止後,法定償却年数プラス5年を供給年限とするというものである。ただし,供給年限後,会員は部品供給を中止するという意味ではなく,この期限までは在庫に努めるが,年限経過後は,受注生産に切り替えるというものである。
 このように,団体として,会員の部品供給に係る年限を自主基準として定めることは,独占禁止法上問題ないか。

(2) なお,政府の「公共工事コスト縮減に関する行動指針」(閣議決定)においても,業界において取り組むべき事項として,建設機械部品の規格化・標準化とともに,即納年限の設定等部品供給の円滑化・効率化が盛り込まれている。また,自主基準の内容については,当団体だけで検討したものではなく,関係省庁及びユーザーの団体の参加を得て検討を行い,理解を得たものである。

3 独占禁止法上の考え方

(1) 事業者団体が社会公共的な目的等のために行う営業方法等の自主規制等に係る競争阻害性の判断については,

[1] 競争手段を制限し需要者の利益を不当に害するものではないか,
[2] 事業者間で不当に差別的なものではないか,
[3] 社会公共的な目的等正当な目的に基づいて合理的に必要とされる範囲内のものか,

 の要素を勘案しつつ,判断される。
 なお,事業者団体が自主規制等の利用・遵守を構成事業者に強制することは,一般的には独占禁止法上問題となるおそれがある。[団体ガイドライン8(2)(営業の種類,内容,方法等に関する行為)]

(2)
ア 補修用部品の供給年限は,メーカー間の競争の手段となり得るものであるが,建設機械は,通常,製品の価格,性能,効用などの面で競争が行われており,補修用部品の供給年限自体が直接の競争手段になるとは考えにくい。
 また,自主基準は,供給年限経過後の機械であっても,使用者,整備業者からの要請に対しては,納期,価格等について個別に相談の上要請に応じるという内容になっており,供給年限を超えた場合に補修用部品を供給しないというものではなく,また,基準の設定に当たっては,ユーザーの意見も踏まえたものとされており,需要者の利益を不当に害するものとはいえない。

イ 自主基準は,平均使用年数,部品の需要動向等の調査に基づき作成されたものであり,また,年限の設定は各品目について一律に定められていることから,特定の事業者を不当に差別的に取り扱うものとはいえない。

ウ 補修用部品の管理コストの引下げにより,部品価格低下,部品供給体制の効率化等のメリットが生じる可能性があり,部品管理の効率化は社会的要請に対応するものであると考えられる。自主基準の対象及び内容についても,目的にかんがみて合理的に必要とされる範囲を超えるものではないと考えられる。

エ 以上により,相談の自主基準を策定することは,その遵守を会員に強制するものでない限り,それ自体競争を阻害するものではなく,独占禁止法上問題ない。

4 回答の要旨

 団体として,補修用部品の供給年限について,相談の内容を自主基準として定めることは,その遵守を会員に強制するものでない限り,独占禁止法上問題ない。

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