第16章 消費者モニター制度

第1 概 説

 消費者モニター制度は,独占禁止法や景品表示法の施行その他当委員会の
消費者保護の諸施策の的確な運用に資するため,当委員会の依頼する特定の
事項の調査,違反被疑事実の報告,消費者としての体験,見聞等の報告その
他当委員会の業務に協力を求めるもので,昭和39年度から設置されている。
 本年度の消費者モニターは,関東甲信越地区315名,北海道地区60名,東
北地区90名,中部地区115名,近畿地区170名,中国地区76名,四国地区50
名,九州地区106名,沖縄地区18名,合計1,000名を選定し委嘱した。ちなみ
に,本年度の消費者モニターの応募総数は7,011名,応募倍率は7.0倍であっ
た。
 本年度においては,5回のアンケート調査を実施し,消費者モニターの意
見を聴取するとともに,商品選択に関する消費者の意識調査等の調査を行っ
た。また,随時,独占禁止法及び景品表示法の違反被疑事実の報告,意見等
を求めたほか,表示連絡会,試買検査会に代表者を参加させ,一般消費者と
しての意見を求めた。

第2 活動状況

アンケート調査
 本年度における主なアンケート調査の概要は,次のとおりである。
(1) 消費税実施前後の価格動向と表示実態調査
 競争政策上の観点から,消費財について消費税実施時前後における価
格動向及び消費税実施後における価格表示の実態を把握するため調査を
行った。
(2) 新聞販売正常化に関する実態調査
 新聞業界の販売正常化推進の一環として,消費者の日常の経験を集
め,新聞販売の実態を把握するため調査を行った。
(3) 輸入品に関する消費者の意識調査
 内外価格差に関する消費財9品目の流通実態調査の一環として,輸入
品に関する消費者意識の動向を把握するため調査を行った。
(4) 商品選択に関する消費者の意識調査
 内外価格差の発生要因の一つとして,消費者の購買行動が指摘されて
いることを念頭において, 消費者の商品選択の基準やブランド品の購買
行動に関する意識調査を行った。
自由通信
 消費者モニターの仕事として,上記のアンケート調査のほか,消費者モ
ニターが随時自由に意見及び情報を提供する仕事がある。この自由通信
は,①独占禁止法,景品表示法の違反被疑事実の通報,②景品表示法に基
づいて設定された公正競争規約の遵守状況等についての通報,⑧その他一
般的な意見の通報等であり,本年度は合計2,854件の自由通信が寄せられ
た(第1表)。
各種会合等への参加
 景品表示法に基づき公正競争規約を認定する際には,公聴会,表示連絡
会等を開催して各方面の意見を聴取することとしているが,消費者モニ
ターを必要に応じてこれらの会合に出席させ, 一般消費者の立場からの意
見を求めている。
 本年度は,表示連絡会1件及び試買検査会16件の会合に消費者モニター
が出席した(第2表)。