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(平成23年9月28日)官製談合防止に向けた発注機関の取組に関する実態調査報告書~発注機関におけるコンプライアンス活動~(概要)

平成23年9月28日
公正取引委員会

第1 調査の趣旨・方法

1 調査の趣旨等

 「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」(平成14年法律第101号。以下「入札談合等関与行為防止法」という。)の適用事例が後を絶たない(注1)。この現状を踏まえ,同法が適用される行為を未然に防止するための取組の現状及び課題を明らかにし,発注機関におけるそのような取組の実効性を高めることを目的として,同法の適用対象となる発注機関に対し,アンケート調査とヒアリング調査を行った(注2)。

(注1) 平成15年の同法施行以降,公正取引委員会が同法に基づいて認定した入札談合等関与行為(同法第2条第5項第1号から第4号までのいずれかに該当する行為をいう。以下同じ。)の事例は11件であり,平成19年以降は毎年同法適用事例が発生している。また,平成18年改正で導入された第8条(職員による入札等の妨害)に違反する行為及び刑法第96条の6第1項(競売入札妨害)に違反する行為についての刑事事件も相当数みられる。

(注2) 公正取引委員会は,平成17年10月に入札談合等関与行為を防止するための取組を含む「公共調達における入札談合防止のための取組等の実態に関する調査報告書」(以下「平成17年調査」という。)を公表している。今回の調査では,近年,入札談合等関与行為防止法適用事例が集積し,入札談合等関与行為の実態及び発注機関の改善措置内容が明らかとなってきたことを踏まえ,入札談合等関与行為等(入札談合等関与行為及び入札談合等関与行為防止法第8条違反行為をいう。以下同じ。)の未然防止に向けた取組に焦点を当てた。

2 調査の方法

(1) アンケート調査

 平成23年3月末時点の状況についてアンケート調査を行った(平成23年5月)。アンケート調査票の送付先は,入札談合等関与行為防止法の適用対象となる国の機関,地方公共団体及び政府出資法人計526機関である。

発送先

発送数 回収数 回収率
(1):国の機関 22 20 90.9%
(2):都道府県 41 39 95.1%
(3):政令指定都市 17 16 94.1%
(4):中核市 35 35 100.0%
(5):(2)~(4)以外の人口30万人以上の地方公共団体 28 27 96.4%
(6):人口5万人以上30万人未満の地方公共団体 200 192 96.0%

(7):政府出資法人

183 162 88.5%
合計 526 491 93.3%

(注1) 「国の機関」は,公正取引委員会が入札談合の未然防止等を目的として毎年開催している「公共入札に関する公正取引委員会との連絡担当官会議」に出席している行政機関である。
(注2) 「都道府県」,「政令指定都市」,「中核市」及び「[2]~[4]以外の人口30万人以上の地方公共団体」は,平成22年3月末時点においてそれぞれ該当する全ての地方公共団体である。ただし,平成23年3月11日の東日本大震災発生を踏まえ,災害救助法(昭和22年法律第118号)の適用を受けた地方公共団体(以下「被災地方公共団体」という。)等については,原則発送を取りやめた。
(注3) 「人口5万人以上30万人未満の地方公共団体」は,平成22年3月末時点において該当する地方公共団体から被災地方公共団体等を原則として除き,無作為に抽出した200の地方公共団体である。
(注4) 「政府出資法人」は,平成23年1月現在において国が資本金の2分の1以上を出資している218法人(独立行政法人,国立大学法人,大学共同利用機関法人等)から,被災地方公共団体の区域に所在する法人,廃止予定の法人及び清算中の法人を除いたものである。
(注5) 1つの発注機関から部署別に2通以上のアンケート票が返送された場合には,最も発注金額の多い部署の回答をその発注機関の回答として集計している(以下同じ。)。また,択一式の問において複数回答している場合など,問の指示に従っていない回答については全てその問に限り無効回答として処理している。

