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(平成24年6月1日)三菱レイヨン株式会社に対する課徴金の納付を命ずる審決について(塩化ビニル樹脂向けモディファイヤーの価格カルテル)

平成24年6月1日
公正取引委員会

 公正取引委員会は,被審人三菱レイヨン株式会社(以下「被審人」という。)に対し,平成22年8月27日,審判開始決定を行い,以後,審判官をして審判手続を行わせてきたところ,平成24年5月30日,被審人に対し,平成17年法律第35号による改正前の独占禁止法(以下「独占禁止法」という。)第54条の2第1項の規定に基づき,課徴金の納付を命ずる審決を行った(本件平成22年(判)第13号審決書については,当委員会ホームページの「報道発表資料」及び「審決等データベース」参照。)。

1 被審人の概要

事業者名 三菱レイヨン株式会社
所在地 東京都港区港南一丁目6番41号
代表者 越智  仁

2 主文

 被審人は,課徴金として金5億4361万円を平成24年7月31日までに国庫に納付しなければならない。

3 本件の経緯

平成22年
6月2日 課徴金納付命令
8月27日 審判開始決定
11月2日 第1回審判
↓ 
平成23年
11月17日 第7回審判(審判手続終結)
平成24年
4月12日 審決案送達
5月30日 課徴金の納付を命ずる審決

4 審決の概要

(1) 課徴金に係る違反行為の概要

 被審人は,他の事業者と共同して,モディファイヤー(プラスチックが有する化学的,物理的性質を損なうことなく,衝撃強度,耐候性,加工性等を改良し,製品物性,外観,生産性等を向上させるために用いられる改質剤)のうち塩化ビニル樹脂に添加されるもの(以下「塩化ビニル樹脂向けモディファイヤー」ともいう。)の販売価格の引上げを決定することにより,公共の利益に反して,我が国における塩化ビニル樹脂向けモディファイヤーの販売分野における競争を実質的に制限していた。

(2) 課徴金の計算の基礎となる事実及び課徴金額の算定

 被審人の本件違反行為の実行期間は,独占禁止法第7条の2第1項の規定により,平成12年1月1日から平成14年12月31日までである。
 審査官が本件違反行為の対象商品(塩化ビニル樹脂向けモディファイヤー)であると主張する商品について,この期間における被審人の売上額は,90億6028万2135円である。課徴金の額は,この売上額に100分の6を乗じて得た額から1万円未満の端数を切り捨てて算出された5億4361万円である。

(3) 本件の争点

 審査官が本件違反行為の対象であると主張する商品のうちの一部(以下「本件係争商品」という。)が,独占禁止法第7条の2第1項の「当該商品」に該当するか否か。

(4) 争点に対する判断の概要

 ア 独占禁止法第7条の2第1項の「当該商品」について
 独占禁止法第7条の2第1項に定める「当該商品」とは,一定の取引分野における競争を実質的に制限する違反行為が行われた場合において,その対象商品の範ちゅうに属する商品であって,当該違反行為による拘束を受けたものをいうと解される。そして,違反行為の対象商品の範ちゅうに属する商品については,一般的に当該違反行為の影響が及ぶものといえるから,当該行為を行った事業者が明示的又は黙示的に当該行為の対象から除外したこと,あるいは,これと同視し得る理由によって当該商品が当該行為による拘束から除外されていることを示す特段の事情が認められない限り,当該違反行為による拘束を受けたものと推認され,独占禁止法第7条の2第1項にいう「当該商品」に該当するものと解される。
 イ 本件合意の対象等について
 (ア) 被審人,株式会社カネカ及び株式会社クレハ(以下「3社」という。)は,全てのモディファイヤーではなく,塩化ビニル樹脂向けモディファイヤーのみを本件合意の対象としたことが認められる。3社が本件合意の対象をこのように限定した理由は,非塩化ビニル樹脂向けモディファイヤーは,近年になって製品開発が活発になったため,塩化ビニル樹脂向けのものよりも需要者との特許関係による制約を受けることが多いこと及び非塩化ビニル樹脂向けモディファイヤーの製品開発について株式会社クレハが他の2社に先行していることなどから,非塩化ビニル樹脂向けモディファイヤーについては3社間で需要者の競合関係が生じて価格競争等になることが少なかったためであると認められる。
 (イ) 被審人が製造販売するメタブレンC,W及びPの各タイプのモディファイヤーは,元来,塩化ビニル樹脂に添加するためのモディファイヤーであり,非塩化ビニル樹脂に添加することも可能であるため,ごく僅かの割合が非塩化ビニル樹脂に添加するものとして販売されることもあるというものである。したがって,これらの各タイプのモディファイヤーは,他社と需要者の競合関係が生じることが少ない非塩化ビニル樹脂向けモディファイヤーとは異なる。
 (ウ) そして,メタブレンC,W及びPの各タイプのモディファイヤーは,3社による本件合意の対象とされた塩化ビニル樹脂向けモディファイヤーに含まれるMBS樹脂,アクリル系強化剤,アクリル系加工助剤の3種類にそれぞれ対応している。
 (エ) したがって,メタブレンC,W及びPの各タイプのモディファイヤーは,いずれも本件合意の対象商品の範ちゅうに属するといえる。そして,本件係争商品も,メタブレンC,W及びPの各タイプのいずれかに属するものである以上,本件合意の対象商品の範ちゅうに属するといえる。
 ウ 特段の事情について
 本件違反行為を行った被審人が,本件係争商品について,明示的又は黙示的に当該行為の対象から除外したこと,あるいは,これと同視し得る理由によって当該商品が当該行為による拘束から除外されていることを示す特段の事情があるとは認められない。
 エ 結論
 以上のとおり,被審人が販売した本件係争商品は,本件合意の対象商品の範ちゅうに属する商品であると認められ,独占禁止法第7条の2第1項の「当該商品」に該当する。
 これを前提にすると,被審人が国庫に納付しなければならない課徴金の額は,独占禁止法第7条の2第1項の規定により,被審人の売上額90億6028万2135円に100分の6を乗じて得た額から,同条第4項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて算出された5億4361万円である。

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問い合わせ先

公正取引委員会事務総局官房総務課審決訟務室
電話 03-3581-5478(直通)
ホームページ  http://www.jftc.go.jp/

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