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平成24年10月24日付 事務総長定例会見記録

平成24年10月24日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成24年10月24日(水曜)13時30分~ 於 官房第1会議室)

平成24年度上半期における下請法の運用状況等及び今後の取組

 (事務総長)
 本日,私からは,平成24年度上半期における下請法の運用状況と,来月の11月に実施いたします下請取引適正化推進月間の取組について,お話しさせていただきます。
 まず,平成24年度上半期における下請法の運用状況についてですけれども,下請法違反事件の処理状況が記載されておりますが,平成24年度の上半期におきましては,10件の勧告を行いました。また,指導としては,2932件の指導を行っておりまして,この指導件数は,昭和31年の下請法の施行以来,半期としては最も多い件数となるものであります。
 また,今申し上げた10件の勧告のうち,卸・小売業者のPB商品に係るものが8件と,平成23年度に引き続いて,PB商品に係る事件が多くを占めております。この点につきましては,今後とも違反事件の調査を実施するとともに,下請法講習会のほか,大規模小売業者向けの業種別講習会などにおきまして,下請法の適用を受ける取引について丁寧に説明するなど,PB商品というものが,下請法の適用対象となるということについて,しっかりと説明をして普及啓発を行っていきたいと考えております。
 下請事業者が被った不利益の原状回復の状況,例えば,親事業者が下請代金を減額した金額の返還や,下請代金の支払遅延であれば,支払い遅延の遅延利息の総額ということですが,これについては,全体で下請事業者5810名に対して総額46億4908万円分の原状回復が行われたところであります。
 昨年度,平成23年度1年間で見ますと,この原状回復の総額は32億2203万円となっておりますので,今年度上半期において既に前年度の金額を上回ったことになります。これは,先般,9月25日に勧告いたしました日本生活協同組合連合会に対する件の減額金額などが,全体で約39億円近い金額だったということが大きかったことによるものです。
 平成24年度上半期においても,公正取引委員会としては,下請法違反行為に対して厳正に対処してきたところですけれども,下請法の運用に当たりましては,こういった下請法の違反事件に対する対処とともに,違反行為の未然防止を図ることが大変重要であり,企業間取引の公正化へ向けた各種の施策を実施しております。
 下請法の基礎講習会ということで,親事業者を対象といたしまして下請法の基礎的な説明を行う講習会は,全国31会場で実施いたしました。また,業種別の講習会ということで,過去に下請法などの違反行為が見られた業種等を中心に,そういった業種における事業者の方々に,一層の法令遵守を促すことを目的といたしまして,業種別の講習会というものを,合計で,平成24年度上半期は10回実施しているところであります。
 また,公正取引委員会による中小事業者のための移動相談会ということで,下請事業者の方が,なかなか地方にいらして,今申し上げたような講習会に出席できないという場合もよく伺いますので,下請事業者をはじめとする,中小事業者の方々からの求めに応じまして,公正取引委員会の職員が出向いて下請法や優越的地位の濫用規制についての基本的な内容を分かりやすく説明するとともに,相談受付を行っているところであります。
 さらに,公正取引委員会は,下請法違反行為の未然防止の取組ということの一環として,毎年11月に中小企業庁と共同して,下請取引適正化推進月間として,この期間内において,下請法の普及・啓発事業を集中的に行っているところであります。
 本年度については,推進月間を一層効果的にPRするということを目的として,初めてキャンペーン標語の一般公募を行いました。その結果,「下請法 知って守って 企業のモラル」という標語を特選作品として決定したところであります。
 この標語に基づきまして,中小企業庁と分担して,全国47都道府県61会場において,下請法に関する講習会を開催することとしております。また,都道府県や商工会議所,商工会などの各種団体に対して,ポスターの掲示や機関誌への掲載などをお願いして,推進月間の協力を依頼することにしているところであります。
 先ほど申し上げましたとおり,指導件数が半期で過去最多となっており,依然として下請事業者が厳しい対応を迫られている状況の中で,公正取引委員会としては,引き続き,違反行為に対しては,迅速・的確に対処し,下請取引の一層の適正化に努めていくとともに,多くの事業者の方々に講習会に参加してもらうことによりまして,違反行為の未然防止に努めてまいりたいと考えているところであります。
 私からは以上です。

 [質疑応答]

 (問) 指導件数を含めてですが,年々,件数が増えているというのは,そもそも,下請いじめが増えていると考えるのか,それとも,潜在化していたものが公取の調査を含めて表れてきたものの結果なのかということをお伺いします。また,今後の対策といいますか,対応として,先ほどからもおっしゃっていますけれども,プライベートブランドの関連が結構目立つのですが,今後もこういったプライベートブランドに関するものを中心に勧告を進めていくのか,今後の対応について,再度お伺いします。

 (事務総長) 勧告件数や指導件数が増加していることの背景は,何かはっきりしたデータ的なものがあるわけではありませんが,1つには,公正取引委員会が,下請法違反というのは,なかなか下請事業者の方から,こういった問題があるということを,私ども申告と呼んでいますけれども,報告してもらえないものですから,広く書面調査を行い,誰がこういった情報を提供したかということが分からない形で,公正取引委員会が情報を掴んで調査をするという手法を取っておりますが,その調査の件数が年々増大していまして,例えば,平成18年ですと,下請事業者の方,約16万社に調査表を送っておりましたけれども,昨年度や今年度は約21万の下請事業者に調査表を送るといったことも1つにあろうかと思います。
 ただ,そういった調査件数とは別に,長引く不況や円高といった,依然として経済状況が厳しいことを背景として,下請事業者に対するしわ寄せが起こりやすい環境が続いていることがやはり挙げられるだろうと思います。
 したがいまして,今後のことについても御質問がありましたが,こういった環境を前提とすれば,今年度の下半期についても,下請事業者の多くが,引き続き厳しい対応を迫られることも十分に考えられることから,一方では,講習会の開催などを通じて違反行為の未然防止に努めるとともに,違反行為に接した場合には,迅速・的確に対処して,下請事業者に対する不当なしわ寄せが起こらないように努めていきたいと思っています。
 また,PB商品につきましては,今年度上期の勧告件数を見ても,10件の勧告のうち8件が卸・小売業者によるPB商品に関するものになっております。この点については,1つには,卸・小売業者がプライベートブランド商品を作っていて,その製造を委託するということが,下請法の適用対象になるということが十分知られていない点もあろうかと思います。
 したがいまして,大規模小売業者向けの講習会において,プライベートブランド商品の製造委託というものは,下請法の対象になるということを説明しておりますし,また,こういった講習会の際にも,PB商品を扱っている事業者の方には,是非参加してほしいといった形で参加を呼びかけるなどして,いろいろな形でPB商品を扱っている卸・小売業者の方に,下請法についての知識の普及・啓蒙を図っていきたいという取組をしております。この数年,PB商品についての事件が多いものですから,今,非常に卸・小売,大規模小売業者を中心にPB商品の取扱いが増えていることも背景としてはあると思いますので,そういった普及・啓蒙を今後とも力を入れていきたいと思っています。

 以上

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