66 経営近代化のためのコスト分析の研究 [団体ガイドライン10-4]

1 相談者

 液体酸素製造業者の団体(平成5年度)

2 相談の要旨

(1) 液体酸素は,工場,病院等で広く使用されており,会員は,これらユーザーと直接契約している例が多く,供給のための設備(ユーザーの受入装置)を設置した上で取引している。
 しかし,取引条件については,液体酸素の供給に限定して設定されることが多く,供給に付随する受入装置や保安の費用については明らかにされていない場合がほとんどであり,会員各社とも適正なコスト分析を行っていない状況にある。
 また,ユーザーとの取引が,通常,長期継続取引となっているため,従来から文書による販売契約を締結しているケースは極めて少なく,大部分は,長年の商慣習,信用関係に基づいて取引を行っているが,このことも適正なコスト分析を妨げる一因となっている。
 このため,当団体としては,業界を取り巻く経営環境が厳しくなっている折,会員各社にまず適切なコスト意識をもって経営近代化に努めてほしいと考えている。

(2) ついては,当団体として,液体酸素の製造,供給,保安に要するコスト要因の分析及びコスト低減を目指しての研究を行い,会員のコスト意識を高揚するとともに,主要な契約項目を盛り込んだ液体酸素の取引に係る基本契約書のモデルを作成して会員に配布することとしたいが,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

(1) 事業者団体が,中小企業に対して,原価計算や積算について標準的な項目を掲げた一般的な方法を作成し,これに基づいて原価計算や積算の方法に関する一般的な指導又は教育を行うことは,原則として独占禁止法上問題とならない。[団体ガイドライン 10-4(原価計算の一般的な方法の作成等)]

(2) 相談の場合においては,団体が,会員のコスト要因の分析やコスト低減化の方策の研究を行うことは,コストの現状についての―般的な問題点の分析や会員各社が取り組むべき課題の提示にとどまる限り,独占禁止法上問題ない。
 ただし,単なる問題点の分析等にとどまらず,団体として,費用項目ごとの標準的な原価を策定したり,原価計算の基準を策定したりすることは,価格についての具体的な目安を与えることから,独占禁止法上問題となる。

4 回答の要旨

 団体が,製造,供給,保安に要するコスト要因の分析及びコスト低減を目指しての研究を行うことは,独占禁止法上問題ない。

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