(2) ヒアリング調査

 前記アンケート調査に加え,発注機関に対するヒアリング調査を行った(平成22年11月~平成23年8月)。ヒアリング調査先は,公正取引委員会から入札談合等関与行為防止法に基づく改善措置要求を受けた発注機関,職員が入札談合等関与行為に類似する行為(同法第8条(職員による入札等の妨害)違反行為及び刑法第96条の6第1項(競売入札妨害)違反行為をいう。以下同じ。)について刑事事件で有罪となり,再発防止に取り組んでいる発注機関,アンケート調査において興味深い取組等を回答した発注機関等33機関である。

第2 過去の入札談合等関与行為及び類似行為の分析

 入札談合等関与行為防止法違反行為の未然防止に向けた課題を整理するため,公正取引委員会が同法に基づいて認定した入札談合等関与行為の態様,入札談合等関与行為及びこれに類似する行為が生じた背景及び要因並びに発注機関が講じた改善措置について分析・検討を行った。

1 入札談合等関与行為の態様

 公正取引委員会が認定した入札談合等関与行為の態様をまとめると次頁のとおりである。
 これらの事例から次のような点が指摘できる。
(1) 入札談合等関与行為は,国の機関から地方公共団体,政府出資法人まで,出先機関を含め様々な発注機関で発生している。
(2) 工事だけでなく,物品や業務に係る発注でも発生している。
(3) ほぼ全ての事例が発注担当部署の職員の関与によるものである。
(4) 全ての事例において管理職以上の職員が関与している。
(5) 職員だけでなくOBが関わった事例も多い。

2 入札談合等関与行為及び類似行為の背景・要因

 公正取引委員会が改善措置要求等をした際の認定事実や当該要求等を受けた発注機関の調査報告書から,職員が入札談合等関与行為を行った背景・要因として,次の点が挙げられる。
(1) 地元業者の安定的・継続的な受注の確保や困難な事業に適切に対応できる専門的な事業者の育成など,業界や地元業者を保護・育成するため
(2) 信用確実な事業者へ発注し,品質を確保するため
(3) 発注機関からの要請によく応えていた従前の契約事業者など,特定の事業者との契約を継続するため
(4) 入札関連情報や指名業者選定上の配慮などを求める事業者からの働きかけに応えるため
(5) 過去の取引実績の維持等により,円滑な入札業務を確保するため(随意契約から入札への切替えによる混乱の回避を含む。)
(6) 職員の再就職先を確保するため
また,発注機関の職員の入札談合等関与行為に類似する行為について刑事事件として立件された事例のいくつかにおいても,同様の背景・要因が認められる。

  発注機関 入札談合の対象 関与部署 (注1) 関与者 役職 OBの関与 (注2) 外部からの働きかけ (注2) 関与行為類型(法第2条第5項)
談合の明示的な指示(第1号) 受注者に関する意向の表明(第2号) 発注に係る秘密情報の漏えい (第3号) 特定の談合の幇助 (第4号)

(1)岩見沢市(平成15年1月30日改善措置要求)

人口5万人以上30万人未満の地方公共団体 建設工事 発注担当部署

幹部,
一般職員

(注3)

(2)新潟市
(平成16年7月28日改善措置要求)

政令指定都市(注4) 建設工事 発注担当部署 管理職,一般職員 × × (注3)

(3)日本道路公団
(平成17年9月29日改善措置要求)

政府出資法人 鋼橋上部工工事 発注担当部署

幹部,
管理職,一般職員

× (注3)
(4)国土交通省 (平成19年3月8日改善措置要求) 国の機関 水門設備工事 発注担当部署 管理職,一般職員 × ×

(注3)

(5)防衛施設庁
(平成19年6月20日通知(注5))

国の機関 土木・建築工事 発注担当部署

幹部,
管理職

×

(6)緑資源機構 (平成19年12月27日通知(注5)) 政府出資法人 林道調査測量設計業務 発注担当部署 幹部, 管理職 × ×

(7)札幌市
(平成20年10月29日改善措置要求)

政令指定都市 電気設備工事 発注担当部署 管理職 × ×
(8)国土交通省 (平成21年6月23日改善措置要求) 国の機関 車両管理業務 発注担当部署 管理職,一般職員 × × ×

(9)防衛省航空自衛隊
(平成22年3月30日改善措置要求)

