ホーム >報道発表・広報活動 >事務総長定例会見 >平成28年 >10月から12月 >

平成28年11月2日付 事務総長定例会見記録

平成28年11月2日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

独占禁止政策協力委員から寄せられた主な意見(平成28年度上半期)について(平成28年11月2日公表資料)

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成28年11月2日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

独占禁止政策協力委員から寄せられた主な意見(平成28年度上半期)について

 本日,私からは,平成28年4月から9月にかけて行いました平成28年度上半期の独占禁止政策協力委員からの意見聴取において,協力委員の皆様方から頂いた主な御意見,御要望について,本日公表いたしましたので,その概要につきまして,お手元の資料に基づいて,御説明させていただきます。
 皆様,既に御案内のとおり,独占禁止政策協力委員制度は平成11年度から設置しているものでありまして,全国各地域の経済界,報道機関,学識経験者,消費者団体といった有識者150名の方々に,上半期と下半期の年2回,競争政策や公正取引委員会の活動等につきまして,御意見,御要望を伺っているほか,消費者セミナー,独占禁止法教室等の当委員会が行っている広報活動にも御協力をいただいているところであります。
 まず,お配りした資料の1ページ目にあります,「1」の「公正取引委員会に対する期待」に関する協力委員の方の御意見等につきましては,最初の1つ目のポツにありますように,教育分野における当委員会の執行活動につきまして,「一般国民が皆おかしいと思っているところに手を伸ばしたことに意義があると思う」という御意見を頂いたところであります。公正取引委員会といたしましては,今後も,迅速かつ実効性のある事件審査を行うという基本方針の下,社会的ニーズに的確に対応した多様な事件に厳正かつ積極的に対処してまいりたいと考えております。
 次に,2ページ目の「2」の「地域経済の現状と競争政策の役割」のテーマにつきましては,4つ目のポツにありますように,「大企業によるコストダウン圧力が中小零細企業に向くことが大いに懸念されることから,引き続き監視の目を光らせてほしい」ということもありますし,ちょっと順序が逆になりましたが,1番目のポツにもありますように,「中小企業はコストがかさみ収益が圧迫されている状況である中,公正取引委員会には中小企業が適正に転嫁できるような環境を整備してほしい」という御意見を頂いたところであります。
 この点につきましては,公正取引委員会は,従来から下請法,優越的地位の濫用規制につきまして,普及・啓発に取り組むとともに,違反行為に対しましては厳正かつ積極的に対処してきております。また,前回のこの会見でも申し上げましたように,中小事業者の取引条件の改善を図るという観点から,下請法及び独占禁止法の一層の運用強化に向けた取組を進めることといたしまして,その取組の一環として,「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」を改正することとして,先週,改正案を公表したところであります。私どもとしましては,このような取組を行うことにより,引き続き中小事業者の取引条件の改善に向け,下請法,独禁法の運用の強化に取り組んでいきたいと考えております。
 3番目の「情報通信技術やデジタル化の進展に応じた競争政策の在り方」につきましては,1つ目のポツにありますように,携帯電話の分野におきまして,「競争原理が機能していないのではないか」といった御意見を頂きました。公正取引委員会は本年8月2日に,携帯電話市場における競争政策上の課題について,報告書の公表を行ったところでありまして,その中では,関係事業者からのヒアリングを踏まえまして,MVNOの新規参入の促進等の観点から,通信契約と端末販売の分離等,幾つかの点について注意喚起を行ったところであります。今後とも,私どもといたしましては,携帯電話市場の動向を注視していく所存であります。
 また,4番目の「地方における独占禁止法,下請法遵守の促進」についての御意見といたしましては,2つ目のポツにありますように,「中小企業の中には,取引先から優越的地位の濫用や下請法違反行為を受けているにもかかわらず,それが違法であると分かっていない企業もあることから,独占禁止法等の普及啓発をしっかりと行ってもらいたい」といった御要望がございました。この点につきましては,公正取引委員会は,例年,下請法や優越的地位の濫用規制につきまして,基礎知識の習得を希望する皆様方を対象とした「基礎講習会」や下請法等に対する基礎知識を有する方を対象として,具体的事例の研究を中心にお話しする「応用講習会」を積極的に開催してきているところであります。
 加えまして,先日もお話ししましたように,毎年11月を私どもは「下請取引適正化推進月間」と定めまして,この期間に「下請取引適正化推進講習会」を全国各地で開催することとしています。このほか,公正取引委員会のホームページ及びYouTubeにおきまして,下請法の講習用動画を掲載するなどしているところであります。今後も,公正取引委員会といたしましては,このような活動を含め,事業者に対する普及・啓発活動を積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 3ページ目の「5」の「規制改革に伴う対応」についてでありますが,これについての御意見としては,1つ目のポツで,「良い取組である」といったお褒めの言葉をいただいた一方で,2つ目のポツにありますように,農業分野における独占禁止法違反被疑行為に係る情報提供窓口につきまして,「もっとPRすべきではないか」といった御意見を頂いております。
 皆様御案内のとおり,公正取引委員会は,本年4月15日に農業分野における独占禁止法違反被疑行為に係る情報提供窓口を設置したところでありますが,本年6月2日に閣議決定されました規制改革実施計画におきまして,この窓口について,農林水産省とともに積極的な周知活動を行い,独占禁止法違反被疑行為に関する情報の収集を行うこととされております。この点につきまして,公正取引委員会は農林水産省と共同で,本年11月9日から全国12か所におきまして,農業者,農協関係者,商系業者等の農業分野の幅広い関係者に対しまして,農業分野における独占禁止法等に係る説明会を開催するとともに,農業者等の方々から独占禁止法に係る相談を私どもの担当者が受け付ける個別相談会を開催することとしております。そのような場を通じて,情報提供窓口の周知も図りたいと考えております。
 私どもとしては,今申し上げたような活動を通じまして,農業分野における独占禁止法違反被疑行為についてより広く情報を収集し,農業分野における競争環境がより一層整備されるよう努めていきたいと考えております。
 今年度上半期の意見聴取においては,概略,今御紹介しました御意見,御要望のほかにも,多数の御意見,御要望を頂いております。それにつきましては,お手元の資料のところに地方事務所別に掲げておりますので,御参照いただければと思います。
 公正取引委員会といたしましては,頂いた御意見,御要望を踏まえまして,今後とも競争政策の適切な運営に努めていきたいと考えております。

