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(平成28年11月2日)独占禁止政策協力委員から寄せられた主な意見(平成28年度上半期)について

(平成28年11月2日)独占禁止政策協力委員から寄せられた主な意見(平成28年度上半期)について

平成28年11月2日
公正取引委員会

 公正取引委員会は,競争政策への理解の促進と地域の経済社会の実情に即した競争政策の運営に資するため,各地域の有識者150名に独占禁止政策協力委員を委嘱しており,公正取引委員会が行う広報活動等に協力いただくとともに,独占禁止法等の運用や競争政策の運営等について意見聴取を行っている。
 平成28年4月から平成28年9月にかけて,独占禁止政策協力委員から寄せられ
た主な意見は,次のとおりである(地域ブロックごとの詳細は別紙参照)。

1 公正取引委員会に対する期待について

・ 教育分野において,私立小学校の転出入に関する問題を摘発したのに続き,教科書の発行者に対して警告を行ったことは,インパクトが大きく,公正取引委員会の活動の幅の広さに驚かされた。一般国民が皆おかしいと思っているところに手を伸ばしたことに意義があると思う。
・ IT化や企業のグローバル化等によってビジネスモデルが急速に変化しており,こうした変化への対応を適切に行うために,公正取引委員会の人員の増員等を含めた組織強化が必要ではないか。
・ 独占禁止法の運用については,消費者の暮らしに直接的かつ密接に関わる分野に是非力を入れてほしい。生活に関連した事案を取り上げることで,独占禁止法が消費者にとって身近なものであると認識されることが重要である。
・ 海外に進出した日本の企業が米国,EU,中国等の競争法に違反したとして高額な制裁金を課される事案が後を絶たないことから,海外進出を検討している企業向けに,外国競争法の規制内容等について,より実務的な情報提供を行うなど,外国競争法コンプライアンスの推進に向けた取組を継続してほしい。
・ 東日本大震災に係る舗装災害復旧工事と同様に,平成28年熊本地震における災害復旧工事においても入札談合が行われるようであれば,厳しく取り締まってほしい。
・ 消費税率が8%に引き上げられた際は,公正取引委員会の転嫁対策の取組により転嫁がスムーズに行われたと感じた。消費税率が10%に引き上げられる際にも同様に取り組んでほしい。

2 地域経済の現状と競争政策の役割について

・ 円安による輸入資材等の原材料価格の上昇,人手不足による人件費の上昇,更には北海道での2回にわたる電力料金の値上げ等により,中小企業はコストがかさみ収益が圧迫されている状況にある。消費税率の引上げ分も含め,コストが上昇した分を簡単には価格に転嫁し難いため,公正取引委員会には中小企業が適正に転嫁できるような環境を整備してほしい。
・ 現在,賃金の高い首都圏などに人材が流れていることなどから,人手不足が深刻な状況となっている。人材の流出を防ぐために賃金を引き上げようにも,下請事業者等はそのためのコスト上昇分を転嫁することが難しいと思われるので,公正取引委員会はこのような地方経済の現状を踏まえた法運用を行ってほしい。
・ 地方においても品質の良い物を製造する事業者は多く,これらの事業者の中には,新しい商品を企画して東京等の大都市圏に積極的に販路を拡げている事業者もいる。これらの事業者が邪魔をされないような競争環境の整備を期待したい。
・ 地方の景気がよくなっている実感がほとんどない中,大企業によるコストダウン圧力が中小零細企業に向くことが大いに懸念される。地方経済を陰で支えている多くの中小零細企業の保護のためにも,優越的地位の濫用や下請法違反行為が起きないよう,引き続き監視の目を光らせてほしい。

3 情報通信技術やデジタル化の進展に応じた競争政策の在り方について

・ 携帯電話の端末価格や月額通信料は高止まりしているほか,3社足並みを揃えた価格となっており,競争原理が機能していないと思われるため,今後も継続して注視してほしい。
・ IT分野ではスピード重視の経営が求められ,市場の状況が相当な速さで変化していることから,国内市場においてある程度影響を及ぼし得る新たな企業が出てくる可能性はある。他方,新しい企業がある程度のシェアを確保すると,不公正な取引方法を用いることが考えられるため,注意が必要である。
・ 今後,ビッグデータをどのように活用していくかについては,公共の利益の面等も踏まえて考えていく必要がある。特に,携帯電話会社や鉄道会社が有する民間のビッグデータの活用については,今後の経済活動に大きな影響を及ぼすと考えられることから,独占禁止法上の問題が生じないように注視してもらいたい。
・ 技術革新の恩恵が全国津々浦々に行き渡るようにするためには,技術について権利を有する者の利益を保護することも重要と思うが,権利者が自己の利益を確保するために高額な使用料を徴収するといった行為を行うことのないよう,公の利益とのバランスを考えた上で独占禁止法を運用することが求められる。

4 地方における独占禁止法及び下請法遵守の促進について

・ 地方においては,周囲に同業者が少なく,また,取引関係が限定されているなどの事情から,仲間内の利益の確保を優先したり,優越的地位の濫用をされても今後の取引を考えて泣き寝入りするなど,独占禁止法や下請法に違反する行為が表に出にくいと推察される。弱い立場の人が声を上げやすい環境作りのほか,通報したことによって不利益を被るとの懸念や実際に不利益を被った場合に対する何らかの方策を考えてほしい。
・ 中小企業の中には,取引先から優越的地位の濫用や下請法違反行為を受けているにもかかわらず,法律に対する知識が乏しいため,その行為が法律に違反しているということが分かっていない企業もある。公正取引委員会には,そのような中小企業に向けて,独占禁止法等の普及啓発をしっかりと行ってもらいたい。

5 規制改革に伴う対応について

・ 農業分野における独占禁止法違反被疑行為に係る情報提供窓口の設置は非常に良い取組であると思う。また,農業協同組合の活動に関する独占禁止法上の指針もよく整理されていると思う。
・ 農業分野における独占禁止法違反被疑行為に係る情報提供窓口についてもっとPRしてほしい。また,公正取引委員会は,下請事業者に対して書面調査を行っているが,農家向けに書面調査等を行うことも検討してほしい。
・ ヨーロッパの電力の小売の状況をみると,一旦は小売業者が乱立するが,その後結局は資本力のある大手に集約され,じわじわと電力料金が上がっていると聞いているので,公正取引委員会はそういったことがないよう,公正な競争が今後も担保されるようにしてほしい。
・ ベースロード電源を有しない小売電気事業者が,一般電気事業者であった発電事業者から電力を購入しなければならないという状況において,一般電気事業者であった発電事業者と新規参入した小売電気事業者との間に優越的地位の濫用の問題が発生するのではないかという懸念がある。

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問い合わせ先

公正取引委員会事務総局官房総務課
電話 03-3581-3574(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/

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