国の機関 什器類 発注担当部署 管理職 × ×
(10)青森市 (平成22年4月22日改善措置要求) 中核市 土木工事 契約担当部署 幹部 × × ×

(11)茨城県
(平成23年8月4日改善措置要求)

都道府県 土木・舗装工事 発注担当部署 管理職 ×

(注1) 本調査では,発注機関において公共調達を希望する部署であって,工事や物品等の発注の計画,仕様書や設計書の作成等を行う部署(例えば,●●建設部○○施設課等)を「発注担当部署」と,発注機関において会計及び公共調達の契約に関する事務を担当する部署(例えば,会計課,契約課等)を「契約担当部署」とそれぞれ定義している。
(注2) 公正取引委員会の事実認定において確認されたものを「有」としている。
(注3) 特定の談合の幇助は,平成18年改正(平成19年3月14日施行)により入札談合等関与行為とされたものである。
(注4) 新潟市は,改善措置要求が行われた時点では政令指定都市になっていない。
(注5) 発注機関が近く解散する予定であったこと等を踏まえ,入札談合等関与行為が認められたことの通知のみを行い,改善措置要求を行っていない。

3 発注機関による改善措置

 公正取引委員会の改善措置要求を受けた発注機関は再発防止のための改善措置を取りまとめているところ,多くの機関において,次のような措置が講じられている。
(1) 入札談合等関与行為防止法等の法令遵守に係るコンプライアンス・プログラムやコンプライアンス・マニュアルの策定・周知徹底
(2) コンプライアンス研修の実施
(3) コンプライアンス担当組織の設置
(4) 入札契約関連情報の管理の厳格化
(5) 発注担当部署と契約担当部署の分離
(6) 外部からの働きかけ内容の記録・報告・公表
(7) 発注担当部署内への事業者の立入制限
(8) 職員の関係業界への再就職の自粛
(9) 入札制度の見直し
また,これらに加えて,(10)内部通報制度の強化,(11)入札状況等のチェック機能の強化,(12)OBによる営業活動の禁止,(13)退職予定職員に対する指導,(14)契約担当職員の同一職での長期従事の抑制等の措置を講じている発注機関もある。
職員の入札談合等関与行為に類似する行為について刑事事件として立件された発注機関も,再発防止のためほぼ同様の措置を講じている。

第3 入札談合等関与行為等の防止に向けて

1 調査結果の分析・評価

(1) 発注機関・職員における法令遵守意識の向上

 入札談合は,競争入札を通じて本来得られるべき価格・品質での物品・役務の調達を妨げるものであり,発注機関の利益を損ない,ひいては納税者である国民の公共の利益を損ねる違法行為である。そして,入札談合等関与行為等は,当該発注機関の利益を追求すべき職員がその利益を自ら損なうという利益背反行為に等しいものである。幹部も含めた発注機関の各職員は,入札談合等関与行為等は職務の適正な執行という自らの本来的責務に反するものであることを自覚し,法令遵守意識の向上に努めることが求められる。発注機関自身も,組織として,コンプライアンスを向上させ,職員による入札談合等関与行為等の防止に努めることが求められる。

ア 研修の拡充
 入札談合等関与行為等の発生を防ぐためには,幹部を始めとする各職員に対して,遵守すべき内容を実際に周知・啓発する機会を確保することが重要である。
 なお,公正取引委員会は,発注機関における入札談合等関与行為等の未然防止に向けたコンプライアンス活動を支援するため,発注機関の実施する職員向け研修への講師派遣等を行っている。

(ア) 研修の積極的な実施
 発注機関における入札談合等関与行為防止法の研修の実施状況についてみると,過去3年間で入札談合等関与行為防止法の研修を実施した発注機関は約4分の1にとどまっており,相当数の発注機関職員が入札談合等関与行為防止法の内容を十分把握しないまま業務に従事している可能性がある。発注機関別にみると,研修の実施状況に相当程度のばらつきがみられ,最も実施率の高い政令指定都市で半数強となっている一方,人口30万人以上の地方公共団体では約3割,人口5万人以上30万人未満の地方公共団体及び政府出資法人では約2割にとどまる。しかし,過去の入札談合等関与行為の事例では,中小規模の地方公共団体や政府出資法人においても入札談合等関与行為が発生している。また,本省庁だけでなく出先機関においても入札談合等関与行為が発生している。したがって,組織の規模や発注額の多寡,あるいは,本省庁・出先機関の別にかかわらず,積極的に研修を実施していく必要がある。

