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12 事業者団体によるリサイクル費用の徴収方法に関する自主基準の設定

12 事業者団体によるリサイクル費用の徴収方法に関する自主基準の設定

 資源有効利用促進法に基づき,再利用促進の指定を受けた製品の使用済み製品の引取りの際には,引取費用を別途徴収する旨の自主基準を設定することは,独占禁止法上問題ないと回答した事例。

1 相談者

 X工業会(事務用機械メーカー等の団体)

2 相談の要旨

(1) X工業会は,事務用機械であるA製品のメーカー等の団体であり,国内のA製品のメーカーはすべて会員となっている。

(2) A製品は,メーカーから直接又はディーラーを通じて事業者等のユーザーにリース又は販売されている。リースの場合はリース会社を経由するが,ユーザーへの営業活動はメーカー等が行い,リース手続も取り次いでいる。使用済みのA製品の約7割は,新たなA製品のリース及び販売に伴ってメーカー等に引き取られている。メーカー等は,従来,使用済みのA製品をほとんど無償で引き取り,これを営業拠点ごとに当該地区の産業廃棄物処理業者に委託するなどにより廃棄処分等していた。

(3) 資源の有効な利用の促進に関する法律(以下「資源有効利用促進法」という。)の規定に基づき,平成13年4月,A製品製造業は特定再利用業種の,また,A製品は指定再利用促進製品の指定をそれぞれ受けた。そして,経済産業省令により,A製品のメーカーには回収した使用済みのA製品から特定の再利用可能な部品を取り出し,洗浄・検査等を行って,新たに製造するA製品の部品として再利用するなどの必要が生じ,各メーカーは,再利用のための計画を自ら定めることとなる平成14年から本格的な取組を行うこととなった。
 このため,使用済みのA製品の処分には,新たに,使用済みのA製品を分解して再利用する部品を取り出し,洗浄・検査等する費用及び分解等の拠点とA製品の工場の間の輸送費用が継続的に必要となった。A製品のメーカーとしては,部品の再利用のために今後,新たに必要となる費用の一部をユーザーから徴収しなければ,資源有効利用促進法の規定に基づく部品の再利用を行うことは困難である。
 そこで,X工業会は,ユーザーの理解を得るため,部品の再利用の本格的な取組が始まる平成14年以降,会員は使用済みのA製品の引取りの際には引取費用を別途徴収することとする旨の自主的な基準を設定することとし,その旨をユーザー等に告知することを検討しているが,このような自主基準の設定は,独占禁止法上問題ないか。
 なお,X工業会は,A製品メーカー各社が徴収する引取費用の額に関与するものではない。

3 独占禁止法上の考え方

(1) リサイクルガイドラインでは,

[1] リサイクル等を行うことが法令で義務付けられ,又は社会的に強く要請される場合であって,

[2] リサイクル等に対する取組に相応の追加的なコストが継続的に必要とされるため,

[3] 廃棄物の回収・運搬又は再資源化のための処理等に要する費用の負担を消費者等のユーザーに求めなければ,リサイクル等の推進が困難となる

 場合には,事業者が共同して又は事業者団体が,ユーザーの理解を得るため,リサイクル費用相当分を本体価格とは別にリサイクル料金としてユーザーから徴収する旨を自主的な基準として設定したとしても,その遵守を強制しないものである限り,独占禁止法上問題ないとしている。[リサイクルガイドライン第2-5(1)(徴収方法に関する自主基準の設定)]

(2) 本件相談においては,

[1] 新たに資源有効利用促進法の規定に基づき,A製品の部品を再利用しなければならなくなったこと,

[2] 部品の再利用のためには,分解・部品の取出し,洗浄・検査等,工場等への輸送といった追加的な費用が継続的に必要となること,

[3] これらの費用の一部をユーザーから徴収しなければ,部品の再利用を行うことが困難であること

 から,X工業会が,ユーザーの理解を得るため,会員は使用済みのA製品の引取りの際には引取費用を別途徴収する旨の自主的な基準を設定しても,会員に対してその遵守を強制しない限り,独占禁止法上問題ないと考えられる。
 ただし,X工業会が,会員がユーザーから徴収する具体的な引取費用の額を決定することは,独占禁止法上問題となる。

4 回答の要旨

 資源有効利用促進法の規定に基づく使用済みのA製品の部品の再利用を円滑に推進するため,X工業会が,会員は使用済みのA製品の引取りの際には引取費用を別途徴収する旨の自主的な基準を設定し,その旨をユーザー等に告知することは,会員に対してその遵守を強制しない限り,独占禁止法上問題ない。

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