50 付帯サービスの取扱いの明確化 [団体ガイドライン8-7]

1 相談者

 セメント製造業者の団体(平成10年度)

2 相談の要旨

(1) セメントの流通について,商流は製造業者から販売店を通じてユーザーに販売されているが,物流は製造業者から生コン業者等に直接納入されている。セメントの販売店は,製造業者により系列化されている。

(2) セメント取引の契約書の締結状況については,製造業者と販売店との間ではほぼ100%であるのに対して,販売店とユーザーとの間では約30%という低い状況にある。また,取引に付随して製造業者からユーザーに対して付帯サービスが提供されているものもある。例えば,セメントサイロの提供や試験練り等の各種試験・検査,要員派遣等については,慣行的に行われている。製造業者は,契約書の締結や取引上不透明な付帯サービスの廃止,それを提供する場合の費用の明確化を希望しているが,ユーザーとの力関係や他の製造業者との競争により見直しができていない状況にある。

(3) しかし,当団体は,取引の透明化・近代化を促進するため,契約の文書化や慣行的な付帯サービスの取扱いの明確化を図ることが必要であると考えている。
 そこで,当団体として,セメント取引の透明化や近代化を促進するため,販売店とユーザーとの取引に関して,付帯サービスの提供範囲やその有償・無償の区分を示して明確化・透明化を図ることとし,この旨を販売店及びユーザーに示したいが,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

(1) 事業者団体が,取引条件明確化のために,モデル契約書の作成,契約の文書化の奨励等を,取引条件自体の内容(具体的な価格,支払条件,納期等)に関与しないで行うことは,特定の事業者に対して差別的な内容でなく,構成事業者にその利用又は遵守を強制するものでない限り,原則として独占禁止法上問題とならない。[団体ガイドライン8-7(取引条件明確化のための活動)]

(2) ユーザーに提供する付帯サービスは,製造業者間の競争手段の1つになっていることから,どのようなサービスを付帯サービスとするのか,それを有償又は無償とするかは個々の取引事業者間で交渉・決定されるべきものであり,団体として,付帯サービスの提供範囲やその有償・無償の区分を決定することは,独占禁止法上問題となる。
 しかしながら,取引条件の明確化・透明化を図るため,個々の取引事業者間の交渉で決定された付帯サービスの内容を契約で文書化するよう求めていくこと自体は,独占禁止法上問題ない。

4 回答の要旨

 団体が,付帯サービスの提供範囲やその有償・無償の区分を決定することは,独占禁止法上問題となる。

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