第2 勧告審決

 公正取引委員会は,違反行為を行っているもの又は行ったものに対し,独
占禁止法第48条第1項又は第2項の規定に基づいて適当な措置を探るべきこ
とを勧告し,そのものが勧告を応諾したときには,同条第4項の規定に基づ
き審判手続を経ないで当該勧告と同趣旨の審決をすることができるが,この
手続による審決を勧告審決と呼んでいる。
 本年度は,独占禁止法第3条後段(不当な取引制限)違反20件,第8条第
1項第1号(事業者団体による競争の実質的制限)違反1件,第8条第1項
第4号及び第5号(事業者団体による構成員の機能活動の制限等)違反1件
及び第19条(不公正な取引方法)違反5件の勧告審決を行った。その概要
は,以下のとおりである。

独占禁止法第3条後段違反事件
(1) トッパン・ムーア(株)ほか3名に対する件(平成5年(勧)第9号)
関 係 人

違反事実等
(ア)  トッパン・ムーア(株),大日本印刷(株)及び小林記録紙(株)の3
社は,社会保険庁が発注する国民年金,厚生年金及び船員保険年金
の各種通知書等貼付用シール(以下「支払通知書等貼付用シール」
という。)の供給業務を行う者である。
(株)日立情報システムズは,社会保険庁が発注する支払通知書等
貼付用シールについて,(株)ビーエフを通じて供給する業務を行う
者である。
(イ)
 関係人4社は,社会保険庁が平成元年8月以降指名競争入札の
方法により発注することとしていた支払通知書等貼付用シールに
ついて,有利な価格で受注することができるようにするなどのた
め,平成元年8月上旬ごろ,東京都中央区所在の小林記録紙(株)
東京支店会議室で開催した各社の営業実務責任者による会合にお
いて
(a)  4社間の話合いにより,入札の都度,あらかじめ受注予定者
を決定すること
(b)  あらかじめ, 入札すべき価格を定め,受注予定者以外の者
は,受注予定者が受注できるように協力すること
(c)  受注した前記シールに係る業務については,4社間におい
て,受注した者から適宜他の者に順次下請発注する「回し」と
称する方法を用いることにより,各社の売上げ及び利益が確保
できるようにすること
 4社は,前記(イ)aの決定に基づき,平成元年度から平成3年度
までの間,社会保険庁が指名競争入札の方法により発注する支払
通知書等貼付用シールについて,入札の都度,あらかじめ受注
予定者等を決定し,受注予定者が受注できるようにするととも
に,受注した者から,適宜,受注した前記シールに係る業務を他
の者に順次下請発注していた。
(ウ)
 4社は,当委員会が平成3年7月9日及び同年11月13日に行っ
た,3社を含む東京都及びその周辺地域に所在する印刷業者に対
する立入検査を契機として,それぞれ,社会保険庁が発注する支
払通知書等貼付用シールの入札への対応の在り方を検討したとこ
ろ,いずれも(イ)aの決定に基づき受注予定者等を決定するなどの
行為を継続することが困難な状況となったとの認識を有するに至
り,かかる認識の下に,平成4年4月下旬ごろ,前記小林記録紙
(株)東京支店会議室で2回にわたり開催した各社の営業実務責任
者による会合において,改めて,今後の入札における4社の対応
の在り方について協議・検討した結果,平成4年度以降の入札に
ついては,前記(イ)aの決定に代わるものとして
(a)  4社間の話合いにより,入札の都度,あらかじめ受注予定者
を決定すること
(b)  あらかじめ,入札すべき価格を定め,受注予定者以外の者
は,受注予定者が受注できるように協力すること
(c)  受注した者は,受注した前記シールに係る業務を他の3社の
いずれかに下請発注することとし,その際の発注価格を調節す
る方法等を用いることにより,必要に応じて次年度以降にわた
り調整することを含めて,4社間の利益の均等化を図ること
を決定した。
 4社は,前記(ウ)aの決定に基づき,平成4年度において,社会
保険庁が指名競争入札の方法により発注する支払通知書等貼付用
シールについて,あらかじめ受注予定者等を決定し,受注予定者
が受注できるようにするとともに,受注した者は,受注した前記
シールに係る業務を他の3社のいずれかに下請発注していた。
(エ)  4社は,平成4年10月13日,競売入札妨害罪の事実により,東京
地方検察庁による捜索・差押えを受け,各社の社会保険庁発注の支
払通知書等貼付用シールに関する営業を担当する営業実務責任者ら
が逮捕・勾留され,その後,同人らが同罪で東京地方裁判所に公訴
を提起されたこと,また,社会保険庁から,平成4年11月11日,同
庁発注の前記シールに係る業務を含む印刷物の取引停止の通告を受
けたこと等により,事実上,前記(ウ)aの決定に基づき受注予定者等
を定めるなどの行為を継続することが不可能となったため,遅くと
も,前記の取引停止の通告を受けた日以降,前記決定に基づき受注
予定者等を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取り
やめている。
