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平成24年2月28日(火曜)発行 第150号

1.事務総長定例会見

2月22日 多摩の談合事件に係る審決取消請求訴訟について

 本日は,多摩の談合事件に係る審決取消請求訴訟につきまして,今週の2月20日,最高裁判所において判決がありました。いわゆる入札談合の事案におきまして最高裁判所の判断が示されたのは初めてですので,判決について御紹介したいと思います。
 この審決取消請求訴訟は,多摩地区において公共下水道の建設等を行う法人であります財団法人東京都新都市建設公社が発注する土木工事の入札談合につきまして,公正取引委員会が平成20年7月24日付けで大成建設株式会社ほか33名に対して行った審決に係るものです。
 審決により課徴金の納付を命じた者は30社ですが,このうち25社が審決取消請求訴訟を提起し,東京高等裁判所におきまして5つの裁判体に分かれて審理がされました。
 このうち4つにつきましては原告らの請求が棄却されましたが,1つにつきましては平成22年3月19日,原告らの請求を認容し,審決を取り消す判決が行われました。
 この判決につきましては,平成22年4月2日,当委員会は上告受理申立を行っておりましたが,昨年11月17日,最高裁判所におきまして,上告審として受理する決定がなされ,本年2月20日,原判決を破棄する最高裁判所の判決が行われました。
 原審の判断は,

  •  公正取引委員会が審決において認定する本件基本合意の程度の共通認識を建設業者らが有していたことをもって直ちに自由で自主的な営業活動上の意思決定を将来にわたって拘束するほどの合意の成立があったと断ずることはできない。
  •  また,当委員会が審決において認定する本件個別工事に係る事実をもって競争が実質的に制限されたと断ずるには論理の飛躍があり,更に建設業者が自由で自主的な営業活動を行うことを停止され又は排除されたというような,その結果競争が実質的に減少したと評価できるだけの事実までを認定するに足りる証拠はなく,かえって本件個別工事のいずれの受注においても本件における取引分野で予定されている競争は正常に行われたと評するのが相当とさえいうことができる。

 として,本件工事の受注において独占禁止法第2条第6項所定の「不当な取引制限」があったとの事実を認定するに足りる実質的な証拠があるとはいえないとして,本件審決のうち被上告人らに対して課徴金の納付を命じた部分を取り消しました。
 これに対しまして最高裁判所は,

  •  入札参加業者又は入札参加JVのメインとなった各社は,本来的には自由に入札価格を決めることができるはずのところを,このような取決めがされたときは,これに制約されて意思決定を行うことになるという意味において,各社の事業活動が事実上拘束される結果となることは明らかであるから,本件基本合意は独占禁止法第2条第6項にいう「その事業活動を拘束し」の要件を充足するものということができ,本件基本合意の成立により,各社の間に,上記の取決めに基づいた行動をとることを互いに認識し認容して歩調を合わせるという意思の連絡が形成されたものといえるから,本件基本合意は,同項にいう「共同して…相互に」の要件も充足するものということができる。
  •  独占禁止法の目的等に鑑みると,同法第2条第6項にいう「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」とは,当該取引に係る市場が有する競争機能を損なうことをいい,本件基本合意のような一定の入札市場における受注調整の基本的な方法や手順等を取り決める行為によって競争制限が行われる場合には,当該取決めによって,その当事者である事業者らがその意思で当該入札市場における落札者及び落札価格をある程度自由に左右することができる状態をもたらすことをいうものと解される。

 などとして,原判決を破棄し,被上告人らの請求をいずれも棄却いたしました。
 なお,原告らの請求を棄却いたしました他の4つの判決につきまして,9社が上告等を行っておりましたが,同じ2月20日,上告の棄却及び上告審として受理しないという最高裁判所の決定がなされましたので,いわゆる多摩談合事件に係る審決につきましては,全て確定いたしました。
 今回の最高裁判所の判決は,従来の判決等でも是認されてきました当委員会の運用が確認されたものと理解しておりまして,その意味で重要な判決と考えております。
 当委員会としては,今後とも独占禁止法の厳正かつ適切な運用に努めてまいりたいと考えております。