<研修実施割合>
 全体(25.5%)
 国の機関(40.0%),都道府県(48.7%),政令指定都市(56.3%),
 人口30万以上地方公共団体(30.6%),人口5万~30万未満地方公共団体(20.4%),
政府出資法人(19.1%)

(イ) 幹部・管理職や発注担当職員に対する研修の強化
 研修の対象者についてみると,発注担当部署の職員に対する研修と契約担当部署の職員に対する研修の実施状況は同程度となっている。また,役職別にみると,幹部・管理職よりも一般職員が研修対象となっている場合が多い。他方,過去の入札談合等関与行為の事例では,関与した職員のほとんどは発注担当部署所属であり,また,全ての事例で幹部・管理職が関与している状況にあることから,幹部・管理職や発注担当職員における法令遵守意識の向上が特に求められる。研修の実効性を高めるためには,こうした職員への研修を強化していくことが肝要である。

<研修対象職員の所属部署>
 契約担当部署(67.2%),発注担当部署(68.0%)
<研修対象職員の役職>
 幹部(5.6%),管理職(33.6%),一般職員(60.0%)

(ウ) 研修の適時の実施
 研修の頻度についてみると,年1回程度行われている場合が多い。人事異動等による担当職員の入替えのタイミングに合わせての研修も効果的であると考えられる。

<研修の開催頻度>
 半年に1回(12.0%),1年に1回(52.0%),2年に1回(3.2%),3年に1回(0.8%),
不定期(32.0%)

イ コンプライアンス・マニュアルの整備
 組織として法令遵守体制を強固なものとし,入札談合等関与行為等を防止するためには,法令・条例をより具体化したコンプライアンス・マニュアルを整備していくことが重要である。
 コンプライアンス・マニュアルの整備状況についてみると,作成していない発注機関が半数近くあり,中小規模の地方公共団体においては作成していない発注機関が6~7割であった。コンプライアンス・マニュアルを作成している場合でも,8割程度のマニュアルでは,入札談合等関与行為防止法を遵守すべき対象として明記していない。
 また,発注担当職員が官製談合事件に問われることのないよう業務上特に注意すべき事項等を整理した発注担当職員向けのマニュアルの作成状況についてみると,作成していない発注機関は8割程度に上っている。
 東証一部上場企業では独占禁止法に関する遵守マニュアルを整備しているものが7割近くに上っている(公正取引委員会「企業における独占禁止法に関するコンプライアンスの取組状況について」(平成22年6月公表))。これに比べると,入札談合等関与行為防止法の遵守をコンプライアンス・マニュアルに明記している発注機関は,国の機関や都道府県といった組織規模の大きいものでも3割程度にとどまっており,入札談合等関与行為等に対する取組に力点が置かれているとはいえない。発注機関の職員による入札談合等関与行為防止法の遵守を実効性あるものとするためには,コンプライアンス・マニュアルの整備を一層進めるとともに,その内容も業務環境に即した具体的・実践的なものとなるよう工夫していくことが望まれる。

<コンプライアンス・マニュアル作成割合>
 全体(53.1%)
 国の機関(63.2%),都道府県(64.1%),政令指定都市(75.0%),
 人口30万以上地方公共団体(40.3%),人口5万~30万未満地方公共団体(27.1%),
政府出資法人(82.7%)
<入札談合等関与行為防止法のコンプライアンス・マニュアルへの明記>
 全体(19.0%)
 国の機関(25.0%),都道府県(33.3%),政令指定都市(16.7%),
 人口30万以上地方公共団体(12.0%),人口5万~30万未満地方公共団体(17.3%),
 政府出資法人(18.0%)
<発注担当職員向けマニュアル>
 作成している(20.5%),作成していない(79.5%)

