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(平成29年6月16日)平成28年度における中部地区の消費税転嫁対策の取組について

(平成29年6月16日)平成28年度における中部地区の消費税転嫁対策の取組について

平成29年6月16日
公正取引委員会事務総局
中部事務所

はじめに

 公正取引委員会は,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から,消費税の転嫁拒否等の行為(以下「転嫁拒否行為」という。)の未然防止のための取組と,転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組を進めてきたところである。
 中部事務所においても,転嫁拒否行為等に対して迅速かつ厳正に対処することを目的として,「消費税転嫁対策調査室」を設置し,中部事務所管内(富山県,石川県,岐阜県,静岡県,愛知県及び三重県)において消費税転嫁対策に係る取組を実施してきたところ,平成28年度における管内の取組状況は以下のとおりである。

第1 転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組

1 措置件数

 管内においては,平成28年度において,転嫁拒否行為に対して,2件の勧告及び49件の指導を行っている。勧告の概要は別紙1,主な指導の概要は別紙2のとおりである。

表1:措置件数[単位:件]
年 度 平成28年度 平成27年度 累計
全国 中部地区 全国 中部地区 全国 中部地区
措 置 指 導 362 49 349 50 1,751 246
《20》 《3》 《24》 《3》 《124》 《13》
勧 告 6 2 13 2 38 5
《0》 《0》 《3》 《0》 《7》 《0》
違反事実なし 218 14 472 51 1,150 134

(注) 累計の数値は,平成25年10月から平成29年3月までの累計。また,全国の件数には,中部地区の件数を含む(以下同じ)。《 》内の件数は,大規模小売事業者に対する勧告又は指導の件数で内数である。

2 措置件数の業種別内訳

 平成28年度の措置件数(勧告又は指導を行った事件の件数をいう。以下同じ。)について措置を採った特定事業者の業種別で分類すると,管内においては,建設業が14件(27.5%)と最も多く,以下,製造業が12件(23.5%)と続いている。

表2:措置件数の内訳(業種別)[単位:件,(%)]
業種(注) 全国 中部地区
建設業 平成28年度 56(15.2) 14(27.5)
平成27年度 57(15.7) 12(23.1)
累計 186(10.4) 43(17.1)
製造業 平成28年度 66(17.9) 12(23.5)
平成27年度 67(18.5) 16(30.8)
累計 470(26.3) 95(37.8)
情報通信業 平成28年度 38(10.3) 2( 3.9)
平成27年度 44(12.2) 5( 9.6)
累計 155( 8.7) 10( 4.0)
運輸業 平成28年度 15( 4.1) 2( 3.9)
平成27年度 15( 4.1) 1( 1.9)
累計 119( 6.7) 18( 7.2)
卸売業 平成28年度 20( 5.4) 3( 5.9)
平成27年度 20( 5.5) 4( 7.7)
累計 129( 7.2) 11( 4.4)
小売業 平成28年度 39(10.6) 5( 9.8)
平成27年度 38(10.5) 8(15.4)
累計 215(12.0) 30(12.0)
不動産業 平成28年度 19( 5.2) 1( 2.0)
平成27年度 24( 6.6) 1( 1.9)
累計 69( 3.9) 5( 2.0)
技術サービス業 平成28年度 15( 4.1) 1( 2.0)
平成27年度 20( 5.5) 1( 1.9)
累計 99( 5.5) 6( 2.4)
学校教育
・教育支援業
平成28年度 20( 5.4) 0( 0.0)
平成27年度 9( 2.5) 1( 1.9)
累計 40( 2.2) 4( 1.6)
その他 平成28年度 80(21.7) 11(21.6)
平成27年度 68(18.8) 3( 5.8)
累計 307(17.2) 29(11.6)
全業種 平成28年度 368( 100) 51( 100)
平成27年度 362( 100) 52( 100)
累計 1,789( 100) 251( 100)

(注1) 複数の業種にわたる事業者が勧告又は指導の対象となった場合は,当該事業者の主たる業種により分類している。「その他」は医療福祉,事業サービス業,自動車整備業・機械等修理業,旅行業等である。
(注2) ( )内の数値は,小数点以下第2位を四捨五入しているため,合計は必ずしも100とならない。
(注3) 累計の数値は,平成25年10月から平成29年3月までの累計。

