6 事業者団体による機械製品の下取価格の算定方式の設定

 機械製品の販売業者を会員とする団体が,会員の機械製品の下取価格の算定方式を設定することについて,算定方式の構成項目は団体が定めているが,各項目の額は会員が独自に設定するものであることから,独占禁止法上問題となるものではないと回答した事例

1 相談者

 X協会(機械製品の販売業者を会員とする団体)

2 相談の要旨

(1)X協会は,機械製品Aの販売業者を会員とする団体である。
我が国の機械製品Aの販売分野におけるX協会会員のシェアは,約90パーセントである。

(2)機械製品Aの販売業者は,機械製品Aの新品だけではなく,中古品も販売している。
 機械製品Aは,買い替え需要が多く,需要者はそれまで使用していた機械製品Aを販売業者に下取りに出した上で,新たに機械製品Aを購入している。

(3)現在,機械製品Aについては,査定を行って下取価格を算定する際の参考となるものがなく,販売業者がそれぞれ独自に下取価格を算定している。

(4)X協会は,機械製品Aを下取る際の査定を適切に行い,中古品の円滑な取引を促進するために,会員の機械製品Aの下取価格の算定方式を設定することを検討している。
 なお,X協会は,当該算定方式において,会員の機械製品Aの下取価格を算定するに当たっての構成項目を定めているが,各項目の額については,会員が独自に設定するものである。

  • 本件の概要図

 このようなX協会の取組は,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

(1)事業者団体が,具体的な数値,係数等を用いて構成事業者に価格に関する共通の具体的な目安を与える価格算定方式を設定し,これにより市場における競争を実質的に制限することは,独占禁止法第8条第1号の規定に違反する。
 また,市場における競争を実質的に制限するまでには至らない場合であっても原則として独占禁止法第8条第4号又は第5号の規定に違反する(事業者団体ガイドライン第2-1-(1)-4〔共通の価格算定方式の設定〕)。

(2)本件は,X協会が設定する算定方式において,会員の機械製品Aの下取価格を算定するに当たっての構成項目を定めているが,各項目の額については,会員が独自に設定するものであることから,会員間に下取価格について共通の具体的な目安を与える価格算定方式とはいえず,独占禁止法上問題となるものではない。

4 回答の要旨

 X協会が,会員の機械製品Aの下取価格の算定方式を設定することは,算定方式の構成項目はX協会が定めているが,各項目の額は会員が独自に設定するものであることから,独占禁止法上問題となるものではない。

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