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平成24年5月30日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成24年5月30日(水曜)13時30分~於 官房第1会議室)

平成23年度における下請法等の運用状況及び企業間取引の公正化への取組について

 (事務総長)
 本日,私からは,平成23年度における下請法等の運用状況についてお話しさせていただきたいと思います。
 まず,下請法の平成23年度の勧告件数は,18件となっております。内訳は,製造委託が15件,役務委託が3件ということで,この18件という件数は,平成16年の改正下請法の施行以降,一番多い件数となっております。
 また,平成23年度の勧告事件の特徴を見ますと,卸売業者や小売業者によるプライベートブランド商品(PB商品)の製造委託に係るものが10件と多いということが言えると思います。
 一般的に卸売業者や小売業者がほかの会社にPB商品の製造を委託した時には,下請法の規制対象となるわけですが,近年,卸や小売業によるPB商品の取扱いが増えております。他方,こうしたPB商品の製造委託が下請法の適用を受けるということが,まだ十分に浸透していないことも,ここ数年の勧告件数の増加の背景になっているのではないかと考えておりまして,公正取引委員会としては,今後ともPB商品に関する事件の調査をする一方で,下請法の講習会などでPB商品の考え方について説明するなどして,違反行為の未然防止に向けた取組をしっかりとやっていきたいと考えているところです。
 次に,平成23年度の指導件数ですが,この指導件数も平成23年度は4326件となっておりまして,これも先ほどの勧告件数と同じように過去最多の件数となっております。
 このように勧告件数や指導件数が過去最多になった理由としては,平成20年に発生したリーマンショックの影響や,現在も続いております欧州の債務危機の影響などを背景にして急激な円高が進行したということが,その理由の一つとして考えられます。
 次に下請事業者が被った不利益の原状回復の状況ですが,この不利益の原状回復というものは,例えば,下請代金の減額事件でありましたら,その減額した分を返還してもらう。返品事件であれば,返品した商品を引き取ってもらう。また,不当な経済上の利益の提供,これは協賛金のようなものが多いわけですが,こういったものであれば,その提供してもらった分を返還してもらうことが原状回復の措置として採られています。勧告事件や指導を行った事件を通じまして,親事業者に対して,下請事業者が被った不利益を原状回復してもらっているものです。
 行為類型別の原状回復の状況を足し上げますと,トータル,全体で8,570名,金額にして32億2203万円になります。この約32億円という原状回復の金額についても,平成16年の改正下請法の施行以来,最高の額となっています。
 続きまして,下請法等違反行為の未然防止及び企業間取引の公正化への取組についてですが,下請法違反については,事件に対しては厳正に対処するという一方で,下請法違反行為の未然防止を図っていくということが大切であり,こういった観点からいろいろな取組を行っております。
 まず,講習会や説明会としては,平成23年度から基礎講習会,これは下請法の基礎的な説明を行うというもので,いわば入門的な講習会ですが,これを新たに全国の30会場で実施しております。
 また,毎年11月を下請取引適正化推進月間としておりまして,全国の会場で中小企業庁と一緒に実施している講習会があるほか,応用講習会ということで,ある程度の知識を持っている方に対して,事例研究を中心とした講習会を実施したり,また,業種別講習会ということで,業種別に業界の取引実態などを踏まえた上で説明を行う講習会も行っております。
 次に,独占禁止法についての講習会や説明会ですが,優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方,いわゆる優越ガイドラインを一昨年公表いたしまして,昨年度は,優越ガイドラインについての説明会を39回実施しています。
 次に,下請法の相談・指導にも対応しておりまして,毎年,年間約1万件近い下請法や優越的地位の濫用についての相談が寄せられております。また,これに加えまして,中小事業者のための移動相談会ということで,公正取引委員会がある東京や地方事務所が置かれている都市以外の都市の中小の事業者の方からの希望があった場合には,職員が出向いて相談を受ける,いわゆる移動相談会を行っておりまして,昨年度は33か所で実施しています。
 また,平成23年度は,東日本大震災の関係でいろいろな相談が寄せられており,155件の下請法や優越的地位の濫用の関係の相談が寄せられております。こうした相談を受けまして,個別にはいろいろお答えしておりますが,一般的に親事業者の方などにとって役に立つと考えられるものにつきましては,昨年の3月末以降ホームページに,震災に関することでこういった行為をすると下請法上問題になるということや,優越的地位の関係で問題になるといったことをQ&A形式で公表して違反行為の未然防止に努めてきたところです。
 また,公正取引委員会は,優越的地位の濫用について,いろいろな個別業種についての実態調査も行っておりまして,昨年度は,金融機関と企業との取引についての調査,フランチャイズチェーン本部と加盟店との取引,食料品製造業者と卸売業者との取引,荷主と物流事業者の取引といった各種の実態調査を実施し,調査結果を公表することによって,それぞれの業界における取引を見直していただき,また,自主的な改善の取組を促しているところであります。
 こうしたいろいろな違反事件を取り上げ,また,未然防止のために各種の講習会や調査をするといった活動を通じまして,今後とも下請取引の一層の適正化に努めてまいりたいと考えているところです。
 私からは以上です。

