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(平成26年8月7日)平成26年7月までの消費税転嫁対策の取組について

平成26年8月7日
公正取引委員会

1 はじめに

 公正取引委員会は,今般の消費税率引上げに当たり,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から,消費税の転嫁拒否等の行為(以下「転嫁拒否行為」という。)の未然防止のための取組と,転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組を進めてきた。
 公正取引委員会は,転嫁拒否行為に関する情報を積極的に収集するため,消費税率引上げが実施された本年4月以降,中小企業庁と合同で,中小企業・小規模事業者等に対する悉皆的な書面調査や,大規模小売事業者及び大企業等に対する書面調査を実施したところであり,これらによって把握した情報等に基づき,転嫁拒否行為に対して迅速かつ厳正に対処しているところである。
 また,本年4月から6月までに計5件の勧告・公表を行ったほか,本年7月に1件の勧告・公表を行ったところである。
 今後も引き続き,転嫁拒否行為に対して迅速かつ厳正に対処していくとともに,重大な転嫁拒否行為が認められた場合には勧告・公表を積極的に行うこととしている。また,転嫁拒否行為の未然防止のための取組についても,引き続き実施していく。

2 転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組

(1) 転嫁拒否行為に関する情報収集

ア 中小企業・小規模事業者等に対する悉皆的な書面調査
 公正取引委員会は,平成26年度において,中小企業庁と合同で,中小企業・小規模事業者等(売手側)から転嫁拒否行為に関する情報提供を求めるため,本年4月から6月にかけて,中小企業・小規模事業者等全体に対して,広く調査票を送付又は配布して,書面調査を実施したところである。
 転嫁拒否行為は,今後も行われる可能性があることから,平成26年度内にわたって違反行為を監視するため,本年7月以降も書面調査を引き続き実施している。

イ 事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査
 公正取引委員会は,転嫁拒否行為に関する情報等を把握するため,これまでに3,853社の事業者及び1,284の事業者団体に対してヒアリング調査を実施した(平成26年7月末時点)。

(2) 転嫁拒否行為に対する調査及び勧告・指導

 公正取引委員会は,様々な情報収集活動によって把握した情報を踏まえ,立入検査等の調査を積極的に実施しており,違反行為が認められた事業者に対しては転嫁拒否行為に係る不利益の回復などの必要な改善措置を迅速に行っている。また,重大な転嫁拒否行為が認められた場合には,勧告・公表を積極的に行っている(公正取引委員会及び中小企業庁における平成25年10月から平成26年7月までの対応実績は別紙1参照)。
 公正取引委員会及び中小企業庁は,本年7月に21件の指導を行い,平成25年10月から平成26年7月までの指導件数の合計は1,287件である。また,公正取引委員会は,本年7月に1件の勧告を行い,平成25年10月から平成26年7月までの勧告件数の合計は6件である。
 違反行為類型別では,買いたたき(消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号後段)が1,009件,本体価格での交渉の拒否(同法第3条第3号)が237件,役務利用・利益提供の要請(同法第3条第2号)が62件及び減額(同法第3条第1号前段)が13件となっている(合計1,321件)。

(3) 平成26年7月における転嫁拒否行為に対する措置

 公正取引委員会は,本年7月に1件の勧告を行っており,同月における勧告の概要は以下のとおりである。
 また,公正取引委員会及び中小企業庁は,本年7月に21件の指導を行っており,同月における主な指導事例は別添2のとおりである。

〇 株式会社ルネサンスに対する件(平成26年7月24日勧告)

ア 株式会社ルネサンス(以下「ルネサンス」という。)は,主にスポーツ施設の運営等の事業を営む事業者であり,当該施設の利用者に対してスポーツ指導を行う事業者と業務委託契約を締結して,当該事業者から継続してスポーツ指導に係る役務の供給を受けている。

イ ルネサンスは,個人である事業者(以下「本件事業者」という。)に対する業務委託料を,利用者がルネサンスに支払う利用料の額から消費税額を差し引いた額に委託料率を乗じてその額を算出する方法又は基準報酬額と称する業務委託料の単価に指導時間を乗じてその額を算出する方法により算出していた。

ウ ルネサンスは,消費税率引上げに対応するため,前記イの業務委託料について,本件事業者が免税事業者に該当することを理由として,本件事業者と協議することなく,消費税率引上げ分を上乗せせず据え置くこと,又は,消費税率引上げ分に満たない額を上乗せすることを決定し,その旨を平成26年2月上旬に本件事業者に書面で通知した。

