65 会員に対する原価計算指導 [団体ガイドライン10-4]

1 相談者

 建設資材のリース業者の団体(平成8年度)

2 相談の要旨

(1) 建設資材のリース料は,各会員がそれぞれ原価計算を行い算出しているが,会員によって原価計算の方法はまちまちであり,中には適切な原価計算を行っていないと思われる会員も見受けられる。そのような事情もあって,会員の中からは,団体で標準的な原価計算方法について示してほしいという要望が出されている。

(2) そこで,当団体において,会員の適正な積算に資するために,原価計算の参考となる資料を作成の上,会員に配布することを考えているが,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

(1) 事業者団体が,中小企業に対して,原価計算や積算について標準的な項目を掲げた一般的な方法を作成し,これに基づいて原価計算や積算の方法に関する一般的な指導又は教育を行うことは,事業者間に価格や積算金額についての共通の目安を与えることのない限り,原則として独占禁止法上問題とならない。[団体ガイドライン 10-4(原価計算の一般的な方法の作成等)]

(2)
ア 中小企業は,大企業に比較して,一般的には経営基盤が脆弱であり,経営に関する知識,情報等が相対的に不足する面があることから,団体が会員のうち中小企業の会員に対して経営指導を行うことは,それにとどまる限り,独占禁止法上問題ない。
 したがって,団体において,中小企業の会員に対し,原価計算に関する標準的な項目を掲げた一般的な方法を示し,これに基づいて原価計算や積算の方法に関する一般的な指導を行うことは,独占禁止法上問題ない。

イ しかし,具体的な数値を示して原価計算指導を行うことにより,会員の現在又は将来のリース料について具体的な目安を与えることになれば,問題となるおそれがある。

4 回答の要旨

 団体が,中小企業の会員に対して原価計算や積算の方法に関する一般的な指導を行うことは,独占禁止法上問題ない。

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