3 措置件数の行為類型別内訳

 平成28年度の措置件数について行為類型別で分類すると,管内においては,買いたたき(消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号後段)が50件(94.3%)と最も多い。

表3:措置件数の内訳(行為類型別)[単位:件,(%)]
行為類型 全国 中部地区
減額 平成28年度 19( 4.9) 2( 3.8)
平成27年度 18( 4.9) 4( 7.5)
累計 73( 4.0) 9( 3.5)
買いたたき 平成28年度 362(94.3) 50(94.3)
平成27年度 344(92.7) 48(90.6)
累計 1,473(79.9) 222(86.4)
役務利用・利益提供の要請 平成28年度 0( 0.0) 0( 0.0)
平成27年度 3( 0.8) 1( 1.9)
累計 49( 2.7) 5( 1.9)
本体価格での交渉の拒否 平成28年度 3( 0.8) 1( 1.9)
平成27年度 6( 1.6) 0( 0.0)
累計 248(13.5) 21( 8.2)
合計 平成28年度 384(100) 53(100)
平成27年度 371(100) 53(100)
累計 1,843(100) 257(100)

(注1) 事業者の中には,複数の行為を行っている場合があり,「合計」の件数は,表1及び表2に記載の件数とは必ずしも一致しない。
(注2) ( )の数値は,小数点以下第2位を四捨五入しているため,合計は必ずしも100とならない。
(注3) 累計の数値は,平成25年10月から平成29年3月までの累計。

4 特定供給事業者が被った不利益の原状回復の状況

 管内では,平成28年度において,転嫁拒否行為によって特定供給事業者が被った不利益について,特定事業者48名から,特定供給事業者1,478名に対し,総額1億1267万円の原状回復が行われた。

表4:特定供給事業者が被った不利益額の原状回復の状況
年 度 平成28年度 平成27年度 累計
全国 中部地区 全国 中部地区 全国 中部地区
原状回復を行った特定事業者数 293名 48名 333名 40名 854名 114名
原状回復を受けた特定供給事業者数 36,137名 1,478名 25,059名 472名 94,290名 2,249名
原状回復額 9億2957万円 1億1267万円 6億7444万円 5064万円 20億1555万円 1億7222万円

(注1) 各期間の原状回復額は1万円未満を切り捨てている。
(注2) 累計の数値は,平成26年4月から平成29年3月までの累計。

5 転嫁拒否行為等に関する相談件数

 中部事務所においても,転嫁拒否行為等に関する事業者からの相談や情報提供を一元的に受け付けるための相談窓口を設置しており,当該相談窓口において,平成28年度は19件の相談に対応した。

表5:転嫁拒否行為等に関する相談件数[単位:件]
  平成28年度 平成27年度 平成26年度 平成25年度 累計
全国 444 548 1,420 3,179 5,591
中部地区 19 27 78 87 211

(注) 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出に関する相談を含む。

6 事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査

 様々な業界における転嫁拒否行為に関する情報や取引実態を把握するため,管内においては,平成28年度は91名の事業者及び245の事業者団体に対してヒアリング調査を実施した。

表6:事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査の実施件数[単位:件]
  事業者 事業者団体
全国 中部地区 全国 中部地区
平成28年度 2,385 91 581 245
平成27年度 4,344 111 682 347
平成26年度 8,744 126 1,263 246
平成25年度 1,326 142 401 4
累計 16,799 470 2,927 842

7 移動相談会

 事業者にとって,より一層相談しやすい環境を整備するため,管内においては,平成28年度は移動相談会を3回実施した。

表7:移動相談会の実施回数[単位:回]
  平成28年度 平成27年度 平成26年度 平成25年度 累計
全国 36 52 47 75 210
中部地区 3 6 3 3 15

第2 転嫁拒否行為の未然防止のための取組

1 公正取引委員会主催説明会

 消費税転嫁対策特別措置法の内容を広く周知するため,事業者及び事業者団体を対象として,公正取引委員会主催の説明会を管内において実施した(平成28年度は3回)。

表8:公正取引委員会主催説明会の実施回数[単位:回]
  平成28年度 平成27年度 平成26年度 平成25年度 累計
全国 36 51 30 40 157
中部地区 3 6 2 4 15

