このページの先頭ですサイトメニューここから
このページの本文へ移動
公正取引委員会
  • サイトマップ
  • 音声読み上げ・文字拡大
  • ENGLISH
  • 公正取引委員会について
  • 報道発表・広報活動
  • 相談・手続窓口
  • 独占禁止法
  • 下請法
  • CPRC(競争政策研究センター)
サイトメニューここまで

本文ここから

平成21年4月22日付 事務総長定例会見記録

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成21年4月22日(水曜)13時30分~於 官房第1会議室)

 [発言事項]

郵便番号自動読取区分機類の入札談合事件の東京高裁判決について

 (事務総長)本日は,審決取消訴訟に関する判決について,お話ししたいと思います。
昨年12月10日の定例会見でも,独占禁止法違反事件の処理状況の紹介に合わせて,審決取消訴訟に関する重要な高裁判決や最高裁判決がいくつか出されていることをお話しし,元詰種子の種苗カルテルの高裁判決と最高裁判決を紹介したところです。その後も,いくつか重要な判決等が出されておりますが,本日は,昨年12月19日に出された旧郵政省発注の郵便番号自動読取区分機類の入札談合事件に係る高裁判決について,紹介したいと思います。
 本件の経緯は,当委員会が,平成10年に,旧郵政省発注の郵便番号自動読取区分機類の談合について,株式会社東芝及び日本電気株式会社に対して勧告を行ったところ,この勧告に対して不応諾ということで12月4日審判開始決定が行われ,数年の審判を経て,平成15年6月に審判審決が出されております。この審決に不服があるということで,審決取消訴訟が提起され,平成16年4月に,東京高裁で判決が出されております。この高裁判決では,平成17年の独占禁止法改正前の同法第54条第2項の規定にいう「特に必要があると認めるとき」との違反行為が既になくなっているのに,排除措置を命ずることができるための事情を本件審決に認めることができないにもかかわらず,あえて措置(審決)を命じたということが,同法第54条第2項の規定に違反するものとして,審決を取り消す判決が行われました。
 これに対して,平成16年5月7日に,当委員会は上告受理の申立てを行い,これについて,平成19年4月19日に最高裁判決が出されました。ここでは,「『特に必要があると認めるとき』の要件に該当するか否かの判断については,我が国における独禁法の運用機関として競争政策について専門的な知見を有する公正取引委員会の専門的な裁量が認められるものというべきである」ということで,東京高裁判決を破棄し,「審決の基礎となった事実を立証する実質的な証拠の有無の点について更に審理を尽くさせるため」,東京高裁に差し戻しました。
 これを踏まえて,昨年暮れの12月19日に,東京高裁判決が出され,郵便区分機類の談合事案に関する実質的判断が出されております。
 ここでは,大きな論点が3点あると思います。
 1点目は,旧郵政省から内示を受けていた物件については,東芝や日本電気が入札に参加して落札するということだったわけですが,内示を受けていなかった物件については,そもそも入札に参加して落札することができない状態であり,初めから競争が無かった,競争不能な状態ということで,競争の実質的制限になるという判断にはならないのではないかという議論がありました。
 2点目が,東芝と日本電気という2社間による不当な取引制限(独占禁止法第3条違反)ということで,要件である意思の連絡があったのかどうかという実質的なポイントについての判断があります。
 それから,原告ら2社の主張としては,旧郵政省が国家プロジェクトとして行っているものに対する協力であるため,「公共の利益に反して」おらず,不当な取引制限は成立しないというものです。
 これらの論点についての結論的なことを簡単に紹介したいと思います。
 1点目の競争不能な状況にあったかどうかということについては,例えば,入札条件として設定された期間内に当該区分機類を製造できるかどうかということが一つの大きなポイントでした。また,既設の他の会社の押印機や台付押印機と呼ばれるようなものと,自社製の区分機類の接続が必要になってくるわけですが,その接続の情報が開示されているのかどうか,あるいは予備部品を添付する必要があるのかどうか,といった問題があったわけで,こういった接続に関する情報が開示されていないので,事実上,入札に参加できない,競争不能な状態であったという主張でしたが,高裁判決では,2社がその気になれば,入札日から納入期限までの期間で,十分,入札に参加することは可能であったと,要するに,通常の事業活動の範囲内において事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく区分機類を納入することが可能であったと,法律用語でいうと,顕在化はしていなかったものの潜在的な競争関係にあったと,判断しております。
 情報開示の問題についても,旧郵政省に情報開示を求めれば,当然,開示はされたはずで,接続の問題や予備部品の添付の問題等もクリアできるはずであり,原告ら2社間で競争することができる可能性はあったと判断しております。
 2点目の意思の連絡,共同行為があったのかどうかということについては,旧郵政省の情報の提示のあった者のみが入札に参加して,提示の無かった者は参加していないということがあったわけですが,この点について黙示的な意思の連絡があったということは優に認められると判示されております。ここでは,情報の提示を受けなかったという事実のみによって,原告が当該物件の入札に参加しなかったという事実を説明できるのかという点について,検討しております。
 具体的には,すべての入札物件について競札が生じていないということ,情報の提示を受けた者のみが提示を受けた物件の入札にのみ参加して,提示を受けなかった者は情報の提示を受けなかった物件については参加していないという不自然に一致した行動をとっているといったこと等から,「原告ら2社間の暗黙の意思の連絡があったと認めるのが相当であって,このような意思の連絡なくして原告ら2社がたまたま結果的に同じ行動をとったものとは認め難い」という判断で,黙示的な意思の連絡を推認しております。
 価格カルテル事件で,同じような黙示的な意思の連絡を認定した先例となる重要な判決として,東芝ケミカルの東京高裁判決が平成7年に出されておりますところ,その判断基準を用いることは誤りであるということを原告らは主張していたわけですが,東京高裁では,一般基準としてこの東芝ケミカルの東京高裁判決の判断基準を本件に適用することは,何ら差しつかえはないと言及しております。
 3点目の公共の利益に反しているのかどうか,国家プロジェクトに協力したに過ぎないという点についても,審決案が認定した事実によれば,原告ら2社は,旧郵政省の区分機類の発注のおおむね半分ずつを安定的,継続的かつ確実に受注する目的を持って違反行為を行っていたものと認められるということで,原告ら2社の違反行為が「公共の利益に反して」いることは明らかであるとされており,実際にも,平成7年,8年,9年度における落札率は99パーセント以上の高い落札率であったものが,当委員会の立入検査後は,落札率が大幅に低下しているという事実からも,原告らの主張は排除され,こうした判決が出されたということです。
 一方で,違反行為の発生について,入札執行者である旧郵政省に責任がないのかという点については,旧郵政省に全く責任がないということを意味するものではないが,そのことで原告ら2社の責任が免除されるというわけでもないということが,判決で言及されております。
 原告ら2社は,最高裁に対し上告及び上告受理申立てを行っており,現在,最高裁に係属中です。
 私どもとしては,こうした判決も踏まえ,今後とも独占禁止法等の厳正・適正な運用に努めるということに尽きるわけですが,この事件の特徴は,やはり,発注者サイド,この事案であれば旧郵政省ですが,そういうものが関与するような談合事案については,いろいろと違反行為者サイドの御主張があるわけですが,このような事案に関する独占禁止法上の判断が,かなり明確に示されたと思いますし,また,「意思の連絡」についても,東芝ケミカルの価格カルテル事件における判決の考え方,基本的発想が入札談合事件についても,このように考えていけばよいということで,黙示の意思の連絡について一つの展開を示した事例として,重要な判決であると考えております。

