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1 システム製品の販売業者による不当廉売

 システム製品の販売業者が,官公庁の発注する調査・研究業務の入札において,既に実施済みの調査・研究業務に要した費用を原価に算入せずに入札価格を設定する場合,当該入札価格が「供給に要する費用を著しく下回る対価」となる可能性があると回答した事例

1 相談者

 X社(法人向け及び官公庁向けシステム製品の販売業者)

2 相談の要旨

(1) X社は,主に法人向け及び官公庁向けシステム製品の販売を行っている事業者である。X社は,今後のシステム製品の受注に向けて,官公庁等が今後導入すると考えられるシステム製品の情報を収集し,当該システム製品の特徴,今後の技術動向等についての調査・研究業務を行い,必要に応じて官公庁等に対して当該システム製品を提案する活動も行っている。

(2) システム製品のユーザーである官公庁等においても,システム製品を導入する際に,システム製品自体の発注に先立ち,現行のシステム製品のメリット・デメリットや今後の技術動向の調査,発注予定のシステム製品の機能の一部を有する試作品の製作・使用報告等の調査・研究業務を発注することが一般的である。

(3) X社は,官公庁Yを含む複数の顧客がシステム製品Aを導入すること,当該顧客がシステム製品Aに係る調査・研究業務を発注すること等が見込まれることが市場調査の結果等から明らかになったため,システム製品Aに絞った調査・研究業務(以下「本件調査研究業務」という。)を積極的に実施してきたところ,今般,官公庁Yが,システム製品Aの技術動向,試作品の製作等を内容とする調査・研究業務を入札により発注することとなった(以下,この入札を「本件入札」という。)。

(4) X社は,本件入札に参加することとしている。

(5) 官公庁Yが発注するシステム製品Aに係る調査・研究業務の内容は,X社が社内で既に実施済みである本件調査研究業務とほとんど一致しているため,仮に,官公庁Yのシステム製品Aに係る調査・研究業務を受注したとしても,X社は,新たに調査・研究業務を行う必要がほとんどない。そこで,X社は,本件入札に参加するに当たり,既に実施済みであって,一括して計上されている本件調査研究業務に要した費用を原価に算入せずに,入札価格を設定することを検討している。

このようにして設定した入札価格は,独占禁止法第2条第9項第3号で規定する「供給に要する費用を著しく下回る対価」に該当するか。

3 独占禁止法上の考え方

(1) [1]正当な理由がないのに,商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し,他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある場合(独占禁止法第2条第9項第3号)及び[2]独占禁止法第2条第9項第3号に該当する場合のほか,不当に商品又は役務を低い対価で供給し,他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある場合(不公正な取引方法第6項)には,不当廉売として独占禁止法上問題となる。

(2) 独占禁止法第2条第9項第3号の「供給に要する費用」とは,廉売対象商品の供給に要するすべての費用を合計した「総販売原価」である。また,供給に要する費用を「著しく下回る」かどうかは,「可変的性質を持つ費用」(廉売対象商品を供給しなければ発生しない費用)を下回るかどうかで判断される。

【参考】

 総販売原価を著しく下回る価格であるかどうかは,廉売対象商品を供給することによって発生する費用を下回る収入しか得られないような価格であるかどうかという観点から,事案に即して算定されることになる。この算定に当たっては,次の点に留意する。

a 供給に要する費用には,廉売対象商品を供給しなければ発生しない費用(以下「可変的性質を持つ費用」という。)とそれ以外の費用とがある。可変的性質を持つ費用でさえ回収できないような低い価格を設定すれば,廉売対象商品の供給が増大するにつれ損失が拡大する。したがって,可変的性質を持つ費用を下回る価格は,「供給に要する費用を著しく下回る対価」であると推定される(他方,可変的性質を持つ費用以上の価格は「供給に要する費用を著しく下回る対価」ではないので,その価格での供給は,独占禁止法第2条第9項第3号に規定する不当廉売に該当することはない。)。

b 可変的性質を持つ費用に該当する費用かどうかについては,廉売対象商品の供給量の変化に応じて増減する費用か,廉売対象商品の供給と密接な関連性を有する費用かという観点から評価する。

(不当廉売ガイドライン3(1)ア(エ)抜粋)

(3) 今後,官公庁Yを含む複数の顧客がシステム製品Aを導入すること及び当該顧客がシステム製品Aに係る調査・研究業務を発注することが見込まれなければ,X社は,本件調査研究業務を実施しなかったものと認められることから,X社が本件調査研究業務に要した費用は,官公庁Yから発注されるシステム製品Aに係る調査・研究業務と密接な関連性を有する費用であり,可変的性質を持つ費用となる。

(4) また,X社が,官公庁Yを含む複数の顧客からの受注によって本件調査研究業務に要した費用を回収することとしている場合であって,その回収見込みが実情に即して合理的なものであると認められるときは,本件調査研究業務に要した費用の全額ではなく,合理的な回収見込みに基づいて官公庁Y向けに配賦された額が,本件入札における可変的性質を持つ費用となる。

(5) したがって,X社が,本件調査研究業務に要した費用を原価に算入せずに入札価格を設定する場合,当該入札価格が可変的性質を持つ費用を下回り,「供給に要する費用を著しく下回る対価」となる可能性がある。

(6) なお,本件入札価格の設定が独占禁止法第2条第9項第3号に該当するかどうかは,供給に要する費用と価格との関係のみならず,他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれの有無等の要件から,個々の事案ごとに判断される。また,「供給に要する費用を著しく下回る対価」とまではいえない価格設定,つまり可変的性質を持つ費用以上の価格であったとしても,不当に低い対価で他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれのあるものは,不公正な取引方法第6項に該当することとなる。

4 回答の要旨

 X社が,本件入札において,既に実施済みの本件調査・研究業務に要した費用を原価に算入せずに入札価格を設定する場合,当該入札価格が「供給に要する費用を著しく下回る対価」となる可能性がある。

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