2 講師派遣

 管内においては,商工会及び商工会議所が開催する説明会等に,平成28年度は公正取引委員会事務総局の職員を講師として53回派遣した。

表9:講師の派遣回数[単位:回]
  平成28年度 平成27年度 平成26年度 平成25年度 累計
全国 73 27 59 384 543
中部地区 53 3 5 52 113

第3 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出

 消費税の転嫁の方法の決定に係る共同行為(転嫁カルテル)及び消費税についての表示の方法の決定に係る共同行為(表示カルテル)の届出について,平成29年3月末までに,管内において,転嫁カルテル34件,表示カルテル9件の合計43件を受理している。
 また,届出書の記載方法等に関して,平成29年3月末までに,管内において20件の相談に対応した。

別紙1

勧告事件(2件)(平成28年4月~平成29年3月)

1 株式会社松下サービスセンターに対する件(平成28年8月31日)

特定事業者

株式会社松下サービスセンター

事業内容

建築リフォーム工事業

取引の内容

[1] サイディング工事の請け負わせ
[2] 駐車場等の賃借

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
ア サイディング工事を請け負わせている個人事業者又は法人事業者に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに工事代金を据え置いて支払った。
イ 駐車場等の賃貸人等の一部に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに賃料等を据え置いて支払った。

原状回復額

特定供給事業者118名に対し,総額5272万3130円
【勧告前に返還済み】

2 株式会社APサービスセンターに対する件(平成28年8月31日)

特定事業者

株式会社APサービスセンター

事業内容

建築リフォーム工事業

取引の内容

[1] サイディング工事の請け負わせ
[2] 駐車場の賃借

違反行為の概要

【買いたたき(第3条第1号後段)】
ア サイディング工事を請け負わせている個人事業者又は法人事業者に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに工事代金を据え置いて支払った。
イ 駐車場の賃貸人等の一部に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずに賃料等を据え置いて支払った。

原状回復額

特定供給事業者66名に対し,総額1571万6646円
【勧告前に返還済み】

事件の詳細については,下記のリンク先を参照。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h28/aug/160831_3.html

別紙2

主な指導事例(平成28年4月~平成29年3月)

1 減額(第3条第1号前段)
[1]  児童福祉事業を行うA法人は,法律に関する指導業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,あらかじめ定めていた平成26年4月1日以後に支払う消費税込みの委託代金から,消費税率の引上げ分相当額を減じて支払っていた。

[2]  スポーツ興行業を行うB社は,弁当の供給を受けている事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後に供給を受けたものについて,本体価格(税抜き)に消費税相当額(8パーセント)を上乗せした価格を代金として支払うことをあらかじめ取り決めていたところ,代金を支払う際に消費税率相当額を減じて支払っていた。

2 買いたたき(第3条第1号後段)
[1]  繊維製品製造業を行うC社は,自社が販売しているタオルのデザイン業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

[2]  出版業を行うD社は,学習教材に掲載する原稿の執筆業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

[3]  土木工事業を行うE社は,測量業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。 

[4]  テレビ番組制作業を行うF社は,テレビ番組又はラジオ番組の制作業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの制作代金を据え置いていた。

[5]  宿泊業を行うG社は,自動販売機の設置管理業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

[6]  自動車部品製造業を行うH社は,自動車部品の製造を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

[7]  大規模小売業者であり,百貨店,総合スーパーを営むI社は,従業員用食堂の運営業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

[8]  ガス業を行うJ社は,自社のガス設備の点検業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

[9]  自動車部品製造業を行うK社は,社員寮の清掃管理業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。

[10]  飲食店を営むL社は,自社が運営する店舗及び店舗駐車場の賃貸人のうち,消費税を含む額で賃料を契約している賃貸人(特定供給事業者)に対し,賃貸人から消費税率引上げ分を上乗せするよう要請がなかったことを理由として,平成26年4月1日以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの賃料を据え置いていた。

3 本体価格での交渉の拒否(第3条第3号)
 建設工事業を行うM社は,型枠工事を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,消費税込みで工事代金を定めていたところ,平成26年4月1日以後の価格交渉の際,事業者からの本体価格(税抜価格)での交渉の申出を拒否した。

関連ファイル

問い合わせ先

問い合わせ先 公正取引委員会事務総局中部事務所
消費税転嫁対策調査室 電話052-961-9493(直通)(第1関係)
経済取引指導官    電話052-961-9422(直通)(第2及び第3関係)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/regional_office/chubu/

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