 [質疑応答]

 (問)違反行為が既に終了している場合においても,「特に必要があると認めるとき」には,排除措置を命じていると思います。この「特に必要があると認めるとき」という基準は,分かりにくいと思いますが,このあたりを分かりやすく示す必要性については,どのように考えているのでしょうか。

 (事務総長)この郵便区分機類の審決を取り消した東京高裁判決が出されて以降,当委員会としても,審判審決なりで特に必要があると認めるときの必要性については,それ以前に比べると,より明確に記載するようになってきており,再発防止のためとか,競争制限効果を排除するため等,必要な範囲において,措置を命じる必要があれば措置を命じることになると思います。そういう面では,どの程度のものにどの程度の措置が必要なのかということも含めて,それ自体が争点になることもあるかと思いますが,御主張があれば御主張について審判の場で争うこともあると思います。
 当委員会としても,平成16年の東京高裁の判決が最高裁で否定されて,当委員会に専門機関としての裁量を認めた最高裁の判決が出されたわけですが,御指摘のように,特に必要な措置に関して,当委員会の裁量が広範に認められているので,あえてその内容を示さないということではなく,明らかにできる範囲で,明確化していくことは必要であると考えております。

 (問)消費者庁の法案が今日から参議院で審議されておりますところ,いろいろと紆余曲折・修正を経て,衆議院で全会一致で可決されたわけですが,この点については,どのように受け止めているのでしょうか。

 (事務総長)消費者庁関連法案に関しては,当委員会が現在所管している景品表示法を移管することになるわけですが,景品表示法自体の実質的内容がこれによって変わるというものではありません。消費者庁へは,景品表示法を所管する担当者として,当委員会から定員でいうと44名ほどの職員が行って,実際の法執行の中核を担うことになると思いますので,現在,私どもが行っている景品表示法の執行内容が消費者庁で充実・強化されることになると思いますし,我々もそれに向けて最大限の協力をしていきたいと考えております。

 以上

本文ここまで


以下フッターです。

公正取引委員会 Japan Fair Trade Commission

〒100-8987 東京都千代田区霞が関1-1-1 電話 03-3581-5471(代表)
  • ご利用案内
  • 関連リンク
  • 所在地
Copyright © 2013 Japan Fair Trade Commission. All Rights Reserved.
フッターここまでこのページのトップに戻る