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平成24年3月21日付 事務総長定例会見記録

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成24年3月21日(水曜)13時30分~ 於 官房第1会議室)

電子書籍を巡る最近の動向について

 (事務総長)
 本日,私からは,電子書籍を巡る最近の動向についてお話ししたいと思います。
 お手元の厚いほうの資料は,先週,3月13日に開催されました独占禁止懇話会の資料です。
 この独占禁止懇話会といいますのは,公正取引委員会と各界の有識者との間での意見交換の場ということで設置されている会合でして,会員には学識経験者や産業界,法曹界,消費者団体,中小企業団体といった各分野の有識者24名で構成されておりまして,会長には,現在,東京大学の伊藤元重教授に務めていただいています。
 本日は,独占禁止懇話会で報告いたしました資料を要約した1枚紙をお手元に配付しておりますので,こちらに基づいてお話ししたいと思います。
 まず,我が国における電子書籍の規模ですが,日本の電子書籍は,2005年頃からコミックなどを中心としました携帯電話向けの電子書籍市場が急成長して,2008年の段階では464億円ということで,アメリカよりも大きな市場規模となっていました。
 しかし,その後,日本では専用端末やタブレットPCを用いた電子書籍市場がなかなか立ち上がらず,他方,米国では,アマゾンによるキンドルの発売を契機といたしまして,急速に市場が拡大して,2010年ないしは2011年には日米で電子書籍の市場規模が逆転したものと思われます。
 次に,電子書籍のフォーマットについてですが,複数の規格が併存しておりまして,また,日本と欧米とでは主流となっている規格が異なっているということが状況として申し上げられます。この点について,独占禁止懇話会では,日本だけが独自の規格を採用することによって孤立することのないよう,欧米の動きを注視していく必要があるといった指摘がありました。
 また,欧米の電子書籍市場における取引形態をみますと,電子書籍の流通には,卸売型と委託販売型の2つのモデルがあるわけですが,欧米では最初,アマゾンが卸売型を採用して,小売価格は配信ストアが設定していたところ,その後,アップルが市場に参入した際に,出版各社の間で自分たちが小売価格を決められる委託販売型に切り替えるといった動きが広がりました。
 この動きに関して,EUとアメリカの競争当局では,昨年,出版各社やアップルとの間で競争制限的な協定が行われている疑いで調査を行っているということが報じられております。
 こうしたことを踏まえまして,公正取引委員会としては,現在,日本の電子書籍市場は,いわば黎明期であるため,市場における公正な競争及びイコールフッティングの確保が重要であり,電子書籍市場をゆがめるような行為がないか注視していくことが必要であると考えております。
 こうしたことを独占禁止懇話会の場におきまして説明したところ,独占禁止懇話会の会員からは,例えば,新規参入が阻害されたり,消費者が不利益を受けたりすることのないように留意してほしいですとか,プラットフォーム事業者,これは配信ストアのことですが,契約条件を一方的に決めることができるような力を持ち得るという点に今後留意が必要といった指摘がありました。
 私からは以上です。

 [質疑応答]

 (問) 今,海外の競争当局の話を聞かせていただきましたが,日本の審査局では,今のところ,指導も含めて電子書籍に関しては全く何もないという考えでいいのでしょうか。また,審査局で専門チームのようなものを作って,電子書籍のようなIT関係のものを特にやっていくといった考えはあるのでしょうか。

 (事務総長) 日本の状況ということで,資料に3つほど問題意識や今後検討すべき点,留意していくべき点ということを掲げております。一つは,電子書籍の作成や流通に係る共同事業が行われることによって,私的独占や不当な取引制限につながるようなことはないか,また,フォーマットに関して,競合する規格の排除ですとか特定の規格の利用強制につながることはないか,また,流通について,値引きの制限といった不公正な取引方法が用いられるようなことはないか,また,例えば,大規模な電子書店の出版社に対する優越的地位の濫用行為が行われるようなことはないかということを,今後の問題意識としては掲げております。
 今,申し上げましたとおり,日本の電子書籍市場は,まだ黎明期ですので,そういった意味では今後の問題だと思いますが,今後,電子書籍の分野は,IT分野の中でも,一つの大きな分野に育っていくと思いますので,そこで公正な競争が行われていくように今後とも注視していきたいとは思っております。

 (問) 今の時点で,(電子書籍関係の)相談件数というのは,ここ数年で伸びているのでしょうか。具体的な案件などがあれば教えてください。

 (事務総長) 相談案件というのは特に把握していないですが,特にこのような分野についての相談が多いという状況にはまだないと思います。

 (問) 全くないということでしょうか。

 (事務総長) 相談案件が具体的に何件あるかは把握していないのですが,毎年,主要な相談案件というのは公表しておりますが,そのような一般に参考になるようなものとしては,まだないということだと思います。

 (問) 資料に書いてある「イコールフッティングの確保が重要」のイコールフッティングとはどういうことでしょうか。

 (事務総長) 例えば,今,申しましたようにいろいろな規格があるわけですが,特定の規格しか使えないといったことや,特定の規格の利用強制につながるようなことはないかというものが具体的な話としてはあると思います。イコールフッティングというのは,競争条件をそろえていこうということですので,同じような立場で出版社が参加できるようになっているか,また,配信ストアが参加できるようになっているかという観点から,新規参入が阻害されるような仕組みになっていないかといった観点からみることになると思います。

 以上

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