 [質疑応答]

 (問) リーマンショックと欧州危機で円高が進行すると,なぜ指導件数が増えるのですか。

 (事務総長) 親事業者が,経済環境が厳しいことを背景にしわ寄せを行いやすい環境になっているのではないかということが考えられると思います
 もう1つ,これは経済的な環境の理由ではありませんが,下請事業者というのは,親事業者の方との関係で下請事業者から公正取引委員会に自発的に情報提供が期待しにくいという実態にあるものですから,従来から親事業者と下請事業者に定期的に書面調査を実施して,違反行為発見のために公正取引委員会として積極的な情報収集に努めてきているわけですが,この書面調査の実施状況を見ていただきますと,平成23年度は,親事業者に3万8503名,下請事業者が約21万数千名に調査をして,情報を収集しているわけですが,例えば,5年前の書面調査の件数を見てみますと,親事業者には約2万9000件,下請事業者には約16万件ということで,当時に比べますと,書面調査の対象を親事業者,下請事業者とも増やしてきておりまして,より広く情報収集を行っているということも一つの背景にあるのではないかと思います。

 (問) 経済環境が厳しいことを背景にしわ寄せを行いやすい環境になっているのではないかと考えているとおっしゃいましたが,例えば,聞き取りや書面調査の中で,実際にそのようなことをかなりの数の人が言っているのでしょうか。また,統計を採ってないにしても,何かそのような話はかなり出ているのでしょうか。

 (事務総長) 公正取引委員会が親事業者や,下請事業者からの調査を行う際には,下請代金の減額,返品,支払遅延といったことが行われているかというような個別の行為の情報を聞くため,そういった行為の背景としてどのようなことがあって,こういった行為が行われているということを調査するというよりは,個別のどういった行為が行われているかということを調査して,問題がある行為が見つけられた場合には勧告や指導をすることによって是正を図ってもらうということなので,そういった意味では統計的にデータはないのですが,先ほど申し上げたように,リーマンショックや円高という経済環境的なものが背景としてあると考えられるということで申し上げたものです。

 (問) データは採っておらず,あくまでも推測ということですか。

 (事務総長) そうです。一般的な経済環境が背景にあると考えて申し上げたものです。

 (問) 特に違反が多かった業界や業種があれば教えてください。

 (事務総長) 業種別に見ると,一番多いのは生産用機械器具製造業ですが,かなりいろいろな業種に分かれているということになろうかと思います。ただ,勧告件数で申し上げると,昨年度の勧告件数は18件で,このうち卸・小売業者によるPB商品についての勧告が10件ということで,勧告件数で言えば,卸・小売業者によるPB商品の製造を下請事業者に委託した際の減額といったものが一番多いということになります。

 以上

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