ホーム >報道発表・広報活動 >報道発表資料 >実態調査報告書 >優越的地位の濫用に関する実態調査 >平成23年 >

(平成23年7月7日)フランチャイズ・チェーン本部との取引に関する調査について

(平成23年7月7日)フランチャイズ・チェーン本部との取引に関する調査について

平成23年7月7日
公正取引委員会

 フランチャイズ・システムに関し,前回コンビニエンスストアを対象に行った実態調査(平成13年10月調査報告書公表)から一定の期間が経過し,本部と加盟者との間における取引環境に変化が生じている可能性もあることや,この間,本部による加盟者に対する独占禁止法違反行為が発生している事情も踏まえ,今般,フランチャイズ・ガイドラインに記載されている事項を中心に,本部と加盟者との取引実態を把握するための調査を行い,調査結果を取りまとめた。

1 調査結果のまとめ

(1) 本部の加盟店募集(本文11~18ページ)

ア 本部が加盟希望者に対して開示した情報のうち,「予想売上げや収支モデルの額」について,本部が提示した額よりも実際の額の方が低かったと回答した加盟店の割合が5割程度と最も高かった。
 また,「経営指導の内容」,「再契約(契約更新)の条件」,「経営支援の内容」,「ロイヤルティ」等についても,本部が開示した内容と実際の内容が異なっていたと回答した加盟店の割合が高かった。
イ 本部が加盟希望者に対して開示した情報の内容や説明が正確性を欠いている又は十分でないことにより,実際のフランチャイズ・システムの内容よりも著しく優良又は有利であると誤認させ,競争者の顧客を自己と取引するように不当に誘引する場合には,独占禁止法上問題となるおそれがある〔ぎまん的顧客誘引〕

(2) 契約締結後の本部と加盟店との取引(本文19~37ページ)

ア 本部が加盟店に対して,商品の仕入数量,商品の廃棄,商品の販売価格等に関し各種の制限を課す又は新規事業を導入することが多く見受けられる。
 なお,次のとおり,各種の制限を課す又は新規事業を導入する際に,本部が加盟店に対して行う行為が,独占禁止法上問題となるおそれがある又は取引適正化の観点から留意すべきと考えられる加盟店の回答事例があった。

  •  本部が設定した目標数量を達成するため,経営指導員から商品の仕入数量が強制されたり,加盟店のオーナー不在時に勝手に経営指導員に商品を発注され仕入れさせられたこともある。
  •  本部が設定した販売期限を過ぎた商品を販売した実績があると,再契約(契約更新)の際の要素とされる加盟店評価において不利な評価をされるため,本部の設定する販売期限に合理性を感じないが,商品を廃棄せざるを得ない。
  •  特定の商品について,本部の指定する価格で販売することを契約書において義務付けられている。
  •  加盟店が得られる手数料収入では採算に合わないが,本部から一方的に新規事業を導入させられる。

イ 取引上優越した地位にある本部が加盟店に対して,商品の仕入数量,商品の廃棄,商品の販売価格等に関し各種の制限を課す又は新規事業を導入する際に,フランチャイズ・システムによる営業を的確に実施するために必要な限度を超えて,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合,加盟店の販売価格(再販売価格)を拘束する場合又は加盟店が供給する商品(役務)の価格を不当に拘束する場合には,独占禁止法上問題となるおそれがある〔優越的地位の濫用,再販売価格の拘束,拘束条件付取引〕

2 公正取引委員会の対応

 公正取引委員会は,社団法人日本フランチャイズチェーン協会に対して,本調査結果を報告するとともに,本部が問題点の解消に向けた自主的な取組を行えるよう,改めてフランチャイズ・ガイドラインの内容を傘下会員に周知徹底するなど,業界における取引適正化に向けた自主的な取組を要請する。
 また,本部及び本部の経営指導員に対する業種別講習会を実施するなどにより,本部と加盟者の取引の公正化を推進し,違反行為の未然防止に努める。
 さらに,本部と加盟者の取引については,取引実態及び本部の加盟者に対する問題行為の更なる把握に努めるとともに,仮に,独占禁止法に違反する行為が認められた場合には厳正に対処する。

関連ファイル

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局経済取引局取引部企業取引課
電話 03-3581-3373(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/

ページトップへ