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5 競合する工業製品メーカー間の相互OEM供給

 市場における有力な工業製品メーカー2社が,物流費削減のため,それぞれが工場を持たない地域において,相互に供給余力を活用してOEM供給を行うことについて,独占禁止法上問題となるものではないと回答した事例

1 相談者

 X社及びY社(共に工業製品メーカー)

2 相談の要旨

(1)X社及びY社(以下「2社」という。)は,工業製品Aのメーカーである。
 我が国における工業製品Aの生産数量のシェアは,X社が約40パーセント(第1位),Y社が約10パーセント(第4位)となっている。
 また,2社の競争事業者として,シェア約25パーセント(第2位)を有するB社,シェア約20パーセント(第3位)を有するC社等が存在する。

(2)2社はそれぞれ全国各地に自社工場を有しているが,X社は九州地方に,Y社は東北地方に自社工場を有していない。

(3)工業製品Aは建材,設備等の材料として用いられていることから,2社は,全国の建材,設備等のメーカーに工業製品Aを販売している。
 2社の工業製品Aの販売価格に占める物流費の割合は,2社のそれぞれの工場から需要家の工場までの配送距離に応じて,数パーセントから約20パーセントとなっており,工場からの配送距離が長いほど販売価格が高くなる。

(4)2社は,物流費を削減するため,それぞれ,自社工場を持たない地域において,もう1社の工場の供給余力を活用して,次のとおり,相互に工業製品AのOEM供給を行うことを検討している。
  ア X社が,自社工場を持たない九州地方において,Y社の九州工場からOEM供給を受ける。
  イ Y社が,自社工場を持たない東北地方において,X社の東北工場からOEM供給を受ける。
 2社の相互OEM供給の対象は,自社工場を持たない一部の地域に限られ,その供給量は2社の工業製品Aの製造量の数パーセントである。

(5)2社は,OEM供給対象地域である東北地方及び九州地方を含む全国において,従来どおり,それぞれ独自に工業製品Aを販売し,互いに販売価格,販売数量,販売先等には一切関与しない。

  • 本件の概要図

 このような2社の取組は,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

(1)事業者が,契約,協定その他何らの名義をもってするかを問わず,他の事業者と共同して対価を決定し,維持し,若しくは引き上げ,又は数量,技術,製品,設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し,又は遂行することにより,公共の利益に反して,一定の取引分野における競争を実質的に制限することは,不当な取引制限(独占禁止法第2条第6項)として問題となる(同法第3条)。

(2)本件は,我が国の工業製品Aの製造販売分野において合計で約50パーセントのシェアを有する2社による相互OEM供給であるが,
  [1] 2社は,それぞれ独自に販売活動を行うこととし,互いに工業製品Aの販売価格,販売数量,販売先等には一切関与しないこと
  [2] 2社による相互OEM供給の対象は,自社工場を持たない一部の地域に限られ,製造コストの共通化による影響は小さいこと
  [3] 工業製品Aの有力な競争事業者であるB社及びC社が存在すること
から,我が国の工業製品Aの製造販売分野における競争を実質的に制限するものではなく,独占禁止法上問題となるものではない。

4 回答の要旨

 2社が,物流費削減のため,それぞれが工場を持たない地域において,相互に供給余力を活用してOEM供給を行うことは,独占禁止法上問題となるものではない。

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