エ ルネサンスは,公正取引委員会の調査を契機として,平成26年4月1日以後に本件事業者から供給を受ける役務に関する前記イの業務委託料の額について,同年7月中旬までに,消費税率引上げ分に相当する額を上乗せした額まで引き上げることを本件事業者との間で合意し,同年4月1日に遡って当該引上げ分相当額を,本件事業者に対して支払っている。

オ 公正取引委員会は,上記ウの行為が,消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号後段(買いたたき)の規定に違反するものであるとして,同法第6条第1項の規定に基づき,ルネサンスに対し,今後,特定供給事業者による消費税の転嫁を拒むことのないよう,自社の役員及び従業員に本勧告の内容について周知徹底すること,同法の研修の実施等の社内体制整備のための措置を講じること,実施した措置を速やかに公正取引委員会に報告すること等を内容とする勧告を行った。

3 転嫁拒否行為の未然防止のための取組

(1) 公正取引委員会主催説明会

 公正取引委員会は,事業者及び事業者団体を対象として,本年6月以降,公正取引委員会主催の説明会を全国28か所(28回)で開催することとしており,本年6月及び7月に説明会を23回実施したところである。
 本年8月以降も順次説明会を実施することとしており,現在,公正取引委員会のホームページ(以下のURL参照)において説明会参加の申込みを受け付けている。

 http://www.jftc.go.jp/tenkataisaku/setumeikai.html

 当該説明会では,消費税転嫁対策特別措置法で禁止されている転嫁拒否行為の概要やこれまでの勧告・指導事例などについて,公正取引委員会の職員が説明する。
 なお,説明会の開催に併せて,転嫁拒否行為を受ける事業者等からの相談を公正取引委員会の職員が受け付ける移動相談会を開催する。

(2) 消費税率引上げ後の集中的な広報

 公正取引委員会は,消費税率引上げ後における転嫁拒否行為の未然防止を図るため,転嫁拒否行為に対して公正取引委員会が厳しく監視していること等に加えて,書面調査の周知を行うこととしており,本年6月及び7月に,新聞広告等の各種媒体を活用した集中的な広報を実施した(別紙2)。

別紙1

転嫁拒否行為に対する対応実績(平成26年7月まで)

公正取引委員会
中小企業庁

 平成26年7月までの公正取引委員会及び中小企業庁における転嫁拒否行為に対する対応状況は下表のとおりである(勧告事件及び主な指導事例については,別添1及び別添2参照)。

表1:転嫁拒否行為に対する対応状況(注1)
調査着手件数 指導件数(注2)

公正取引委員会による
勧告件数

2,511件

1,287件
(大規模小売事業者64件)

6件
(大規模小売事業者2件)

(注1) 公正取引委員会及び中小企業庁の合算。また,平成26年7月までの累計(平成25年10月~平成26年7月)。
(注2) 転嫁拒否行為を行っていると回答した事業者に対する下請代金支払遅延等防止法に基づく中小企業庁の指導を含む。

表2:勧告及び指導件数の内訳(業種別)(注3)
業種 指導 勧告 合計
建設業 25件 0件 25件
製造業 505件 0件 505件
運輸業(道路貨物運送業等) 146件 0件 146件
情報通信業 125件 0件 125件
卸売業 137件 0件 137件
小売業 129件 2件 131件
不動産業 22件 0件 22件
技術サービス業(広告・建築設計業等) 93件 0件 93件
事業サービス業(ビルメンテナンス業・警備業等) 25件 0件 25件
自動車整備業・機械等修理業 16件 0件 16件
その他(注4) 64件 4件 68件
合 計 1,287件 6件 1,293件

(注3) 複数の業種にわたる事業者が勧告又は指導の対象となった場合は,当該事業者の主な業種を1件として計上している。
(注4) 「その他」は,医療福祉,旅行業,労働者派遣業等である。

表3:勧告及び指導件数の内訳(行為類型別)
行為類型 指導 勧告 合計
減額 13件 0件 13件
買いたたき(注5) 1,003件 6件 1,009件
役務利用・利益提供の要請 62件 0件 62件
本体価格での交渉の拒否 237件 0件 237件
合 計(注6) 1,315件 6件 1,321件

