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平成21年7月1日付 事務総長定例会見記録

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成21年7月1日(水曜)13時30分~於 官房第1会議室)

 [発言事項]

東日本電信電話株式会社に係る審決取消訴訟判決について

 (事務総長)本日,私からは,最近出されました審決取消訴訟の判決について,御紹介したいと思います。
 去る5月29日に,東日本電信電話株式会社に対して東京高等裁判所において原告の請求を棄却する判決が出されましたので,本日はその概要を御紹介したいと思います。
 本件は,東日本電信電話株式会社が提供していた光ファイバ設備を用いた通信サービスに係る排除型の私的独占事件であります。公正取引委員会が審査を進めまして,平成15年12月4日に勧告を行いまして,その後,審判請求が出されて平成19年3月26日に東日本電信電話株式会社が行った行為が戸建て住宅向けFTTHサービスを提供しようとする事業者の事業活動を排除するということで,3条前段の私的独占に該当するとして違法宣言の審決,これは,違反行為自体は,平成16年段階で,すでに終わっていたことから,格別の措置は命じず,違反行為があったという違法宣言審決を行ったものであります。これに対し,審決取消訴訟が提起され,東京高裁において5月29日に判決があったものです。
 この訴訟における大きな論点としては,事実認定において実質的証拠はあるかどうかいうことと,それから,この事案は,私的独占の行為類型になりますが,他の事業者の事業活動を排除するということに該当するのかどうかということが,大きな論点,争点であったわけであります。それから,市場影響要件というか,一定の取引分野の設定,あるいは競争の実質的制限に該当するかどうか,あるいは公共の利益に反してといった要件に該当するのか,そういったことが争われた論点であります。それについて,結論的な部分を御紹介していきたいと思います。
 判決では,実質的証拠の有無につきましては,審判の記録を詳細に検討されまして,一つ一つについて判断をして本件審決の事実認定については事実を立証する実質的な証拠がないとは認められないという判示をしております。
 一部分,引用しますと,例えば,審決においては,原告にとって不利な事実のみを恣意的に切り取って,あたかも原告の接続約款ないし接続料に問題があるかのように論じるという悪意に満ちた不公正な認定を行っていると主張されていたわけでありますが,これに関しましても,高裁判決では,本件審決は,総務省が行った接続約款変更認可申請等々いずれも認定しているものであり,その他に認められる諸事情を考慮して,原告のニューファミリータイプの導入及びその値下げが他の電気通信事業者の事業活動を排除する行為であると認定判断しているものであるから,原告にとって不利な事実のみを認定して本件行為の評価に関し不公正な認定判断に至っているということはできない。したがって,原告の上記主張は採用することはできないということ等々から,本件審決の事実認定について,事実を立証する実質的な証拠がないとする原告の主張(経験則に違反する認定があるとする主張を含む。)は,いずれも採用することができないと,本件審決の事実認定については,事実を立証する実質的な証拠がないとは認められないという判示をしております。
 それから,大きな論点として事業活動の排除,正常な事業活動かどうかということが争点となったわけですが,これに関しても判断をしておりまして,具体的には,新規事業者が原告に支払わなければない接続料金について,個別に事実を認定した上で,新規事業者は,FTTHサービスのユーザーを獲得するためには,接続料金を支払いながら,原告が設定したユーザー料金に対抗するユーザー料金を設定しなければならず,芯線直結方式による接続によって事業を展開するには,接続料金とユーザー料金とに逆ざやが生じて,大幅な赤字を負担せざるを得なくなるのであって,結局のところ,新規事業者が原告に対抗して経済的合理的のある事業の継続を見込むことはできない状況が生じていたと認められる。したがって,原告の本件行為により,新規事業者は,芯線直結方式で原告の加入者光ファイバ設備に接続してFTTHサービス事業に参入することは,事実上著しく困難になったものと認めるのが相当であるという判断をしております。
 この点については,価格を引き下げた行為であるということであって,物価抑制なり,効率性の向上に寄与し,競争的にも望ましい企業行動であって,正当な競争行動であるという主張も原告はしていたわけでありますが,これに関しましても,分岐方式によるFTTHサービスの提供について具体的な見通しや計画がないにもかかわらず,総務大臣に対しては,分岐方式によりサービスを行うとして,一定の需要が見込まれる,1ユーザー当たりの料金が接続料金を下回ることがないとの説明を行って,接続料金の認可を受け,ユーザー料金の届出をして,そのサービスを分岐方式で提供するような形式を装い,実際には上記説明とは違い,芯線直結方式により1ユーザー当たりの料金が接続料金を下回る形でサービスの提供を行い,他事業者のFTTHサービス事業への参入を著しく困難にしておいて,自らはユーザーを獲得するという行為に出たものである。このような行為は,正当な競争行動だとする主張に対しては,東京高裁の判決では,戸建てFTTHサービスの市場においては許されない反競争的な行為といわざるを得ないということで,他の事業者の事業活動を排除するとの要件に関する本件審決の独占禁止法の解釈適用に誤りはないというべきであるということを言っております。
