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(平成24年6月26日)平成23年度における近畿地区の独占禁止法の運用状況等について

平成24年6月26日
公正取引委員会事務総局
近畿中国四国事務所

第1 独占禁止法違反事件の処理状況

1 公正取引委員会は,迅速かつ実効性のある事件審査を行うとの基本方針の下,国民生活に影響の大きい価格カルテル・入札談合,中小事業者等に不当に不利益をもたらす優越的地位の濫用や不当廉売・差別対価など,社会的ニーズに的確に対応した多様な事件に厳正かつ積極的に対処することとしている。
 そして,公正取引委員会は,一般から提供された情報(申告),自ら探知した事実等を検討し,必要な審査を行い,審査の結果,違反行為が認められたときは,当該行為をした事業者等に対し,違反行為を排除するために必要な措置等を命じている。違反行為のうち,価格カルテル,入札談合及び優越的地位の濫用については,違反行為をした事業者に対して課徴金の納付を命じている。

2 最近の独占禁止法違反事件の処理状況(不当廉売事案で迅速処理したもの及び注意した優越的地位の濫用事案を除く。)
 最近5年間における近畿地区(注)の独占禁止法違反事件の処理状況は,次のとおりである。(注)近畿地区とは,近畿2府4県のほか福井県を含めた地区である。以下同じ。

独占禁止法違反事件の処理件数
                           年度
処理内容
19年度 20年度 21年度 22年度 23年度
審査件数 前年度からの繰越し 2件 1件 2件 2件 1件
年度内新規着手 12件 21件 8件 17件 8件
合計 14件 22件 10件 19件 9件
処理件数 法的措置 排除措置命令等(注1) 5件 1件 1件 1件 1件
その他 警告(注2) 0件 0件 0件 0件 1件
注意(注3) 6件 17件 6件 13件 6件
打切り(注4) 2件 2件 1件 4件 0件
小計 8件 19件 7件 17件 7件
合計 13件 20件 8件 18件 8件
次年度への繰越し 1件 2件 2件 1件 1件

(注1)「法的措置」とは,排除措置命令及び課徴金納付命令であり,1つの事件について,排除措置命令と課徴金納付命令がともになされている場合には,法的措置件数を1件としている。
(注2)「警告」とは,排除措置命令等の法的措置を採るに足る証拠が得られないが,違反の疑いがある場合に行う措置である。
(注3)「注意」とは,違反行為の存在を疑うに足る証拠が得られないが,将来違反につながるおそれがある場合に行う措置である。
(注4)「打切り」とは,違反行為が認められない等により,審査を打ち切る場合をいう。

3 独占禁止法違反事件の概要

(1) 価格カルテル

 VVFケーブルの製造業者及び販売業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令

ア 違反行為の概要

 VVFケーブルの製造業者及び販売業者11社は,共同して,特定VVFケーブル(注)の11社の販売価格を決定していく旨を合意することにより,公共の利益に反して,我が国における特定VVFケーブルの販売分野における競争を実質的に制限していた。

イ 排除措置命令及び課徴金納付命令

 平成23年7月22日,上記違反行為者のうち,8社に対して排除措置命令を,9社に対して課徴金納付命令を行った(課徴金総額62億2286万円)。

(注)「特定VVFケーブル」とは,VVFケーブルのうち,販売業者に対して販売されるものをいう。

 VVFケーブルは,主にビル,家屋等の建物に設置されるブレーカーから建物内部のコンセント等までの屋内配線として使用されるものである。

 なお,排除措置命令を受けた8社のうち1社が,また,課徴金納付命令を受けた9社のうち2社が,現在審判中である。

(2) 優越的地位の濫用

 公正取引委員会は,優越的地位の濫用に係る情報に接した場合には,効率的かつ効果的な調査を行い,独占禁止法違反につながるおそれのある行為が認められた場合には,未然防止の観点から注意するとの方針の下,平成23年度において,10件の注意を行った。主な事例は以下のとおりである(注)。

(注) 次の各事例は,記載された行為が行われていた疑いがあり,独占禁止法違反につながるおそれがあったものである。

ア 食品スーパーマーケット業を営むAは,Aの店舗で販売する総菜について,Aの子会社に製造を委託しているところ,納入業者に対し,当該子会社に従業員を派遣し総菜の製造の手伝いを行うよう要請していた。

