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平成24年11月7日付 事務総長定例会見記録

平成24年11月7日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成24年11月7日(水曜)13時30分~ 於 官房第1会議室)

入札談合等関与行為の防止に関する取組について

 (事務総長)
 本日,私からは,入札談合等関与行為の防止に関する取組についてお話ししたいと思います。
 御案内のとおり,公正取引委員会は,先月の17日,国土交通省が四国地方整備局において発注する一般土木工事に関して,土佐国道事務所と高知河川国道事務所のそれぞれの副所長による入札談合等関与行為を認定して,国土交通省に対して3度目となる改善措置要求を行いました。
 入札談合は,独占禁止法が禁止するカルテルの典型事例であり,最も悪質な独占禁止法違反行為の1つですけれども,そうした入札談合に国や地方公共団体などの発注側の職員が関与する行為,いわゆる官製談合は,発注機関の利益,ひいては納税者である国民や住民の方々の利益を損なうという,あってはならない行為です。
 公正取引委員会は,従前から,入札談合の摘発に積極的に取り組み,発注機関の職員が入札談合に関与する行為を認めた場合には,いわゆる官製談合防止法に基づいて厳正に対処するとともに,発注機関の職員が入札談合に関与する行為を防止する,未然防止のための活動にも力を入れておりまして,本日は,こうした公正取引委員会の防止のための取組について2点紹介させていただきたいと思います。
 防止のための取組として,1点目は研修会の開催です。入札談合や官製談合の未然防止を図るために,国の機関や地方公共団体,政府出資法人といった発注機関の職員を対象として,平成20年度以降,独占禁止法と官製談合防止法に関する研修会を全国各地で行っております。この研修会は,発注機関又は公正取引委員会の主催で行っておりまして,公正取引委員会主催のものは,平成24年度で見ますと,今年度は既に4回行っております。近々では今週の9日に北海道の上川総合振興局等と管内の市町村,約50の官庁の職員の方に対して研修を行う予定となっております。また,発注機関が主催者となっている研修会にも,公正取引委員会が講師として職員を派遣しておりまして,今年度は,これまでに全国で115回,平成24年度10月末時点で,公正取引委員会が主催した4回を加えますと,今年度は既に119回の開催を行っているところであります。
 2点目は,国の発注機関との間で行う連絡担当官会議です。これは,国の発注機関との間での会議でして,国の発注機関の会計課長などが連絡担当官に指名されておりまして,その連絡担当官との連絡・協力体制を一層緊密なものにするためということで,平成5年度以降,公正取引委員会は「公共入札に関する公正取引委員会との連絡担当官会議」を開催しております。その際,最近の官製談合事件を紹介するとともに,入札談合等関与行為の未然防止のための取組を進めていただくように働きかけているところであります。今年度については11月27日に中央省庁の本省との連絡担当官会議の開催を予定しておりまして,また,各省庁の地方のブロック機関との間においても,今月の15日に北海道事務所で開催を予定しているものを含めまして,各ブロックで連絡担当官会議を開催していく予定になっております。
 昨年の9月になりますが,公正取引委員会は,発注機関における入札談合等関与行為の未然防止のための取組状況に関する実態調査報告書を公表しております。入札談合等関与行為の未然防止に向けて発注機関が行っている取組として,例えば,コンプライアンスマニュアルの作成,研修の実施,入札契約の関連情報の管理の厳格化,チェック体制の整備といった各種の取組をとりまとめて紹介しております。こうした発注機関の取組については,研修会や連絡担当官会議の場でも紹介して,国や地方公共団体のそれぞれの今後の研修に当たっての参考としていただくように紹介しているところですけれども,引き続き,発注機関による入札談合等関与行為の防止のための取組を,公正取引委員会が行う研修ですとか情報提供といった形を通じて,積極的に支援していきたいと考えています。
 私からは以上です。

 [質疑応答]

