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平成24年2月29日付 事務総長定例会見記録

平成24年2月29日付 事務総長定例会見記録

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成24年2月29日(水曜)13時30分~ 於 官房第1会議室)

OECDの競争委員会の2月会合と競争に関するグローバルフォーラムについて

 (事務総長)
 本日,私からは,2月13日から17日までパリのOECDにおきまして,競争委員会の2月会合と競争に関するグローバルフォーラムが開催されまして,公正取引委員会からは浜田委員らが出席いたしましたので,このことについてお話ししたいと思います
 OECDの競争委員会は,OECDの加盟国の競争当局を中心に,競争法や競争政策に関する各国共通の課題について議論するものであり,昨年10月からは浜田委員が副議長を務めております。
 OECDの競争委員会では,本会合と2つの作業部会が毎年2月,6月,10月の3回,開催されているほか,年1回程度,OECD加盟国以外の国・地域からの参加も得て,競争に関するグローバルフォーラムが開催されております。
 今回の会合では,本会合におきまして,「デジタルエコノミーにおける競争」というテーマが取り上げられまして,ソフトウエアの互換性と競争の関係や,デジタルエコノミーにおける競争に関して,いわゆるネットワーク効果が有する重要性といった点についての議論が行われ,我が国からは,当委員会の浜田委員がスピーカーとしてプレゼンテーションを行い,議論に貢献いたしました。
 次に,競争に関するグローバルフォーラムには,全体で90の国・地域が参加して議論が行われました。
 議論のテーマとしては,例えば,「一次産品と価格高騰」をテーマに,農産物や鉱産物といった一次産品の価格高騰への対応における競争当局の役割は何かといったことについて議論が行われました。
 また,「カルテル審査における国際協力の向上」についての議論も行われました。我が国からは国際担当審議官がパネリストとしてプレゼンテーションを行い,カルテル審査における国際協力の重要性の高まりを強調しながら,国際協力の向上のための取り組むべき課題について説明いたしました。
 このグローバルフォーラムは2001年に始まったもので,OECDに加盟していない国・地域に対する競争法や競争政策に関する支援と普及活動を行うという側面が強いものであります。今回,今後ますます重要になると思われる国際協力に関する課題をOECD非加盟国・地域を含む90の国・地域が参加したところでの議論が行われたということは大変良かったのではないかと思っております。
 公正取引委員会といたしましては,このようなOECD等の活動に今後とも積極的に参加し,貢献していきたいと考えております。
 私からは以上です。

 [質疑応答]

 (問) フォーラムの中で,農産品や鉱産物ですか,一次製品における競争当局の役割として,具体的にどのようなことをフォーラムの中で検討したのでしょうか。

 (事務総長) 例えば,鉱産物ですと,どこでも作れるという物ではありませんので,最近ですと,一昨年ですか,BHPビリトンとリオ・ティントという鉄鉱石の西オーストラリアのジョイントベンチャーについて,これは日本だけではなく,オーストラリアやEU,ドイツ,韓国といった国が同時に調査した案件ですが,例えば,企業結合が行われた場合に,どのような考え方で検討したらいいかということを議論したと聞いております。
 また,競争を制限する行為があれば,カルテル等の禁止の規定はあるわけですから,特にシェアが高いような分野については,カルテルが行われることはないかということをきちんと目を光らせていく必要があるという議論も行われたと聞いております。

 (問) 審議官が出席したフォーラムの件で,カルテル審査で国際協力の課題がいくつか挙げられたということでしたが,具体的にどのような課題が挙がったのでしょうか。

 (事務総長) このグローバルフォーラムでの議論は,カルテル審査における国際協力ということがテーマになりました。国際協力ということですから,国際カルテルのようなものを念頭に置いて議論が行われたわけですが,1つは,国際カルテルですと関係する国や当局が複数ありますから,審査の着手に当たって同時に審査を,例えば同時に立入検査を行うといったことについて,それをどうすればうまく進めることができるだろうかといったことです。また,現在,カルテルについては,世界的に,日本も含めまして,いわゆるリニエンシー制度ということで,日本では課徴金減免制度というものが導入されております。このリニエンシーを申請した会社が各国の当局に対して提出した資料があるわけですが,リニエンシー申請により,各国の当局が得た情報や資料を当局間で共有することができるかといった議論が行われたと聞いております。一般的には,各国とも事業者の秘密の問題がありますので,調査に当たって入手した情報をお互いに共有することは法律的には難しい問題がありますので,その中でどのような協力を進めていくかといったことが議論されたと聞いております。

 (問) 現実問題として,着手後の国際協力というのは可能なのでしょうか。

 (事務総長) 一般的には事業者の秘密は各国とも対外的に,特別な枠組みがある場合を除けば難しいため,そういったことができないようになっておりますが,例えばリニエンシーを申請した企業がウェーバーということで,自分が提出した資料については,各国の当局間で情報を交換してもらってもよいということがあれば,事件審査が始まった後においても当局間の協力というのは,今以上に行いやすくなるという側面はあるので,どうすればそのような協力ができるだろうかといった,いろいろなケースを考えて議論が必要です。

 (問) 具体的にこのようなケースとかというのはあったのでしょうか。

 (事務総長) これはグローバルフォーラムでの議論ですので,具体的なケースというところまでは聞いておりませんが,この記者会見の場でも3週間前に報告いたしました,カナダのバンクーバーで行われましたIBAとABA共催のカルテル会議などでは,具体的なケースを想定して,ロールプレイングゲームで各国の当局の人達や弁護士の人達がいろいろな情報交換を行ったということを御紹介いたしましたが,国際カルテルの国際協力というものは,いろいろな形で議論等を行っています。

 以上

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