イ 飲食料品の小売業に係るフランチャイズ事業を営むBは,加盟店が販売する商品を納入業者から一括で仕入れて,当該商品を加盟店に卸売しているところ,当該加盟店から,Bの卸売価格では同業他社との価格競争に勝てない旨の情報が寄せられると,納入業者に対し,買取りで仕入れた商品について,あらかじめ定めた納入価格を減額するよう要請していた。

 また,独占禁止法違反が認められた場合は厳正に対処することとしている。

(3) 不当廉売

 ア 処理状況

 不当廉売は,総販売原価を大幅に下回るような価格であるなど不当に低い価格で,継続して販売し,他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれのある行為であり,独占禁止法第19条で禁止されるものである。申告のあった不当廉売事案に関しては,迅速に処理するとの方針の下で対処しており,平成23年度においては,酒類,石油製品,家庭用電気製品等について,不当廉売につながるおそれがあるとして331件の注意を行った。

 また,大規模事業者による不当廉売等周辺の中小事業者に対する影響が大きい と考えられる事案については厳正に対処することとしているところ,平成23年度においては,下記イのとおり,警告を行った。

イ 酒類小売業者に対する警告

(ア) 違反行為の概要

 株式会社ナガタ薬品は,酒類を取り扱う26店舗において,ビール等(注)のうち主要な商品(いずれも350ミリリットル缶24本入りケースのもの)をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し,上記26店舗のうち少なくとも3店舗の周辺地域に所在する酒類小売業者の事業活動を困難にさせるおそれを生じさせた疑いが認められた。

(イ) 警告

 平成23年11月14日,同社に対し,今後,このような行為を行わないよう警告した。

(注)「ビール等」とは,ビール並びにいわゆる「第三のビール」等と称されるその他の醸造酒及びリキュールをいう。

(4) 流通分野におけるその他の不公正な取引方法

  卸売業者が取引先小売業者に対し,販売方法の制限や安売り販売の自粛を求めたことについて,不公正な取引方法(拘束条件付き取引)につながるおそれがあるとして,当該卸売業者に未然防止を図る観点から注意を行った。

第2 企業結合関係届出等及び協同組合届出の動向

1 企業結合関係届出等

 独占禁止法では,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合及び不公正な取引方法による場合の会社等の株式取得・所有,役員兼任,合併,分割,共同株式移転及び事業譲受け等の禁止並びに一定の条件を満たす企業結合についての届出又は報告義務を規定している。

 公正取引委員会では,これら株式取得・所有,合併等に係る独占禁止法上の問題の有無について審査を行っている。

 最近5年間における近畿地区の企業結合関係届出受理件数は,次のとおりである。

企業結合関係届出受理件数
  19年度 20年度 21年度 22年度 23年度
株式取得届出受理 139件 102件 102件 14件 22件
合併届出受理 11件 7件 5件 1件 2件
分割届出受理 3件 2件 1件 1件 0件
共同株式移転届出受理 0件 0件 0件
事業譲受け等届出受理 18件 9件 9件 4件 2件
合計 171件 120件 117件 20件 26件

(注1) 平成19年度から平成21年度までの株式取得届出受理件数には,平成21年独占禁止法改正法による改正前の独占禁止法の規定に基づく株式所有に関する報告書の提出件数を含む。
(注2) 平成22年度は前年度までの届出受理等件数から大幅に減少しているが,これは平成22年1月1日に施行された改正独占禁止法によって届出対象範囲が縮減されたためである。

2 協同組合届出
 中小企業等協同組合法は,同法に基づき設立された事業協同組合及び信用協同組合に対し,同法第7条第1項第1号で規定する小規模事業者以外の事業者が加入したとき又は組合員が同小規模事業者でなくなったときには,その旨を公正取引委員会に届け出ることを義務付けている(同法第7条第3項)。
 最近5年間における近畿地区の協同組合届出件数は,次のとおりである。

中小企業等協同組合法第7条第3項に基づく届出件数
  19年度 20年度 21年度 22年度 23年度
中協法7条3項届出 30件 41件 35件 31件 27件