(注5) 買いたたきの勧告及び指導件数には,平成26年3月31日以前に減額行為があり,同年4月1日以降に違反のおそれがあるものを含む。
(注6) 事業者の中には,複数の行為を行っている場合があり,表1及び表2に記載の件数とは一致しない。

別添1

勧告事件(平成26年7月まで)

 

名称
(勧告年月日)

概要

違反法条
(違反行為類型)

1

株式会社JR東日本ステーションリテイリング
(平成26年4月23日)

 駅構内等で食料品,衣料品等を販売する株式会社JR東日本ステーションリテイリングは,消費税率引上げに伴う売上高の減少を防止するため,納入業者に対し,仕入価格を通常支払われる仕入価格に比べ3%程度低く設定することになる販売促進企画への参加を要請した。

第3条第1号後段
(買いたたき)

2

株式会社三城
(平成26年6月12日)

 メガネ等を販売する株式会社三城は,消費税率の引上げに対応するため,店舗の賃貸人のうち,税込価格で賃借料を契約している賃貸人に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに賃借料を据え置いた。

第3条第1号後段
(買いたたき)

3

山形市(山形市立病院済生館)
(平成26年6月17日)

 山形市立病院済生館は,消費税率の引上げに対応するため,医療材料の納入価格を引き下げることとし,納入業者に対し,平成25年度下期の納入価格に一定率を乗じた額等を減じて算出した医療材料ごとの納入価格の目標値を定めた。

第3条第1号後段
(買いたたき)

4

一般社団法人東京都自転車商防犯協力会
(平成26年6月26日)

 東京都公安委員会が指定する自転車の防犯登録を行う一般社団法人東京都自転車商防犯協力会は,防犯登録業務を委託している自転車販売店等に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに委託手数料を据え置いた。

第3条第1号後段
(買いたたき)

5

一般社団法人兵庫県自転車防犯登録会
(平成26年6月26日)

 兵庫県公安委員会が指定する自転車の防犯登録を行う一般社団法人兵庫県自転車防犯登録会は,消費税率の引上げに伴う自らの経費の負担を回避するため,防犯登録業務を委託している自転車販売店等に対し,消費税率引上げ前の額より更に低い委託手数料を定めた。

第3条第1号後段
(買いたたき)

6

株式会社ルネサンス
(平成26年7月24日)

 スポーツ施設の運営等の事業を営む株式会社ルネサンスは,消費税率の引上げに対応するため,スポーツ指導を行う個人事業者に対し,免税事業者に該当することを理由として,消費税率の引上げ分を上乗せせずに業務委託料を据え置く等した。

第3条第1号後段
(買いたたき)

別添2

主な指導事例(平成26年7月)

1 減額(消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号前段)
業種 概 要
小売業  大規模小売事業者であるA社は,自社で販売する商品の納入業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後に供給を受けた商品について,仕入伝票ごとに,あらかじめ定めた消費税込みの単価に品目別の数量を乗じて得た金額について1円未満の端数を切り捨てた金額を算出し,これらの仕入伝票ごとの金額を合計した金額を支払っていた。
2 買いたたき(消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号後段)
業種 概 要
電気工事業  家庭用の空調機器の取付け・取外し等の工事を委託しているB社は,当該工事を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後に受ける当該役務の委託代金について,消費税率引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。
建設業  手すり等の工事を委託しているC社は,当該工事を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。
小売業  大規模小売業者であるD社は,店舗等の賃貸人のうち,消費税を含む額で賃借料を契約している賃貸人(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの賃借料を据え置いていた。
不動産賃貸業  自社が保有する不動産の内装工事を委託しているE社は,当該工事を委託する事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。
3 利益提供の要請(消費税転嫁対策特別措置法第3条第2号)
業種 概 要
卸売業  日用品等の卸売をしているF社は,当該日用品等の納入業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日からの消費税率引上げに伴い,自社の費用負担を明確にすることなく,納入する商品について消費税率の引上げに対応した値札に付け替える作業を要請した。
4 本体価格での交渉の拒否(消費税転嫁対策特別措置法第3条第3号)
業種 概 要
出版業  自社の出版する雑誌の掲載記事の編集を委託しているG社は,当該編集を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,当該事業者との価格交渉において本体価格での交渉の申出があったにもかかわらず,平成26年4月1日以降も税込価格のみを用いていた。

別紙2

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問い合わせ先 公正取引委員会事務総局経済取引局取引部取引企画課
電話 03-3581-3371(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/

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