ウ 組織としての意思の明確化
 過去の入札談合等関与行為の事例では,入札談合等関与行為に至った背景・要因として,発注機関職員が,入札談合に加担することがむしろ地元業者の保護・育成に役立つという意識を持っていたことや,随意契約から入札へ切り替えたことによる混乱を避け入札業務を円滑に進めようとしたことなどが挙げられる。発注機関としては,職員が,地元業者育成などの政策は適正な入札執行に優先しても構わないとの考えや,入札業務を滞らせないことや品質の確保の方が適正な入札執行よりも重要との考えから,入札談合等関与行為等を行うこともやむを得ない,許されるといった考え方をすることのないよう,入札談合等関与行為等は許容しないとの組織としての意思を,幹部・管理職が,所属する各職員に対し,明確に示すことが重要である。入札談合等関与行為防止法の遵守を明記したコンプライアンス・マニュアルの整備は,そうした組織としての意思を具現化する意味でも重要である。
 また,入札談合等関与行為等を懲戒処分対象として懲戒規程に明記している発注機関は,2割程度にとどまっている。しかし,入札談合等関与行為等が懲戒処分の対象となることを明らかにすることも,入札談合等関与行為等を許容しないという組織としての意思を明確化することに資すると考えられる。

<入札談合等関与行為の懲戒規程上の記載>
 ある(23.0%),ない(77.0%)

(2) 入札談合等関与行為等を防止する体制面の整備

 入札談合等関与行為等を未然に防止するためには,発注機関自身が組織として包括的に取り組んでいくことが必要である。そのためには,組織・体制面において,入札談合等関与行為等の発生リスクを低減させる機能を組み込んでおくことが重要である。

ア 法令遵守を推進する体制の整備
 法令遵守に向けた各種取組を推進するコンプライアンス担当部署の設置状況についてみると,多くの発注機関においてコンプライアンス業務は既存部署の担当者により他の業務と併せて担当されている状況にある。また,組織規模が小さくなるとコンプライアンス業務担当部署自体が設置されていない場合も多くなっている。さらに,コンプライアンスを担当する管理職は,政令指定都市では6割程度で置かれているが,その他の発注機関ではほとんど置かれていない。出先機関を含め法令遵守を推進するための取組を実効的に行うためには,その実施について一定の権限と責任の下に主体的・一元的に推進していくことが重要であり,体制整備など適切な対応が望まれる。

<コンプライアンス担当部署の設置>
  担当管理職のいる専担部署 既存部署内に専担の担当班 既存部署内に専担の担当者 既存部署内で他業務と併務 設置していない
全体 11.1% 4.0% 2.9% 50.6% 28.0%
国の機関 5.9% 5.9% 0% 64.7% 17.6%
都道府県 5.4% 10.8% 0% 67.6% 13.5%
政令指定都市 62.5% 0% 0% 25.0% 6.3%
人口30万以上地方公共団体 11.3% 3.2% 4.8% 33.9% 41.9%
人口5万~30万未満地方公共団体 1.0% 2.6% 2.1% 46.6% 46.1%
政府出資法人 20.0% 4.5% 4.5% 59.4%

7.1%

イ 入札談合等関与行為等の未然防止・発見のためのチェック体制の整備
(ア) 入札手続・条件の事前チェック体制の整備
 過去の入札談合等関与行為の事例では,発注機関の職員が特定の事業者を入札に指名したり,受注予定者を円滑に決定できる指名業者の組合せを設定することで入札談合を容易にする事例がみられる。これを未然に防止するためには,入札に係る仕様書等や入札参加資格が適正に設定されているかを,入札の実施過程においてチェックする体制を整備することが有効であると考えられる。
 入札に係る仕様書等や入札参加資格のチェック体制についてみると,発注機関の8割以上が発注担当部署と契約担当部署を分離し,約6割が発注担当部署とは別の契約担当部署が仕様書等や入札参加資格のチェックを行っている。しかし,都道府県においては8割以上が発注担当部署内でチェックを行っているなど,4割弱の発注機関では発注担当部署による内部チェック体制となっていることから,発注担当部署とは別の部署によるチェック体制を充実することが望まれる。
 なお,外部の有識者等を構成員とする第三者機関を事前チェックに活用している発注機関はごくわずかであった。