http://www.jftc.go.jp/houdou/teirei/h24/01_03/kaikenkiroku120222.html

2.独占禁止法関係判決について

2月17日

 株式会社東芝ほか1名による審決取消請求事件判決について(旧郵政省発注の郵便番号自動読取区分機類の入札談合に係る課徴金納付命令事件)
 株式会社東芝及び日本電気株式会社(以下「原告ら」といいます。)による審決取消請求事件(平成22年(行ケ)第29号)について,東京高等裁判所にて請求を棄却する判決がありました(2月17日)。
 本件は,公正取引委員会が平成22年10月25日付けでした平成16年(判)第10号及び第11号審決(以下「本件審決」といいます。)について,原告らが,(1)独禁法第7条の2第6項の「当該審判手続が終了した日」の解釈について,原告らに対する課徴金納付命令の除斥期間の起算点を違法に後にずらしている,(2)本件違反行為を認定した本案審決が確定した場合でも,本件審決の取消訴訟において,再度本件違反行為の存否を争うことができることを前提に,原告らによる入札に係る合意(以下「本件合意」といいます。)はなかったし,「一定の取引分野」における競争を実質的に制限するものではない,(3)本件合意は独禁法第7条の2第1項の「対価に係るもの」に該当しない,(4)平成7年度ないし平成9年度の各入札の対象物件について課徴金の対象に該当するとした審決は,同法7条の2第1項の「当該商品又は役務」の解釈適用を誤っているなどとして,本件審決の取消しを求めて提訴した訴訟です。
 東京高等裁判所は,(1)独禁法第48条の2第1項ただし書の趣旨からすると,同項ただし書の「審判手続が終了した」とは,被告が排除措置命令に係る本案審決をしたことをいい,課徴金納付はその後でないと命ずることができないものと解されるし,同法7条の2第6項の「当該審判手続が終了した日」についても,同法48条の2第1項ただし書の「審判手続が終了した」日と同じく,本案審決がされた日をいうものと解すべきであるから,本件の事実経過に照らすと,本件課徴金納付命令が除斥期間が経過した後に出されたものでないことは明らかである,(2)本件違反行為を認定した本件本案審決が確定した場合,違反行為の存否について,被審人に排除措置に係る審判手続及び本案審決に対する取消訴訟で争うことを要求したとしても,十分な防御の機会を与えているといえるのであり,その保護に欠けることはなく,本件本案審決と同じ違反行為を前提とする本件審決の取消訴訟において,原告らが改めて本件違反行為の不存在を主張することは許されないものと解すべきであるから,本件訴訟においては本件違反行為の存在を前提として課徴金納付命令固有の要件について判断すべきであって,この点についての原告の主張は理由がなく,それを前提とする本件合意の存在等に係る主張については判断を要しない,(3)本件合意のように,受注予定者以外の者は入札に参加しないという場合にも,特定の価格についての合意が存在することにはならず,特定の価格が合意されていないとはいえ,入札価格は受注予定者に一任し,それ以下の価格で入札しない(入札に参加しない)という合意をしていることに変わりはなく,この合意は対価に係るものということができ,その合意の結果として,受注予定者の入札価格で契約が成立することになるのであるから,本件合意を独禁法7条の2第1項の「対価に係る」ものであると認定した本件審決に誤りはない,(4)独禁法第7条の2第1項の「当該商品又は役務」とは,当該違反行為の対象とされた商品又は役務を指すが,入札談合による受注調整の場合にあっては,基本合意の対象となる商品又は役務であることのほかに,基本合意に基づいて受注予定者として決定され,受注するなど,受注調整手続に上程されることによって具体的に競争制限効果が発生するに至ったものを指すと解すべきであり,本件各物件の受注は,本件合意に基づいて決定されたということができ,原則として,本件合意に基づく具体的な競争制限効果が及んでいるものということができ,本件で認定した事実等によれば,郵政省内示,入札前措置,本件合意に基づく入札行動といった,競争入札を形骸化させ,競争を制限する運用は,郵政省と原告らが協調して行ったものと評価できることなどから,本件各物件は,「当該商品及び役務」に該当するなどと判断して,原告らの請求を棄却しました。

 平成22年(行ケ)第29号

外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。http://snk.jftc.go.jp/JDS/data/pdf/H240217H22G09000029_/20120217高裁判決.pdf

 〔参考〕

2月20日

 株式会社新井組ほか3名に対する審決取消請求事件最高裁判所判決及び株式会社クボタ建設ほか8名による審決取消請求事件最高裁判所決定について(財団法人東京都新都市建設公社発注の土木工事の入札談合事件)
 株式会社新井組,株式会社奥村組,大成建設株式会社及び飛島建設株式会社(以下「被上告人ら」といいます。)による審決取消請求事件について,最高裁判所にて,公正取引委員会(以下「上告人」といいます。)が上告受理申立てをした上告受理事件(平成22年(行ヒ)第278号)について,上告審として受理する決定(平成23年11月17日付け)をした上で,原判決を破棄し被上告人らの請求を棄却する判決がありました(2月20日)。
 本件は,上告人が平成20年7月24日付けで大成建設(株)ほか33名に対して行った平成14年(判)第1号ないし第34号審決(以下「本件審決」といいます。)について,被上告人らが,(1)本件審決が認定した基本合意(以下「本件基本合意」といいます。)は存在せず,(2)本件基本合意によって競争が実質的に制限されたこともない,(3)課徴金の対象となった各物件については競争制限効果が具体的に生じたものではないなどとして,本件審決の取消しを求めたものです。
 東京高等裁判所は,平成22年3月19日,本件において,建設業者が入札参加や入札金額に関して,自由で自主的な営業活動を行うことを停止あるいは排除されたとの事実を認定するに足りる実質的な証拠があるとはいえないとして,本件審決のうち,被上告人らに対して課徴金の納付を命じる部分を取り消しました。
 最高裁判所は,(1)本件審決に係る審判で取り調べられた証拠によれば,上告人が本件審決において認定した事実は合理的であり,これらの認定事実には,それを立証する実質的な証拠があるものと認められ,本件基本合意は不当な取引制限に該当する,(2)本件基本合意は,独禁法第7条の2第1項所定の「役務の対価に係るもの」に当たるものであるところ,課徴金制度の趣旨に鑑みると,同項所定の課徴金の対象となる「当該…役務」とは,本件においては,本件基本合意の対象とされた工事であって,本件基本合意に基づく受注調整等の結果,具体的な競争制限効果が発生するに至ったものをいうと解され,本件個別工事は,同項にいう「当該…役務」として同項所定の課徴金の対象となるものというべきであるとして,原判決を破棄し,被上告人らの請求をいずれも棄却しました。
 また,本件審決について不服があるとして提訴し,東京高等裁判所において請求が棄却された事件については,株式会社クボタ建設,東洋建設株式会社,株木建設株式会社,三井住友建設株式会社,佐田建設株式会社,株式会社大林組,株式会社不動テトラ,安藤建設株式会社及び株式会社植木組が,それぞれ上告提起及び上告受理申立てを行ったところ,平成24年2月20日,最高裁判所は,それぞれ,(1)上告理由は,民事訴訟法第312条第1項又は第2項に規定する上告事由に該当しない,(2)本件は,民事訴訟法第318条第1項により受理すべきものとは認められないとして,上告を棄却し,上告審として受理しない旨の決定を行いました。

