81 屋外競技場の舗装に関する積算資料の作成 [入札ガイドライン2-2]

1 相談者

 屋外競技場の舗装工事業者の団体(平成7年度)

2 相談の要旨

(1) グラウンド舗装工事の発注者は大部分が官公庁であり,受注業者の選定は入札によることが多い。
 グラウンド舗装工事は,通常の道路舗装工事と異なり,機械や材料の搬入が困難なことが多く,また,施工条件(形状・高低差,透水性,給排水設備等)も複雑であり,工事の積算に当たってはこれらの諸条件を十分考慮して行う必要があるが,会員には中小企業も多く必ずしも積算能力が十分とはいえない状況にある。
 また,発注者側においても,グラウンド舗装工事に関する専門的知識が不足している自治体が多く,そのため,工事予算作成の資料として,積算方法,歩掛かり等舗装工事の内訳に関する資料や実際の積算価格に関する資料の提供を求められることが多い。

(2) そこで,団体として,会員の適正な積算に役立てるとともに,発注者側の予算作成の参考資料として提供するために,代表的な工事の積算価格の例を作成して,会員及び発注者側に配布することとしたいが,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

(1) 入札の対象となる商品又は役務の価格水準や価格動向に関する情報について,発注者からその予定価格の積算に資するための情報提供の依頼を受ける等して,当該入札に参加しようとする事業者間で情報交換を行い,又は事業者団体が,それら事業者との間で情報を収集・提供し,若しくはそれら事業者間の情報交換を促進することは,独占禁止法上問題となるおそれがある。
 また,提供される価格水準に関する情報を基礎に発注者が予定価格を算定することを認識する等しながら,事業者が共同して又は事業者団体が,商品又は役務の価格について発注者に情報提供する内容を決定することは,価格制限行為につながるものとして,独占禁止法上問題となる。
 [入札ガイドライン2-2(入札の対象となる商品又は役務の価格水準に関する情報交換等)]

(2) 発注者側の予算作成のための参考資料として利用することが目的とはいえ,代表的工事に関して個々の積算項目ごとに具体的な単価を掲載した積算価格の例を作成して会員及び発注者に配布することは,見積書作成の過程等において,団体が会員との間で情報を収集・提供し,若しくは会員間の情報交換を促進することとなり,会員間に工事積算額についての共通の目安が形成されることにつながるおそれがあることから,独占禁止法上問題となる。

4 回答の要旨

 団体が,代表的工事に関して個々の積算項目ごとに具体的な単価を掲載した積算価格の例を作成して会員及び発注者に配布することは,独占禁止法上問題となる。

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