<仕様書等や入札参加資格のチェック体制>
  発注担当部署内部 契約担当部署 第三者機関 行っていない
全体 36.1% 59.8% 2.9% 1.2%
国の機関 18.8% 75.0% 6.3%

0%

都道府県 83.3% 13.3% 3.3%

0%

政令指定都市 18.2% 81.8% 0%

0%

人口30万以上地方公共団体 24.5% 73.6% 1.9%

0%

人口5万~30万未満地方公共団体 36.0% 61.0% 0.6% 2.4%
政府出資法人 33.8% 59.7% 5.8% 0.7%

<発注担当部署と契約担当部署の分離>
 分離している(82.6%),分離していない(17.4%)

(イ) 入札結果の事後検証により問題行為を発見する仕組みの構築
 コンプライアンスの取組の実効性を確保するためには,法令遵守意識向上や体制整備による「予防」とともに,万一問題行為が発生した場合にこれを「発見」する機能を備えることも必要である。こうした発見機能は,問題行為が行われることのけん制にもつながる。
 入札談合等関与行為等が存在している場合には,入札結果に不自然・不合理な点が生じることがある。例えば,1者入札や同一事業者による長期継続受注がみられた場合には,その背景として,入札物件の仕様内容や入札参加資格が恣意的に設定されている可能性や,特定事業者が受注できるように発注機関から当該特定事業者を受注者として希望する旨の意向が示されている可能性が考えられる。また,予定価格を事前公表していない発注物件で落札率が100%となった場合は,予定価格等の秘密情報の漏えいがその背景にある可能性が考えられる。したがって,問題行為を抑止・発見するためには,入札結果にこうした不自然・不合理な点がないかを検証・分析することが有効であると考えられる。
 1者入札や同一事業者による長期継続受注,落札率100%案件といった不自然な入札結果に関する情報を集約して分析する取組の状況についてみると,こうした取組を行っていない発注機関は6~8割に上り,不自然な入札結果に対する問題意識の低さがうかがわれる。
 入札談合等関与行為等の予防・発見の取組をより実効あるものにするためには,このような観点から入札結果の事後検証に取り組むことが望まれる。

<不自然な入札結果の情報集約・分析の取組>
 1者入札:行っている(38.7%),行っていない(61.3%)
 同一事業者による長期継続受注:行っている(14.2%),行っていない(85.8%)
 落札率100%案件:行っている(21.9%),行っていない(78.1%)

(ウ) 第三者機関による事後検証の強化
 入札等に関する問題を事後的に検証する上では,発注機関内部でのチェックに加え,第三者機関を活用することも考えられる。発注機関における入札等に関する問題を検討する第三者機関の設置状況をみると,過半の発注機関で設置されている状況にある。
 第三者機関の設置目的についてみると,個々の工事の入札等における入札参加資格等が適当であったかを検討するためとするものが約9割であるのに対し,個々の物品や業務の入札等における入札参加資格等が適当であったかを検討するためのものは半数以下にとどまっている。入札談合等関与行為は,工事以外の発注物件においても発生していることから,発注機関においては,第三者機関も活用して,入札談合等関与行為等の事後チェック機能を強化していくことが望まれる。

<第三者機関の設置状況>
 設置している(55.7%),設置していない(44.3%)
<第三者機関の設置目的>
 個々の工事物件における入札参加条件等の適正性の検討(87.5%),
 個々の物品・業務物件における入札参加条件等の適正性の検討(48.0%),
 コンプライアンスの取組の評価・検討(6.2%),入札・契約手続の改善の検討(63.7%),
 談合情報のある入札の審議(28.6%),その他(15.4%)

(エ) 公益通報窓口の設置
 入札談合等関与行為等は組織内部での問題行為であるため,公益通報のスキームが機能しないと,職員が入札談合等関与行為等に係る情報に接した場合にもそれが表面化せず,組織的な対応が難しくなることが想定される。
 8割以上の発注機関において公益通報窓口が設置されているものの,このうち官製談合事件に関する情報が通報対象になっている旨を内部で周知している発注機関の割合は3割弱にとどまっている。
 入札談合等関与行為等に係る有効な情報を収集し,それによって入札談合等関与行為等の抑止を図る観点からは,入札談合等関与行為等に係る情報が通報対象として求められている旨が職員の間で十分認識されるようにすることが望まれる。

