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平成25年5月29日付 事務総長定例会見記録

平成25年5月29日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

(平成25年5月29日)平成24年度における独占禁止法違反事件の処理状況について

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成25年5月29日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

平成24年度における独占禁止法違反事件の処理状況について

(事務総長)
 本日,私からは,平成24年度における独占禁止法違反事件の処理状況についてお話ししたいと思います。
 平成24年度におきましては,20件の排除措置命令を行いました。その内訳といたしましては,建設工事に用いられるEPSブロックや,自動車部品などの受注調整事件について15件,入札談合事件については,国土交通省四国地方整備局発注の一般土木工事に関する官製談合事件など4件,そして,ベアリングの価格カルテル事件について1件の法的措置ということで,20件の措置を採っているところであります。
 また,平成24年度に命じました課徴金の総額は,約251億円になっております。この課徴金額というのは,例えば,製造業の大企業であれば,カルテルを行った対象商品の売上額の10%の額が課徴金として課されるということになっておりますので,市場規模の大きい事案の課徴金額は高くなるということになります。平成19年度以前は,一番多いときでも平成17年度の188億円という数字ですけれども,平成20年度以降は,毎年度250億円以上という課徴金額が続いておりまして,高い水準の課徴金額が命じられているということが言えると思います。

 続きまして,刑事告発についてですけれども,平成24年度はベアリングの製造販売業者の価格カルテル事件について,事業者3社とその従業員7名を検事総長に告発いたしました。告発された事業者3社は,いずれも全国的な事業活動を行っている大企業であり,対象商品であるベアリングは産業機械や自動車全般に広く用いられ,国民生活全般に密接に関わるもので,市場規模も約2,600億円と極めて大きいことから,本件カルテルは国民生活に広範な影響を与える悪質で重大な事案であったということです。
 公正取引委員会といたしましては,今後とも,こうした国民生活に影響の大きいカルテルや入札談合等の独占禁止法違反行為について,積極的に刑事告発を行っていく方針であります。

 平成24年度におきましては,価格カルテル等について20件の法的措置を採ったということを申し上げましたけれども,この20件の市場規模をみますと,年間で総額約4,800億円に達しています。対象となった分野は,平成24年度の場合,ベアリング,自動車用部品,公共建設工事等の国民生活に密接な関連を有する分野における違反行為について法的措置を採っているところであります。

 続きまして,入札談合若しくは官製談合についてお話ししたいと思います。入札談合というのは,納税者である国民の利益を損ねる行為であり,その中でも,発注者側の者が入札談合に関与するという官製談合というものはあってはならない行為だということで,公正取引委員会としては,従来から厳正に対処するということを明らかにしているところであります。
 平成24年度に措置を講じました国土交通省四国地方整備局の入札談合事件をみますと,この四国地方整備局の入札談合事件の対象となった工事というのは,一般競争入札であり,一般競争入札というのは指名競争入札とは違って,資格条件を満たしている事業者が入札に参加できるという形式で行われ,また,その落札者の決定は総合評価方式ということで,価格と価格以外の要素,本件で言えば技術提案を行わせて評価点をつけるという仕組みで,価格と価格以外の要素を総合的に評価して落札者を決定するという発注が行われていたのですが,こうした一般競争入札で総合評価方式によって落札者が決定されるという分野におきまして,この入札談合事件では,未公表の情報であります入札参加業者の名称や,評価点,予定価格などを教示するという形で官製談合が行われていました。
 こうした官製談合をなくすためには,入札参加業者だけでなく,発注者に対しても再発防止策を講じてもらう必要があります。
 このため,公正取引委員会は,発注者である国土交通大臣に対し,官製談合防止法に基づいて改善措置要求を行いました。そして,国土交通省は,コンプライアンスを推進する,入札手続を見直す,ペナルティを強化するなどの改善措置を講じることとして,その内容を公表したところであります。

 次に,優越的地位の濫用行為への対処についてですが,中小事業者に不当に不利益をもたらす優越的地位の濫用行為に対しては,未然防止の観点から,効率的かつ効果的に調査をするということで,平成21年11月に審査局内に「優越的地位濫用事件タスクフォース」というものを設置して,毎年,年間50件を超える注意を行っているところであります。平成24年度は,問題のみられた大規模小売業者やホテル・旅館などに対して注意を行いまして,過去最高の57件の注意を行ったところであります。

 続いて,中小事業者に不当に不利益をもたらす不当廉売行為に関しては,平成24年度は酒類やガソリンの分野について,事件として警告を行い,公表したところであります。不当廉売行為の未然防止の観点から,酒類や石油製品,家電製品等の小売業については,申告を受けてから原則2カ月以内に処理することを目標として,問題のみられた事業者に注意を行っております。平成24年度においては,合計1,736件の注意を行ったところであります。

 以上が平成24年度における独占禁止法違反事件の処理状況の概要ですが,平成24年度もインパクトのある事件審査を進められたと考えております。今後とも国民生活に影響の大きい価格カルテルや受注調整,入札談合,中小事業者に不当に不利益をもたらす優越的地位の濫用や不当廉売といった行為を排除することを通じまして,公正かつ自由な競争を促進し,一般消費者の利益が確保されるよう,引き続き努めてまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) 不当廉売について質問があるのですが,平成24年度は合計1,736件ということで,平成20年度と比べると半分ぐらいになっているのですけれども,その中でも,基本的に家電製品がこれだけ多く減っているというのは,申出自体が少ないのか,何か背景的な要因はあるのでしょうか。
(事務総長) おっしゃるように,注意の件数をみると,家電製品については,平成22年度856件あったのが,平成23年度は142件,平成24年度は121件というように減少しているところです。これは,必ずしもどういう背景で減ったと,はっきりしたものというのはないのですが,考えますと,家電製品の不当廉売というのは,やはり,大規模な家電量販店に係るものが多いと思いますが,大規模な小売業者がコンプライアンスの活動を推進されたということが背景,理由の1つとしてはあるかというふうに考えています。

以上

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