 (問) 連絡担当官会議の出席者は具体的にどういう人なのか,発注機関というのはどの省庁なのかをもう少し具体的に教えてください。

 (事務総長) まず1点目は,連絡担当官会議のメンバーやランクということだと思いますが,国の発注機関の会計課長等,発注側の担当の課長の方が,また,ブロック機関の担当官会議でも,そういった立場の方にお集まりいただいています。
 また,発注官庁としては,ほぼ全省庁が何らかの形で公共調達をやられていると思いますので,ほぼ全省庁の会計課長等の方に連絡担当官としてお願いしております。

 (問) これだけ毎年開催していて,官製談合がなくならないというのは,どのような理由なのでしょうか。

 (事務総長) 官製談合防止法がスタートしたのは平成15年だったと思いますが,それから先般の国土交通省の四国の事件まで12件もあり,ほぼ毎年1件はあるということで,なかなかなくなりません。昨年の9月に公表した調査は,全国の国や地方公共団体,政府出資法人の526の機関に調査を行った結果を取りまとめたものでした。公正取引委員会は,国や地方公共団体等に対して,官製談合防止法の研修を主催したり職員を派遣したり等して,研修の普及を図っているところですが,この調査結果によりますと,過去3年間に研修を行ったことがある,官製談合防止法についての研修を行ったことがあるとした発注機関は,全体の約25%という結果が出ておりまして,まだまだ十分な研修が行われていないという状況にあろうかと思います。
 それから,先般の四国の談合事件もそうですけれども,官製談合の実際の状況を見ますと,地方ブロック機関の出先機関においても,入札談合等関与行為が発生しているという状況が認められますので,省庁で研修をやっていただくときには,本省,さらにはブロック機関だけではなくて,出先機関も含めて研修を行っていただくことが必要だと思っておりまして,まだまだこれから,今日申し上げました活動を通じて,防止のための活動を進めていきたいと思っています。

 (問) 研修が増えると官製談合はなくなっていくということですか。

 (事務総長) 研修のときに,国や地方公共団体では,どういった取組をしていますということも説明,紹介して,参考にしていただいております。例えば,官製談合というのは,事業者から働きかけがあって,それが契機となって行われる場合も多いわけですが,事業者から働きかけがあった場合には,それを必ず文書化して上司に報告するという取組をしている自治体がありますといった事例を報告,紹介して,国や地方公共団体がそれぞれのコンプライアンスマニュアルの参考にしてもらうとか,また,入札談合等関与行為をすると,懲戒処分の対象になるといった懲戒規定を明記している事例がありますといった,いろいろな自治体や国の取組を紹介することによって,研修自体というよりも,その研修の場において,そういった取組を紹介することによって,国や各地方公共団体が,自らのコンプライアンス体制を構築していってもらうということが官製談合を防止するということにつながっていくと思っております。
 ただ,御指摘のとおり,官製談合はまだまだなくなっていないので,一方では,やはりインパクトのある事件を取り上げて,国や地方公共団体がそれを踏まえて取組をしてもらうということが必要ですし,もう一方としては,研修の場を通じて,注意喚起することによって,国や地方公共団体の自主的な取組を促していくということが必要だろうと思っています。

 (問) 過去の官製談合事件12件中,9件が建設工事などの工事の発注ですが,ほぼ全省庁でさまざまな調達をしている中で,なぜ工事にこれだけ入札談合等関与行為が集中しているのか,その理由はどのように分析されているのかお聞かせください。

 (事務総長) いわゆる建設業と言われている分野の工事の事件が多いわけですが,その1つには,やはり国や地方公共団体の仕事として,いわゆる建築工事や土木工事案件の発注が多いということが背景にあるのだろうとは思います。

 (問) 発注が多いから,それに応じて談合も多いということであれば,発注が減れば談合も減るということですか。

 (事務総長) 発注と談合とがリンクしていることはないと思いますが,今までも談合事件というのは,指名もしくは一般競争入札で参加を求めて入札をするという形のときに行われています。一般的には,かつては指名競争入札を行っていたのが,指名競争入札だと談合しやすいのではないかということで一般競争入札になり,また,価格だけだと談合しやすいのではないかということも背景にあって,総合評価方式ということで,価格と品質による入札で適切な者を選んでいこうというように入札方式が見直したりされているわけですけれども,それでも,先般の四国の高知の事件のように入札参加者が誰かとか,評価点といった秘密情報が伝えられていたという事件が起きたわけです。発注量が多ければ,その分野の事件が多くなるということではないですが,今までの公正取引委員会が取り上げた事件を見ますと,そういった建設業の分野が多いということになっております。

