9 事業者団体による情報の収集及び提供

 製造設備メーカーを会員とする団体が,会員に対して,地域別の販売台数についてアンケート調査を行い,個々の会員の情報を明示することなく,その結果を公表することについて,独占禁止法上問題となるものではないと回答した事例

1 相談者

 X協会(製造設備メーカーを会員とする団体)

2 相談の要旨

(1)X協会は,製造設備Aのメーカーを会員とする団体である。
我が国における製造設備Aの製造販売分野におけるX協会の会員のシェアは100パーセントである。

(2)X協会は,製造設備Aの市況を把握するため,会員に対して,任意のアンケート調査を行うことを計画している。具体的には,過去2年間の製造設備Aの販売台数を設備規模(生産能力)ごと,地域ごとに報告させることとする。また,アンケート調査結果の集計に当たっては,設備規模,地域それぞれの項目について前年度比でみた販売台数の増減率別の会員数のみを示し,個々の会員の情報が特定されない形でX協会のウェブサイトにおいて公表することを検討している。

  • 本件の概要図

 このようなX協会の取組は,独占禁止法上問題ないか。

3 独占禁止法上の考え方

(1)事業者団体が,当該産業の活動実績を全般的に把握し,周知するために,過去の生産,販売,設備投資等に係る数量や金額等構成事業者の事業活動に係る過去の事実に関する概括的な情報を構成事業者から任意に収集して,客観的に統計処理し,個々の構成事業者の数量や金額等を明示することなく,概括的に公表することは,独占禁止法上問題とならない(事業者団体ガイドライン第2-9-4〔事業活動に係る過去の事実に関する情報の収集・公表〕)。

(2)本件取組は,市況把握のため,製造設備Aの過去の販売台数に関する概括的な情報を任意に収集し,客観的に統計処理した結果を,個々の会員の情報を明示することなく,概括的に公表するものであることから,独占禁止法上問題となるものではない。

4 回答の要旨

 X協会が,会員に対して,地域別の販売台数についてアンケート調査を行い,個々の会員の情報を明示することなく,その結果を公表することは,独占禁止法上問題となるものではない。

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