53 会員別出荷数量等の情報交換 [団体ガイドライン9-1]

1 相談者

 研削材製造業者の団体(平成8年度)

2 相談の要旨

(1) 現在,国内の研削材メーカーは8社であり,そのうちの7社が当団体の会員である(残りの1社は最近まで会員であったが,脱退している。)。しかし,会員のシェアは,東南アジアからの輸入品が国産品の2~3倍出回っているため30%前後である。

(2) 現在,当団体で検討している事業の一つに,研削材の品種別生産・出荷数量に関する情報活動がある。
 その内容は,毎月会員7社及び脱退会社1社(以下「会員等」という。)から研削材の品種別,用途別生産・出荷数量の総計について任意に情報を提供してもらい,このデータを当団体で集計,整理して月ごとの統計資料を作成し,会員等及び関連団体等に提供しようというものである。

(3) 統計資料は会員等に提供するものと関連団体等に提供するものとの2種類とする。会員等に提供するものは各社別の生産・出荷数量が分かるようになっているものであり,関連団体等に提供するものは品種別,用途別の合計数値である。
 これらの情報提供活動を行うことは独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

(1) 事業者団体が,構成事業者が供給し,又は供給を受ける商品又は役務の価格,数量の具体的な計画や見通し等,各構成事業者の現在又は将来の事業活動における重要な競争手段に具体的に関係する内容の情報について,構成事業者との間で収集・提供を行い,競争関係にある事業者間において,現在又は将来の事業活動に係る重要な競争手段の具体的な内容に関して,相互間での予測を可能にするような効果を生ぜしめる場合には,独占禁止法上問題となるおそれがある。
 [団体ガイドライン9-1(重要な競争手段に具体的に関係する内容の情報活動)]

(2)
ア 団体として,当該産業の活動実績を全般的に把握し,周知するために,過去の生産,販売に係る数量等構成事業者の事業活動に係る過去の実績を任意に収集して,客観的に統計処理し,個々の構成事業者の数量等を明示することなく,概括的に公表することは,独占禁止法上問題ない。

イ しかしながら,会員等に提供する資料は,各社が公表していない過去の品種別生産・出荷数量に係る数値を,個々の事業者ごとに数値を明示して提供するものであり,このような情報活動を行うことは,各社間の生産数量等の制限に係る暗黙の了解若しくは共通の意思の形成につながり,独占禁止法上問題となるおそれがある。

4 回答の要旨

 団体が,生産数量等に係る数値を個々の事業者ごとに数値を明示して会員等に提供することは,独占禁止法上問題となるおそれがある。

ページトップへ