第3 広報・広聴活動等
 公正取引委員会では,独占禁止法及び下請法の普及・啓発並びに競争政策の運営に資するため,次のような広報・広聴活動を行っている。
 1 独占禁止政策協力委員制度
 競争政策への理解の促進と地域の経済社会の実情に即した政策運営に資するため,平成11年度から,独占禁止政策協力委員制度を設置しており,公正取引委員会が行う広報活動等に御協力いただくとともに,独占禁止法等の運用や競争政策の運営等について意見聴取を行っている。
 平成23年度においては,上半期に(1)企業結合規制の見直しについて,(2)東日本大震災への公正取引委員会の対応について,(3)優越的地位の濫用規制についてなど,下半期に(1)効果的な広報・広聴活動について,(2)公正取引委員会に期待することについて,(3)公正取引委員会の相談体制等についてなどの意見聴取を行った。

2 有識者との懇談会
 各地の有識者と公正取引委員会の委員長,委員等との懇談及び講演会を通して,競争政策についてより一層の理解を求めるとともに,幅広い意見,要望を把握し,今後の競争政策の有効かつ適切な推進に資するため,昭和47年度以降,毎年,全国各地において有識者との懇談会を開催している。
 近畿地区では,これまで7都市で35回開催しており,平成23年度は福井市において,福井商工会議所,福井県経営者協会,福井経済同友会,福井県中小企業団体中央会,(社)福井県銀行協会の経済団体,消費者団体,報道機関等の有識者との懇談会を実施し,同時に「公正な経済社会の実現に向けた公正取引委員会の取組」をテーマに講演会を開催した。
 また,平成4年度から近畿中国四国事務所長等と各地の有識者等との懇談会を開催しており,平成23年度は和歌山県新宮市,和歌山市,兵庫県宝塚市,大阪市(4か所),大阪府東大阪市,京都府綾部市,滋賀県彦根市及び奈良県生駒市の11か所において開催した。

3 独占禁止法説明会等
 公正取引委員会では,独占禁止法等の違反の未然防止を図るため,説明会・講習会等を自ら主催しているほか,各種業界団体等から要請を受けて講習会等へ講師を派遣している。
 近畿地区では,平成23年度は独占禁止法に関する説明会等を48回実施した。
 
4 学生に対する独占禁止法教室の実施
 消費者であり,また,将来,経済活動に参加する中学生,高校生及び大学生を対象に,独占禁止法等についての理解を深めてもらうことを目的として,当委員会の職員による「独占禁止法教室」を開催している。
 近畿地区では,平成23年度は中学生向け独占禁止法教室を2校,高校生向け独占禁止法教室を1校,大学生向け独占禁止法教室を7校で開催した。

5 一日公正取引委員会
 本局及び地方事務所等の所在地以外の都市において,独占禁止法及び下請法の普及啓発活動や相談対応の一層の充実を図るため,独占禁止法講演会,下請法講演会,入札談合等関与行為防止法研修会,消費者セミナー,独占禁止法教室,報道機関との懇談会,相談コーナーなどを1か所の会場で開催する「一日公正取引委員会」を開催している。
 近畿地区では,平成23年度は和歌山市において,3月15日に一日公正取引委員会を開催した。

6 消費者セミナー
一般消費者に独占禁止法の内容や公正取引委員会の活動について,より一層の理解を深めてもらうことを目的として,「消費者セミナー」を開催している。
近畿地区では,平成23年度は大阪府貝塚市,京都市,福井市,奈良市,神戸市,和歌山市及び大阪市の7か所において開催した。

7 相談業務
 公正取引委員会では,法運用に対する理解を深め,違反行為の未然防止を図るため,相談を受け付けている。
 最近5年間の相談受付件数は次のとおりである。

相談受付件数
  19年度 20年度 21年度 22年度 23年度
独占禁止法 813件 1098件 949件 1036件 1039件
下請法 841件 1041件 1276件 1284件 1480件
合計 1654件 2139件 2225件 2320件 2519件

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問い合わせ先


独占禁止法違反事件の処理状況に関する問い合わせ先 公正取引委員会事務総局近畿中国四国事務所第一審査課
電話 06-6941-2193(直通)
企業結合関係届出等の動向に関する問い合わせ先   公正取引委員会事務総局近畿中国四国事務所経済取引指導官
電話 06-6941-2174(直通)
広報活動等に関する問い合わせ先          公正取引委員会事務総局近畿中国四国事務所総務課
                          電話 06-6941-2173(直通)
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