質疑応答

(問) 農林水産省との共同の説明会についてなんですけれども,これは今年が初めての取組なんでしょうか。それとも,これまでも継続してやっているものなんでしょうか。
(事務総長) 初めてというよりは,確か平成24年頃に,正確な時期は覚えておりませんが,少なくとも,そのときも農林水産省と共同して,共同の仕方はいろいろあると思いますけれども,その当時も,私どもの独占禁止法上違反となり得る行為等の説明というのは行ったことはございます。詳しいことは,今,この場で,いつからいつまで,どのくらいやったというのは申し上げられませんが,そういう意味で,これが初めての試みということではないと思います。
(問) 分かりました。

(問) 質問というより,教えていただきたいに近い話なんですけれども,最近,大手海運会社3社が,定期コンテナ船の統合について発表して,来年7月に新会社を設立して,18年4月から営業を開始したいということなんですけど,こういった国際的な市場を対象にした事業統合も,当然,公取委の審査が必要になってくると思うんですけど,この期間とか段取りとかは,どんなふうに進むんですか。
(事務総長) 個別具体的な話については,ちょっとお答えできませんが,いずれにしましても企業結合審査というものは,届出基準に合致するものとしては届出頂いた上で審査をします。もちろん,届出基準に合致しないものについても,私どもが独占禁止法上の観点から審査することもございますが。一般論としていえば,まず市場を画定します。どういう市場で競争が行われている現状にあるのかと。その画定した市場において,届出のあった,あるいは我々が審査の対象とした企業結合が,画定した市場における競争にどのような影響を与えることとなるのか,そして,それが仮に競争を実質的に制限することとなると我々が考える場合には,それを制限しないような問題解消措置というものについてお話をさせていただくことになると思います。
 それから,届出基準という意味では,いろいろな企業結合のタイプごとに,独占禁止法の該当条文に,どのくらいの企業の企業結合であれば,届出が必要かということが書いてあります。その場合の金額は国内売上高で基本的には200億と50億ということになります。したがいまして,企業結合の対象となっている企業が,ここら辺の売上高をどれだけ持っているかと,合併の場合は200億と50億ということだと思いますけれども,それを超えた場合には届出が必要であるということになります。

以上

ページトップへ