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(平成28年12月21日)事業者団体における独占禁止法コンプライアンスに関する取組状況について

(平成28年12月21日)事業者団体における独占禁止法コンプライアンスに関する取組状況について

平成28年12月21日
公正取引委員会

1  調査結果の概要

(1) 独占禁止法コンプライアンスの取組に関する多くの項目において,取組を行っている事業者団体(注1)は半数に満たず,取り組んでいる事業者団体においても,その取組状況は必ずしも十分ではないといった実態が明らかとなった。

(注1)事業者団体とは,独占禁止法第2条第2項の規定により,「事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする二以上の事業者の結合体又はその連合体」と定義されており,具体的には,○○工業会,○○協会,○○協議会,○○組合といった団体や○○連合会といったこれら団体の連合体が事業者団体に当たる。

(2) このような実態の背景としては,
ア  独占禁止法コンプライアンスの取組は構成事業者が主体となって対応すべき問題であると認識している事業者団体が多く,独占禁止法コンプライアンスの取組を行うことへの意識が低いこと
イ  本調査の対象となった事業者団体は事務局員数が10名にも満たないものが大部分を占めており,企業における取組と比べて,各般の取組,とりわけ一定規模以上の人的リソースを必要とするような取組に支障があるという点についてやむを得ない側面もあること
が考えられる。

(3) しかしながら,一たび独占禁止法違反が発生すれば,事業者団体であってもそのリスクは企業における場合と大きく変わるところはなく,さらに,一般的に事業者団体の活動は,自ずと同業他社が一堂に会する場となることや,構成事業者の事業活動に何らかの制約を加える性格のものがあることなど,常に独占禁止法上の固有のリスクが内在することを踏まえると,今般の調査結果の取組状況では不十分といわざるを得ない。

(4) したがって,例えば,研修の実施等,人的リソース等が必要な取組に関しては複数の事業者団体による共同での取組や外部委託といった手法を用いるなど,規模や能力に応じて,可能なものから順次取組を行うことが望まれる。

(5) 特に,本調査結果では,シェアが高い事業者団体や過去に独占禁止法違反事件があった業界の事業者団体さえも,独占禁止法コンプライアンスの取組が十分には行われていないことが明らかとなっており,このような事業者団体においては,早急に必要な取組を推進することが強く求められる。

(6) 昨今では,構成事業者においては独占禁止法コンプライアンスの取組が進んできており,独占禁止法コンプライアンスに取り組んでいない事業者団体の活動に不用意に参加することにより独占禁止法違反に巻き込まれるおそれがあることから,構成事業者が事業者団体の活動への積極的な参加をためらう状況も見受けられるところ,このような構成事業者に安心して事業者団体の活動に参加してもらうことにより,事業者団体ひいては業界全体の健全な発展を期していくためにも事業者団体における独占禁止法コンプライアンスの取組は急務となっているといえる。

2  公正取引委員会としての今後の活動

 公正取引委員会としては,独占禁止法の厳正な執行とともに未然防止の活動を車の両輪と捉え,未然防止の観点から本調査結果を事業者団体への警鐘と位置付け,今後も事業者団体からの相談への対応,本調査結果の説明会の開催などを通じて,事業者団体の独占禁止法コンプライアンスの整備について必要な後押しをしていく。

(参考)本調査の趣旨と方法
○ 事業者団体による独占禁止法違反事件等が数多く存在(注2)し事業者による価格カルテル事件においては事業者団体の会合の場が利用されるなどの事例も存在。
○ 事業者団体における独占禁止法コンプライアンスの取組について現状を把握し,課題を明らかにすることにより,事業者団体における独占禁止法コンプライアンスの強化に資することを目的として,事業者団体における独占禁止法コンプライアンスの取組について調査を実施。
○ 1,041団体(注3)を対象にアンケート調査を実施。
○ 102団体を対象にヒアリング調査を実施。

(注2)公正取引委員会が直近10年間(平成18年度~平成27年度)に排除措置命令又は警告を行った事件は29件。
(注3)主として同じ業種に属する事業者により構成される事業者団体の中から,業種の限定を行わずに選定。

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問い合わせ先

公正取引委員会事務総局経済取引局総務課
電話 03-3581-5476(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/

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