第9章 国 際 契 約 等

第1 概 説

 独占禁止法第6条は,国内事業者と外国事業者との国際的協定又は国際的
契約(以下「国際契約」という。)について,不当な取引制限又は不公正な
取引方法に該当する事項を内容とするものの締結を禁止するとともに,国際
契約を締結した事業者に対し,契約成立の日から30日以内に当委員会に届け
出ることを義務付けている。

第2 国際契約の届出状況

 国際契約は,@我が国の事業者が外国事業者から資本投下若しくは技術の
提供を受け,又は製品・原材料を購入する契約(以下「対内契約」とい
う。)と,A我が国の事業者が外国事業者に対して資本投下若しくは技術の
提供を行い,又は製品・原材料を販売する契約(以下「対外契約」とい
う。)とに大別される。
 本年度における国際契約の届出件数は1,138件であり,前年度に比べて
80.0%(4,542件)の減少となった。これは,主として平成4年3月の国際
契約届出規則の一部改正による届出範囲の縮減によるものである(第1表)。
 これを種類別にみると,対内契約は,357件(全届出件数の31.4%)であ
り,また,対外契約は,781件(全届出件数の68.6%)である。
 対内契約の届出の内訳をみると,種類別では,技術導入契約が203件で最
も多く,次いで輸入代理店契約が65件と続いており,この2種類の契約で対
内契約の75.1%を占めている。これを業種別にみると,対内契約全体におい
ても,技術導入契約においても,電気機械器具,サービス(主としてソフト
ウェア)関係がそれぞれ上位を占め,また,輸入代理店契約においては,化
学製品,電気機械器具関係が上位を占めている(附属資料6−1表)。
 対外契約の届出の内訳をみると,種類別では,輸出代理店契約が297件で
最も多く,次いで合弁事業契約が275件と続いており,この2種類の契約で
 対外契約の73.2%を占めている。これを業種別にみると,対外契約全体にお
いても,輸出代理店契約及び合弁事業契約においても,化学製品,電気機械
器具,輸送用機械器具関係がそれぞれ上位を占めている。
 契約の相手国・地域別にみると,まず対内契約では,アメリカが最も多
く,対内契約全体で168件(対内契約全体の47.1%)となっており,その内
訳をみると,技術導入契約が117件(技術導入契約全体の57.6%),輸入代理
店契約が26件(輸入代理店契約全体の40.0%)等となっている。以下,対内
契約全体においてはイギリス,ドイツ,フランスが,技術導入契約において
はドイツ,イギリス,フランスが,輸入代理店契約においてはイギリス,ド
イツ,カナダがそれぞれ上位を占めている。また,対外契約においては,中
国が最も多く,対外契約全体で110件(対外契約全体の14.1%)となってお
り,その内訳をみると,合弁事業契約が91件(合弁事業契約全体の33.1%)
等となっている。以下,対外契約全体においてはアメリカ,韓国,台湾,タ
イが,合弁事業契約においてはタイ,アメリカ,インドネシアがそれぞれ上
位を占めている。また,輸出代理店契約においてはアメリカ,韓国,台湾が
上位を占めている(附属資料6−2表)。

第3 国際契約の指導等の状況

 届け出られた国際契約については,その内容を審査し,不当な取引制限
又は不公正な取引方法に該当するおそれがある事項を含むものについて
は,当該事項を修正又は削除するよう指導(以下「指導」という。)して
いる。また,当該契約条項の具体的な実施状況によっては法違反となる旨
の注意を促し,法違反の発生の未然防止を図る措置(以下「問題点指摘」
という。)も講じている(以下,これらの措置を含めて「指導等」とい
う。)。
 本年度における国際契約の指導等の件数は,契約件数で37件,指導等の
内容別件数で50件となっている(附属資料6−3表)。
 指導等の内容別件数について,指導を行ったものと,問題点指摘を行っ
たものとに分けてみると,第2表のとおりである。
 主要な契約の種類別に指導等の状況をみると,技術導入契約の指導等の
件数は,契約件数で24件(指導等の内容別件数では34件)であり(附属資
料6−4表),これは,前記国際契約の指導等の契約件数の64.9%であ
る。
 また,輸入代理店契約の指導等の件数は,契約件数で7件(指導等の内
容別件数では9件)であり(附属資料6−5表),これは,国際契約の指
導等の契約件数の18.9%である。なお,輸入代理店契約の指導等の契約件
数はすべて輸入総代理店契約である。

第4 海上運送事業者間の協定等

 船舶運航事業者が他の船舶運航事業者とする運賃及び料金その他の運送条
件,航路,配船並びに積取りに関する事項を内容とする協定,契約又は共同
行為(以下「協定等」という。)については,海上運送法第28条の規定によ
り原則として独占禁止法の適用が除外されている。しかし,同条ただし書に
より,不公正な取引方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実
質的に制限することにより不当に運賃及び料金を引き上げることとなる場合
には,適用除外とはならない。海運業に係る不公正な取引方法については,
独占禁止法第2条第9項に基づく特殊指定でその内容が定められている。
 海上運送法第29条は,同法第28条に規定する協定等に関し,その締結,変
更についてあらかじめ運輸大臣に届け出なければならない旨規定し,同法施
行規則第26条第4項では,運輸大臣は,協定等に関する届出書のうち1通を
当委員会に送付する旨規定している。
 当委員会が本年度において運輸大臣から受理した届出の件数は,319件で
あり,その内訳(1届出について,2以上にわたる場合の重複分を含む。)
は,締結16件,変更290件,参加8件,脱退5件であった。