 一定の取引分野,これは市場の取り方の問題なのですが,これにつきましても原告が,一定の取引分野については,戸建てFTTHサービス市場ではなくて,ADSLサービスやCATVインターネットサービス等を含むブロードバンドサービス市場全体でとらえるべきであると主張していたわけでありますが,より広い市場において競争が行われていると認められる場合においても,同時に,その市場内において細分化された市場を一定の取引分野として確定することは可能であると解されるということで,ブロードバンドサービスの中のFTTHサービス,ADSL,CATVインターネットは,それぞれのサービスの内容及び料金等に応じて需要者層を異にし,また,通信設備の違い等により各サービスを提供する事業者もそれぞれのサービスごとに異なるものであるといえるから,ブロードバンドサービス市場の中でも,ブロードバンドサービス事業のひとつであるFTTHサービス事業の分野について独立の市場を観念することができるものというべきであるという判示しております。
 競争の実質的制限についても,例えば,東京電力とか有線ブロードといった事業者との間の競争が存在することは否定できないという状況にあるわけですが,その競争状態については,原告のシェア等,原告が極めて優位な立場にあったと認められるから,原告が新規参入を妨げて,原告と東京電力,有線ブロードの3社のみによる競争という状態を維持することは,市場支配的状態を維持,強化することにほかならないということを言っております。
 ソフトバンクやKDDIの新規参入も現実に発生しているから,市場支配的な状態にはなかったという主張もあったわけですが,この点についても,判決では,本件審決が認定するとおり,原告の本件行為は平成16年3月31日をもって終了している。ソフトバンクがサービスを開始したのは平成16年10月であるし,KDDIは平成17年1月であるから,原告の主張は,その前提を欠くということであって,一定の取引分野における競争を実質的に制限するとの要件に関する本件審決の独占禁止法の解釈適用に誤りはないということを言っております。
 公共の利益に反してとの要件に関しても,価格を引き下げたということで,消費者利益の観点からもそれを尊重すべきである,あるいは正当化事由がある,または違法性阻却事由が認められるべきであると主張もあったわけですが,この点につきましても,仮にユーザー料金を低下させたことが認められたとしても,そのことが戸建て住宅向けFTTHサービス事業の市場への他事業者の新規参入を困難にしたのであって,このような市場が新規参入者に対し閉ざされている状況は公共の利益に反するものというべきであるという言い方をしております。
 また,価格の引き下げが行われること自体は,一般消費者の利益に合致することであるけれども,将来的にみれば,そのことは,既存事業者のみによる市場の支配の維持につながり,本来,新規参入を阻止する行為がなければ新規参入者との間で更なる価格競争やサービス競争が行われ,これによって消費者の利益が増大する可能性を失わせ,ひいては自由競争経済秩序によって確保されるべき一般消費者の利益が損なわれることにつながるものといわざるを得ない,ということで,本件において値下げが行われたことのみをもって,本件行為が一般消費者の利益を確保するとともに,国民経済の民主的で健全な発達を促進するという独占禁止法の究極の目的に実質的に反するものではないと認められる例外的な場合に該当し,公共の利益に反しない又は違法性が阻却されるということはできないという判断をしております。
 主要な争点,論点についての結論は以上のとおりであります。御案内のとおり,本年6月3日に可決,成立した独占禁止法の改正法によりまして,本件のような,いわゆる排除型私的独占という行為に関しましては,課徴金の対象になったわけであります。これを踏まえまして排除型私的独占のガイドラインの原案を,去る6月19日にパブリックコメント手続に付しているところであります。各方面からの御意見を募集しているところでありまして,ガイドラインの原案におきまして一定の取引分野における競争の実質的制限の意義等々についてもこの判例を引用させていただいております。
 このようにいろいろな争点,論点について,非常に重要な判示が多数示されているということでありまして,今回,排除型私的独占のガイドラインについてのパブリックコメント手続にも非常に参考となる事例であると思いましたので,若干長くなりなしたが,御紹介させていただきました。
 公正取引委員会としましては,今後ともこの判決を踏まえて,独占禁止法等の厳正,適正な運用に努めてまいりたいと考えております。

 [質疑応答]

 (問)毎回聞いて恐縮ですが,その後,BHPビリトンとリオ・ティントに関して,オーストラリアだったと思うんですけれども,調査を開始したということですが,その後,新しい動きはあったのでしょか。

 (事務総長)現時点において,先週,先々週申し上げたように情報収集に努めるという姿勢は変わっておりません。私どもとしてもいろいろな情報ツールを活用して情報収集を進めているという状況ではありますが,ただ,具体的にどのようなアクションを取ったか,あるいは具体的にこのような活動を始めたというようなことを申し上げる段階ではないと思っております。

 (問)今の質問に関連してですが,事業統合について,先日中国側が統合の是非を審査するというようなことを言われていましたが,公正取引委員会としては,既に中国側と意見交換をしているのか,それとも今後されるのか,また,連携等される意向があるのでしょうか。

 (事務総長)現時点において具体的に何か情報交換活動や意見交換を行っているという状況にはありませんが,前回の調査活動の段階において,各国の競争当局といろいろと意見交換はしておりましたので,今後の問題として,そういうことも必要に応じて行っていくということになろうと思います。しかし,まだ具体的に当事者から計画が出されるという状況にも至っていないと思いますので,我々としても,関心を持って見守っているという状況であります。

 以上

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