[配布資料]
[発言事項]
事務総長会見記録(平成27年2月25日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
公正取引委員会の国際的な取組について
本日は,これまでも折に触れお話ししてきたと思いますが,公正取引委員会の国際的な取組について改めて御紹介を申し上げたいと思います。
最近,御承知のように,アメリカ,欧州に限らず,中国,オーストラリア,韓国等様々な国におきまして,日本企業が各競争当局に摘発される事案が見受けられます。これは,経済のグローバル化が進展している中で,各国の競争当局にとって,国際カルテルや外国企業による競争法違反行為の摘発が重要な課題の一つとなってきていることによるものと考えられます。
公正取引委員会としては,日本の企業においてもそうした点を認識した上で,競争法の遵守を一層徹底する,言い換えればコンプライアンスを向上させていただく必要があると考えております。
この観点から,公正取引委員会は,従来から内外の競争法の遵守に係る企業の取組を支援してきているところであります。
まず,公正取引委員会では,お手元の資料にありますように,各国の競争法について広く皆様に知っていただくということを目的といたしまして,私どものウェブサイトに「世界の競争法」というコーナーを設け,現時点で86か国の競争法や競争当局に関する情報を,国別にページを設けて掲載しております。もちろん,企業の皆様が事業を実際に行うに当たっては,各国・地域当局が提供している情報を直接御確認いただく必要がありますが,その前段のいわば入口の情報として,どのような行為が競争法違反となるのか,あるいはその違反に対してどのような措置なり制裁が課されるのか,あるいはその国の競争法の執行の状況など,大まかな概要を把握していただくことに御活用いただけるものと考えております。今後とも,公正取引委員会としては,このページのアップデート及び内容の充実を図っていきたいと考えております。
加えまして,公正取引委員会では,かねてより企業を対象としたアンケート調査やヒアリング調査を通しまして,企業の独占禁止法に関するコンプライアンスについての取組の状況を把握・分析し,現状の問題点,課題を明らかにするとともに,更なる改善に向けた様々な方策を提示するため,報告書を取りまとめて公表してきております。直近では平成24年11月に報告書を公表したところでありますが,現在はこれに続く調査を行っているところであります。
これまでの累次の調査では,日本の独占禁止法に対するコンプライアンスの整備に向けた企業の取組状況をその対象としてきましたが,近年は,先ほど申し上げましたように,日本企業が外国の競争法の違反により当局の摘発を受け,巨額な罰金や制裁金等を課されるという事例が増えてきておりますので,現在進めております調査におきましては,企業における進出先の外国競争法に関するコンプライアンスの取組の状況につきましても調査対象としているところであります。
この調査については,早ければ年度内を目途に報告書を取りまとめるべく,現在作業を進めているところであります。
このほか,公正取引委員会では,企業活動のグローバル化を踏まえまして,これまでも何回も申し上げておりますように,競争当局間の連携強化,それから競争法・競争政策の国際的調和及び新興国・発展途上国の競争当局への技術支援に取り組んでいるところであります。今後,経済連携協定や自由貿易協定の締結が進むことにより,企業活動のグローバル化は加速されるものと考えられますところ,公正取引委員会としては,一層こうした取組を強化していきたいと考えております。
質疑応答
(問) ただいま御紹介ありました年度内に公表を目指すということで調査を進めておられるということですが,外国のコンプライアンスの状況というのはですね,大体どういうことをお聞きになっている案件なのか,対象企業はどれくらいなのかということをですね,教えていただけますでしょうか。
(事務総長) 直近の平成24年11月の調査もそうですが,対象企業は東証一部上場企業ということでございます。
それから,どのような具体的な質問ということですが,これは基本的には,その企業が進出した先の国の競争法を遵守するという意味でどういう取組を本社,あるいはその進出先の現地子会社なり支店がしているかということについて質問をさせていただいております。
以上