<公益通報窓口の設置状況>
 設置している(82.4%),設置していない(17.6%)
<官製談合情報が公益通報対象となる旨の周知>
 行っている(26.4%),行っていない(73.6%)

ウ 秘密情報の管理徹底
 過去の入札談合等関与行為の事例では,発注機関の職員が設計金額や発注予定時期等の秘密情報を関係事業者に漏えいし,入札談合を容易にしている事例がみられる。また,入札談合等関与行為に類似する行為について立件された刑事事件でも,秘密情報の漏えいに関するものが多くみられる。入札等に係る秘密情報の漏えいを防止するためには,こうした情報が適切に管理されるよう体制を整備する必要がある。秘密情報に関する管理規程を定めている発注機関の割合は,平成17年調査時の状況と比べて進展がみられたものの,いまだ2割程度にとどまっている。発注機関別にみると,発注機関の組織規模が小さくなるにつれて管理規程が整備されなくなる傾向がうかがえる。しかし,過去の発注に係る秘密情報の漏えい事例は,組織規模にかかわらず発生している。入札等に係る秘密情報の管理の徹底は,情報漏えいのリスクを低減するとともに,万一漏えいした場合の事実確認にも資するものであり,発注機関においては,秘密情報の保管方法やアクセス制限について規程を定めるなど,積極的な対応が望まれる。

<入札関連秘密情報管理規程の整備割合>
 全体(19.3%)
 国の機関(25.0%),都道府県(23.1%),政令指定都市(18.8%),
 人口30万以上地方公共団体(11.3%),人口5万~30万未満地方公共団体(8.3%),
 政府出資法人(34.0%)
 ※平成17年時:定めている(10.9%),定めていない(89.1%)

(3) 入札談合等関与行為等を防止するための施策

ア 外部からの働きかけに対する対策
 過去の入札談合等関与行為の事例では,指名業者の組合せについて関与職員が事業者から提示された組合せ案に沿って実施していた事例や,OBが提示した受注予定者を選定した「割付表」に従って関与職員が受注予定者を承認していた事例,事業者の情報収集活動に応じて秘密情報である設計金額を漏えいしていた事例など,事業者からの働きかけを通じて関与行為に至るものが複数認められる。発注業務において担当職員等が事業者と接触する機会は必然的に生ずるものであることから,発注機関としては,このような日常的な業務環境に内在するリスクを認識し,積極的に対策を講じておくことが望まれる。
 入札等に係る秘密情報の漏えい,特定の事業者に便宜を図る等の法令に違反するような行為を求める働きかけを外部から受けた場合の対応として,その内容を文書化して上司等に報告すること等を義務付けるといった取組を行っている発注機関の割合は,3割程度となっている。発注機関別にみると,平成17年調査時と比べ,このような取組を行う発注機関は増加する傾向にあるものの,都道府県や政令指定都市での実施状況が5~7割程度に達している一方,人口5万人以上30万人未満の地方公共団体や政府出資法人については2~3割程度にとどまるなど,取組状況にはばらつきが存在する。ヒアリング調査においては,外部からの働きかけの内容を記録・報告・公表する制度を導入した結果,働きかけ自体が減少したとする発注機関があり,このような取組が推進されることが望まれる。
 また,外部との接触に際して,応対は一人では行わない,定められた場所で応対するなどのルールを策定し,職員に周知している発注機関の割合は4分の1程度である。この取組についても,実施する発注機関の割合はおおむね増加傾向にある。

