1 「独占禁止法に関する相談事例集」について

 公正取引委員会は,独占禁止法違反行為の未然防止と事業者及び事業者団体(以下「事業者等」という。)の適切な活動に役立てるため,各種のガイドラインを公表し,どのような行為が独占禁止法上問題となるのかを明らかにするとともに,個別の相談に対応してきている。
 このような相談については,独占禁止法に関する理解を一層深めることを目的として,相談者以外にも参考となると思われる相談の概要を,主要な相談事例として取りまとめて公表してきており,本年も,法運用の考え方を具体的かつ分かりやすく示すものとして,事業者等の活動に関する最近の相談事例(平成20年4月~平成21年3月)を取りまとめ,『独占禁止法に関する相談事例集(平成20年度)』として公表することとした。
 なお,事業者等の活動に関する主要なガイドラインは,次のとおりである。

  • 流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針(流通取引慣行ガイドライン)(平成3年7月)
  • 共同研究開発に関する独占禁止法上の指針(共同研究開発ガイドライン)(平成5年4月)
  • 事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針(事業者団体ガイドライン)(平成7年10月)
  • リサイクル等に係る共同の取組に関する独占禁止法上の指針(リサイクルガイドライン)(平成13年6月)
  • 知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針(知的財産ガイドライン)(平成19年9月)
  • 「排除型私的独占に係る独占禁止法上の指針」(排除型私的独占ガイドライン)(平成21年10月)
  • 「不当廉売に関する独占禁止法上の考え方」(不当廉売ガイドライン)(平成21年12月)

2 相談制度の概要

(1)「事前相談制度」による相談
 公正取引委員会は,平成13年10月から「事業者等の活動に係る事前相談制度」(以下「事前相談制度」という。)を実施している。事前相談制度とは,書面による相談に対して書面により回答し,相談者・相談内容を原則公表しているものである。

(2)「事前相談制度」によらない相談
 相談者の負担軽減,相談者・相談内容の秘匿性等に配慮し,事前相談制度によらない相談(以下「一般相談」という。)も受け付けている。一般相談は,電話等で相談内容の説明を受け,原則として口頭で回答するもので,迅速に対応するとともに,相談内容等については非公表としている。

3 独占禁止法に関する相談件数

 平成21年4月以降平成22年3月末までに,電話,来庁等によって受け付けた事業者の活動に関する相談件数は2,648件,事業者団体の活動に関する相談件数は352件であり,相談の内容別に整理すると,次表のとおりである。

【相談内容別件数】(企業結合に関する相談を除く。)

平成20年度 平成21年度

事業者の活動に関する相談

  • 流通・取引慣行に関する相談
  • 技術取引に関する相談
  • 共同研究開発に関する相談
  • 共同行為に関する相談
  • その他
2,272
(1,936)
(73)
(16)
(150)
(97)
2,648
(2,335)
(66)
(24)
(112)
(111)
事業者団体の活動に関する相談 419 352
合計 2,691 3,000

4 相談事例集の内容及び性格

(1) この相談事例集では,独占禁止法に関する相談から,企業結合に関するもの(別途,毎年公表している。)を除いたもののうち他の事業者等の参考となると考えられるものを掲載している。
(2) 相談の内容は,相談者の秘密保持に配慮し,相談者名等を匿名にした上で,今後の事業活動の参考となるよう分かりやすくするための修正等を行った上で取りまとめたものであり,必ずしも実際の事案と一致するものではない。
(3) 相談に対する回答は,相談者から提示された内容に基づき,その限りにおいて独占禁止法上の考え方を示したものであり,必ずしも他の事業者等の場合にそのまま当てはまるものではない。

5 過去の相談事例

 平成12年1月以降平成20年3月末までに,公正取引委員会に寄せられた主要な相談事例を公正取引委員会ホームページに掲載している。

 (主要な相談事例) http://www.jftc.go.jp/dk/jirei/index.html
 (事前相談制度に係る回答) http://www.jftc.go.jp/soudan/jizen/soudan/index.html

ページトップへ