38 発注方法に関する取引先に対する改善要望 [団体ガイドライン8-1]

1 相談者

 紙類卸売業者の団体(平成10年度)

2 相談の要旨

(1) 洋紙や板紙は主に印刷物に利用されており,当会員の取引先は,印刷業者,文具製造業者,出版会社等である。取引先から発注された場合,取引先まで配送して納品することになるが,配送費用については,会員が負担する慣行となっている。

(2) 昨今の景気低迷で発注量が減少し,また,急な注文や1日に多頻度の注文がなされる場合も増加しており,配送費の負担が会員にとって大きな問題となっている。このような現状は,業界全体に共通していることから,取引先に対して,なるべく1回当たりの発注量を増やし,急な注文を避けてもらうことにより,効率良く配送していきたいと考えている。しかし,需要が減少している状況下では,取引の立場上,取引先に対して会員が個々に要望することが非常に困難となっている。

(3) そこで,団体として,会員の取引先に対して,早期発注やまとまった発注により計画的な配送ができるよう要望する文書を配布するとともに,その旨をPRするために,配送用のトラックにステッカーを貼付することとしたいが,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

(1) 営業の種類,内容,方法等は,事業者間の競争の手段となり得るものであり,事業者団体がこれを制限することにより,競争を阻害することは,独占禁止法第8条第1項第4号等の規定に違反し,また,これにより,市場における競争を実質的に制限することとなる場合には,独占禁止法第8条第1項第1号の規定に違反する。
 事業者団体が,特定の販売方法を構成事業者が用いないことを決定することは,独占禁止法上問題となるおそれがある。[団体ガイドライン8-1(特定の販売方法の制限)]

(2)
ア 相談の場合においては,

[1] 会員の取引先に対して,早期発注やまとまった発注により計画的な配送ができるよう要望する文書を配布し,

[2] その旨をPRするためにステッカーを配送用のトラックに貼付するものであり,団体が会員に対して具体的な営業方法,取引条件を制限するものではないことから,当該文書やステッカーを作成し,配布することは,その使用が会員の任意の判断にゆだねられている限り,独占禁止法上問題ない。

イ しかし,多頻度小口配送は,一般的には取引条件の一部として事業者間の競争手段となり得るものであることから,団体として,会員が一律にこれを行わないことを決定することは,独占禁止法上問題となるおそれがある。

4 回答の要旨

 団体が,計画的な配達ができるよう要望する文書を配布するとともに,その旨をPRするためにステッカーを配送用のトラックに貼付することは,独占禁止法上問題ない。

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