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(平成27年1月20日)北海道に所在する農業協同組合等が発注する低温空調設備工事の工事業者に対する排除措置命令,課徴金納付命令等について

(平成27年1月20日)北海道に所在する農業協同組合等が発注する低温空調設備工事の工事業者に対する排除措置命令,課徴金納付命令等について

平成27年1月20日
公正取引委員会

 公正取引委員会は,北海道に所在する農業協同組合等(注1)(以下「農協等」という。)が発注する低温空調設備工事(注2)の工事業者に対し,独占禁止法の規定に基づいて審査を行ってきたところ,後記第1のとおり,農協等発注の特定低温空調設備工事(注3)について,同法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたとして,本日,同法第7条第2項の規定に基づく排除措置命令及び同法第7条の2第1項の規定に基づく課徴金納付命令を行った(違反行為については別添排除措置命令書参照)。
 また,農協等から施主代行業務(注4)を受託していたホクレン農業協同組合連合会(以下「ホクレン」という。)に対し,ホクレンの一部の職員の行為が上記違反行為を誘発し,助長していたものであると認められたことから,本日,後記第2のとおり,申入れ等を行った。
(注1) 「北海道に所在する農業協同組合等」とは,北海道に所在する農業協同組合又は農業協同組合連合会(ホクレン農業協同組合連合会を除く。)をいう。
(注2) 「低温空調設備工事」とは,農産物を貯蔵又は予冷する施設において,農産物の品質を維持することを目的として,当該施設内の温度又は湿度を調節するために設置される,冷凍機又は冷却器を用いた空調設備の建設工事(当該空調設備に附帯する工事を含む。)をいう。
(注3) 「農協等発注の特定低温空調設備工事」とは,農協等が,一般競争入札,一般競争見積,指名競争入札,指名競争見積又は見積り合わせ(以下「競争入札等」という。)の方法により発注する低温空調設備工事をいう。
(注4) 「施主代行業務」とは,施主が,施行管理能力を有する者に委託する,基本設計の作成,実施設計書の作成又は検討,工事の施行(入札等の実務,工事の施工業者の選定の補助等の業務を含む。),施工管理等の業務をいう。

第1 排除措置命令及び課徴金納付命令について

1 違反事業者,排除措置命令及び課徴金納付命令の対象事業者並びに課徴金額

番号 違反事業者(注5) 本店の所在地 代表者 排除
措置
命令
課徴金額
1 ナラサキ産業株式会社 札幌市中央区北一条西七丁目1番地 代表取締役
中村 克久
1251万円
2 株式会社北海道日立 札幌市中央区北三条東十一丁目20番地 代表取締役
高倉 哲雄
404万円
3 三菱電機冷熱プラント株式会社 東京都品川区南大井三丁目14番9号 代表取締役
伊藤 健司

合計 1655万円

(注5) 以下,違反事業者の事業者名については,「株式会社」の記載を省略する。
(注6) 表中の「○」は,その事業者が排除措置命令の対象であることを示している。
(注7) 表中の「-」は,その事業者が排除措置命令又は課徴金納付命令の対象とならないことを示している。

2 違反行為の概要

 ナラサキ産業及び北海道日立(以下「2社」という。)並びに三菱電機冷熱プラントの3社は,遅くとも平成21年4月8日以降,共同して,農協等発注の特定低温空調設備工事について,受注価格の低落防止等を図るため
(1)ア 受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定する
イ 受注予定者以外の者は,受注予定者が受注できるように協力する
旨の合意の下に
(2)ア 受注を希望する者(以下「受注希望者」という。)が1社のときは,その者を受注予定者とする
イ 受注希望者が複数社のときは,施主である農協等が過去に発注した低温空調設備工事の受注実績,ホクレンの担当者が当該農協等の希望等を踏まえて示した意向等を勘案して,受注希望者間の話合いにより受注予定者を決定する
ウ 受注予定者が提示する入札価格又は見積価格(以下「入札価格等」という。)は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者が定めた入札価格等以上の入札価格等を提示する
などにより,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,農協等発注の特定低温空調設備工事の取引分野における競争を実質的に制限していた。

3 排除措置命令の概要

(1) 2社は,それぞれ,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
ア 前記2の行為を取りやめていることを確認すること。
イ 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,農協等発注の特定低温空調設備工事について,受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行うこと。
(2) 2社は,それぞれ,前記(1)に基づいて採った措置を,相互に通知するとともに,農協等及びホクレンに通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
(3) 2社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,農協等発注の特定低温空調設備工事について,受注予定者を決定してはならない。
(4) 2社は,それぞれ,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
ア 自社の工事の受注に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の自社の従業員に対する周知徹底(北海道日立にあっては当該行動指針の作成及び自社の従業員に対する周知徹底)
イ 農協等発注の特定低温空調設備工事の受注に関する独占禁止法の遵守についての,当該工事の営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査

4 課徴金納付命令の概要

 2社は,平成27年4月21日までに,それぞれ前記1の表の「課徴金額」欄記載の額(総額1655万円)を支払わなければならない。

第2 ホクレンに対する申入れ等について

1 本件審査の過程において認められた事実

(1) ホクレンは,農協等発注の特定低温空調設備工事の大部分について,農協等から施主代行業務を受託していた。
(2) 農協等が発注する低温空調設備工事のうち一部の工事については,農林水産省又は北海道から,交付金が交付されていた。
(3) ホクレンの担当者は,ホクレンが施主代行業務を受託した農協等発注の特定低温空調設備工事の競争入札等において,特定の工事業者に対し,当該農協等の希望等を踏まえ,受注予定者についての意向を示すことがあった。また,ホクレンの担当者は,農協等発注の特定低温空調設備工事の競争入札等の実施に当たり,特定の工事業者に対し,当該工事の契約締結の目安となる予算額を教示することもあった。

2 申入れの概要

 前記1(3)の行為は,前記第1の2の違反行為を誘発し,助長していたものと認められることから,公正取引委員会は,公正かつ自由な競争を確保するため,ホクレンに対し,前記1(3)と同様の行為が再び行われることがないよう適切な措置を講ずることを申し入れた。

3 候補選考について

 ホクレンは,農協等から施主代行業務を受託した者として,交付金の交付決定後に入札を行った場合には農協等が設定した期日までに工事を完了させることが困難と見込まれるものについて,農協等に対し,交付金の交付決定前に低温空調設備工事が施工される施設の建築設計の協力業者を選定する名目の候補選考と称する競争入札等により,当該工事の受注者を選定し,その場合には,改めて競争入札等を実施せずにこれを実施した体裁を整えることを提案するとともに,その実務を担当していた。
 このため,公正取引委員会は,ホクレンに対し,入札手続の透明性を確保するための措置を講ずるべきである旨を伝えた。

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問い合わせ先

公正取引委員会事務総局審査局第三審査
電話 03-3581-3383(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/

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