<外部からの働きかけの文書化・報告の実施割合>
 全体(30.9%)
 国の機関(35.0%),都道府県(53.8%),政令指定都市(68.8%),人口30万以上地方公共団体(40.3%),
 人口5万~30万未満地方公共団体(27.5%),政府出資法人(21.6%)
 ※平成17年時:全体(13.6%),都道府県・政令指定都市(31.1%),人口30万以上地方公共団体(18.0%),
 人口5万~30万未満地方公共団体(10.3%),政府出資法人(10.1%)
<外部との接触における留意点の作成・周知>
 行っている(25.5%),行っていない(74.5%)
 ※平成17年時:行っている(19.1%),行っていない(80.9%)

イ 人事上の配慮
 前記アで挙げたような,事業者からの働きかけにより入札談合等関与行為が行われた事例が示すように,長年の接触機会を通じて事業者と発注機関職員との間に一定の関係が醸成されることにより,事業者と発注機関職員双方が互いに無理を言いやすい環境や,発注機関職員が法令に違反するような行為を求める働きかけを断りにくい状況が生まれている。このことが,入札談合等関与行為等が引き起こされる要因の一つとなっていると考えられる。
 発注担当職員と特定の事業者の癒着等を防ぐために,約7割の発注機関が,長期間同一ポストに配置することを避けるという人事上の配慮を行っている。中小規模の地方公共団体では,限られた人員で業務の専門性・継続性を確保しつつ定期的な配置換えを行うことは難しい面もあると思われるものの,担当者が定期的に入れ替わる環境では,仮に入札談合等関与行為等が開始されたとしてもその隠匿・存続は困難となるものであり,一層の取組が望まれる。

<発注担当職員を長期間同一ポストに配置しない人事上の配慮の実施割合>
 全体(68.4%)
 国の機関(75.0%),都道府県(87.2%),政令指定都市(73.3%),人口30万以上地方公共団体(56.5%),
 人口5万~30万未満地方公共団体(58.9%),政府出資法人(78.8%)

ウ 入札参加事業者に再就職したOBへの対応
 過去の入札談合等関与行為の事例では,入札参加事業者に再就職したOBの要請に応じて工事を分割発注するなど,OBが入札談合等関与行為に関係する事例が多くみられる。入札談合等関与行為等の未然防止のためには,こうしたOBによる現職職員への影響力の行使を適切に排除することも重要となる。実際,ヒアリング調査においても,「職場で長年指導してもらったOBなどから頼まれると断りにくい」旨を指摘する発注機関がみられた。
 一方,OBの入札参加事業者等への再就職実態を把握している発注機関は約2割であり,また,再就職状況を把握していても具体的にどのような業務に就いているかまで把握している発注機関は,更にその半分程度という状況であった。
 発注機関としては,OBの働きかけによって入札談合等関与行為等が引き起こされないように配慮することが望まれる。この点,発注機関の中には,OBや再就職先企業に対し関係する受注活動業務に従事しないよう要請したり,OBに対するコンプライアンス研修の機会を提供したりしているものもある。

<OBの入札参加事業者への再就職実態の把握状況>
 把握している(24.1%),把握していない(75.9%)
<把握している発注機関のうち,OBが従事する具体的業務の把握状況>
 把握している(49.5%),把握していない(50.5%)

2 公正取引委員会としての今後の対応

 入札談合は発注機関における競争機能を通じた効率的な公共調達活動を損なう悪質な行為であり,発注機関の職員がそれに関与することは決して許容されないものである。公正取引委員会としては,今後とも入札談合に対し独占禁止法を厳正に執行していくとともに,入札談合等関与行為の事実が認められる場合には入札談合等関与行為防止法に基づき適切に対処していく。
 今回の調査では,入札談合等関与行為等の背景・実態を分析するとともに,その未然防止に向けて発注機関が行っている各種取組を紹介している。発注機関においては,本調査結果も参考としつつ入札談合等関与行為等の未然防止の取組を推進していくことが期待されるところ,公正取引委員会としても,各種研修事業や情報発信等を通じた発注機関のコンプライアンス活動の支援について,本調査結果を踏まえながら引き続き積極的に取り組んでいく。

 (参考)
 発注機関の実施する職員向け研修への講師派遣について
 http://www.jftc.go.jp/kansei/haken.html
 研修用テキスト「入札談合の防止に向けて」
 http://www.jftc.go.jp/dk/kansei/text.html

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電話 03-3581-5476(直通)
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