 平成22年(行ヒ)第278号

外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。http://snk.jftc.go.jp/JDS/data/pdf/H240220H22G14000278_/20120220最高裁判決.pdf

 平成21年(行ツ)第265号,平成21年(行ヒ)第337号

外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。http://snk.jftc.go.jp/JDS/data/pdf/H240220H21G06000265_/最高裁決定書(クボタ建設・東洋建設),.pdf

 平成21年(行ツ)第323号,平成21年(行ヒ)第420号

外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。http://snk.jftc.go.jp/JDS/data/pdf/H240220H21G06000323_/最高裁決定書(株木建設).pdf

 平成22年(行ツ)第91号,平成22年(行ヒ)第104号

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 平成22年(行ツ)第92号,平成22年(行ヒ)第105号

外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。http://snk.jftc.go.jp/JDS/data/pdf/H240220H22G06000092_/最高裁決定書(佐田建設).pdf

 平成22年(行ツ)第147号,平成22年(行ヒ)第160号

外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。http://snk.jftc.go.jp/JDS/data/pdf/H240220H22G06000147_/最高裁決定書(多摩・大林組).pdf

 平成22年(行ツ)第148号,平成22年(行ヒ)第161号

外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。http://snk.jftc.go.jp/JDS/data/pdf/H240220H22G06000148_/最高裁決定書(不動テトラ).pdf

 平成22年(行ツ)第149号,平成22年(行ヒ)第162号

外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。http://snk.jftc.go.jp/JDS/data/pdf/H240220H22G06000149_/最高裁決定書(安藤建設).pdf

 平成22年(行ツ)第177号,平成22年(行ヒ)第188号

外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。http://snk.jftc.go.jp/JDS/data/pdf/H240220H22G06000177_/最高裁決定書(植木組).pdf

〔参考〕
 平成20年(行ケ)第25号,第26号,第32号及び第38号

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 平成20年(行ケ)第16号,第22号,第28号及び第34号

外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。http://snk.jftc.go.jp/JDS/data/pdf/H210529H20G09000016_/090529T21.pdf

 平成20年(行ケ)第17号,第23号,第29号及び第31号

外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。http://snk.jftc.go.jp/JDS/data/pdf/H211023H20G09000017_/091023.pdf

 平成20年(行ケ)第18号,第24号,第30号及び第37号

外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。http://snk.jftc.go.jp/JDS/data/pdf/H211218H20G09000018_/091218.pdf

 平成20年(行ケ)第21号,第27号,第33号及び第39号

外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。http://snk.jftc.go.jp/JDS/data/pdf/H220129H20G09000021_/100129T20.pdf

 平成14年(判)第1号ないし第34号

外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。http://snk.jftc.go.jp/JDS/data/pdf/H200724H14J01000001_/H200724H14J01000001_.pdf

3.お知らせ

「業種別講習会(ソフトウェア業界向け)」の開催(PDF:205KB)

 ソフトウェア開発等の委託取引を行う親事業者を対象に,下請法に関する業種別講習会を開催します。詳細・申込方法等は,こちらを御覧ください。
 現在,大阪市で開催される講習会の参加者を募集しています。

「業種別講習会(食料品製造業者と取引のある卸売業者向け)」の開催

 食料品製造業者と取引のある卸売業者を対象に,優越的地位の濫用に関する業種別講習会を開催しています。詳細・申込方法等は,こちらを御覧ください。
 現在,札幌市及び大阪市で開催される講習会の参加者を募集しています。

「業種別講習会(物流事業者と取引のある荷主向け)」の開催

 物流事業者と取引のある荷主を対象に,優越的地位の濫用に関する業種別講習会を開催しています。詳細・申込方法等は,こちらを御覧ください。
 現在,那覇市で開催される講習会の参加者を募集しています。

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公正取引委員会事務総局官房総務課広報係
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