 (問) いわゆる建設業界,土木業界の側に談合体質があるというような認識はないのでしょうか。また,事業者側に対して改善を求めていくといったことも必要だと思いますが,その辺はいかがでしょうか。

 (事務総長) 官製談合事件ということを離れて,いわゆる事業者側の談合事件を見ても,公正取引委員会がこれまで取り上げた事件は,建設業界についてのものが大変多く,また,事業者が繰り返し行っていたというようなことが背景にあり,特に,談合というのは,国民や住民の方の税金を無駄にするような行為で,あってはならない行為だということもあって,平成17年の独占禁止法の改正によって,今までの課徴金の率が,より抑止するために大幅に引き上げられたという経緯がありますので,そういった違反行為を行った場合には,重いペナルティーが課され,課徴金納付命令を受けることになるということは制度的に取り入れております。しかし,それでもまだまだこういった談合行為はなくなっておりませんので,今日申し上げたような研修活動と併せて,引き続きインパクトのある事件を取り上げて,そういった行為が行われないようにしていくための努力を引き続きしなければいけないと思っています。

 (問) 今朝,政府のほうで電力システムの改革専門委員会が開かれました。そこで公正取引委員会が,この間公表された「電力市場における競争の在り方について」の報告がありました。今後,電力市場がいろいろと改革が進む中で,どういったお考えをお持ちかというのをお聞かせください。

 (事務総長) 制度の話と,もう一つは独占禁止法違反行為があった場合にはどういう取組をするのかという2つの観点からの御質問だと思いますが,まず,1つ目の制度に関しては,電力の分野については,今年の4月の閣議決定を受けて,公正取引委員会も,新電力のシェアが伸びていないとか,電力会社の供給区域を越えた競争が起きていない状況を調査するということになり,9月に「電力市場における競争の在り方について」という報告書をまとめ,いくつかの提言を行いました。もちろん,電気事業分野の制度の在り方や制度改革の進め方については,所管省庁の当局において需給対策や環境対策といった各種の政策的な要請も踏まえながら判断されていくものと思いますが,公正取引委員会の報告書については,今日開催されました電力システム改革専門委員会の場でも公正取引委員会から報告しており,今後所管当局のほうで,制度の詳細設計が進められますので,その制度設計の検討に当たって,競争政策の観点からの報告書の考え方がその詳細設計の検討に資することを期待しております。
 それから,もう一つは,そういった制度の問題とは別に,電力分野というのは非常に重要な分野ですので,先般も東京電力の値上げの問題に関して注意を行ったところですが,国民生活に非常に関連の高い分野において,独占禁止法の問題になるような行為があれば,引き続きしっかりとした対処をしていかなければいけないと思っています。

 (問) 公正取引委員会は,それをチェックしていくという形になると思いますが,法改正や新しい指針などを出されることはありますか。

 (事務総長) 電力分野については,今でも経済産業省と公正取引委員会で,合同のガイドラインを出しております。法改正があった場合など必要に応じて見直しをすることはあろうかと思いますが,そういった制度については,今後,詳細設計を進められるということだと思いますので,今後の推移を見て検討していきたいと思います。

 (問) 公取としては,独自の何かをやるということはないのですか。

 (事務総長) 制度設計について,どういった制度にしていくかということについては,やはり所管当局の省庁のほうで,各種の政策的な要請を踏まえながら検討を進められていくと思いますので,その点については,先般,公正取引委員会としても競争政策の観点からの報告書を公表しましたので,現段階では,今後私どもの報告書が詳細設計の検討に資することは期待しておりますけれども,それ以上の何かということは,今のところは特に予定しておりません。

 以上

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