排除措置
 4社に対し,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止法
第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき
行ったものである。
(ア)  社会保険庁が指名競争入札の方法により発注する国民年金,厚生
年金及び船員保険年金の各種通知書等貼付用シールについて,平成
4年4月下旬ごろに行った決定に基づき,受注予定者を決定し,受
注予定者が受注できるようにしていた行為を既に取りやめているこ
とを確認すること。
(イ)  次の事項を社会保険庁並びに自社の役員及び従業員に周知徹底さ
せること。
 平成元年8月上旬ごろから行っていた,社会保険庁が指名競争
入札の方法により発注する国民年金,厚生年金及び船員保険年金
の各種通知書等貼付用シールについて,受注予定者を決定し,受
注予定者が受注できるようにしていた行為を既に取りやめている
旨    
 今後,共同して,同庁が指名競争入札の方法により発注する前
記シールについて,受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主
的に受注活動を行う旨
(ウ)  今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,社会保険庁
が競争入札の方法により発注する国民年金,厚生年金及び船員保険
年金の各種通知書等貼付用シールについて,受注予定者を決定しな
いこと。
(2) 末広屋電機(株)ほか4名に対する件(平成5年(勧)第13号)
関 係 人
違反事実等
 関係人5社及び赤平市の区域において電気工事業を営む(有)桜井電
機商会の6社は,遅くとも昭和63年4月以降,赤平市が指名競争入札
等の方法により発注する電気工事の受注機会の均等化を図るため
(ア)  赤平市が指名競争入札等の方法により発注する電気工事につい
て,あらかじめ指名を受けた者の中から受注予定者を決定する
(イ)  指名を受けた者のうち,受注予定者以外の者は,受注予定者から
入札価格又は指名見積り合わせに提出する価格の連絡を受け,受注
予定者の価格より高い価格で入札又は見積書の提出を行うことによ
り,受注予定者が受注できるように協力する
旨の合意の下に,同電気工事の指名競争入札等に際し,必要に応じて
6社以外で指名を受けた者の協力を得て,あらかじめ,受注予定者を
決定し,受注予定者が受注できるようにしている。
 なお,6社のうち(有)桜井電機商会は,平成4年6月以降 電気工
事に係る事業活動を取りやめており,本合意に基づく行為を行ってい
ない。
排除措置
 5社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  赤平市が指名競争入札等の方法により発注する電気工事につい
て,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるよう協力する旨
の合意を破棄すること。
(イ)  次の事項を赤平市に通知すること。
 前記(ア)に基づいて採った措置
 今後,共同して,赤平市が指名競争入札等の方法により発注す
る電気工事について,受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自
主的に受注活動を行う旨
(ウ)  今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,赤平市が指
名競争入札等の方法により発注する電気工事について,受注予定者
を決定しないこと。
(3) 兵庫三菱ふそう自動車販売(株)ほか4名に対する件及び大阪日野自動
車(株)ほか4名に対する件(平成5年(勧)第17号及び第18号)
 兵庫三菱ふそう自動車販売(株)ほか4名に対する件(平成5年(勧)
第17号)
関 係 人
違反事実等
(ア)
 関係人5社は,昭和60年9月6日,普通トラックの需要者向け
販売価格の低落を防止するための方策について検討した結果
(a)  普通トラックの需要者向け最低販売価格は,
 完成車及びシャーシーについては,型式別に,BP又は通
常最低販売価格と称する価格(以下「BP」という。)を共
同して定め,一般ユーザー(普通トラックの保有台数が10台
以下の需要者をいう。)に対してはBPとし,管理ユーザー
(一般ユーザー以外の需要者をいう。以下同じ。)に対して
は,BPから一定額を減じた特別最低販売価格と称する価格
とすること
ii  ボディ架装を行う場合には,前記価格にボディの製造業者
が定めている当該製品の価格の90パーセントに相当する額を
加算した価格とすること
(b) 前記最低販売価格以上に販売価格を維持し,引き上げるた
め,管理ユーザーについて,同一の需要者から2以上の会社が
引き合いを受けた場合には,販売専門委員会又は地区委員会で
見積価格及び販売価格並びに優先的に受注する者を調整するこ
(c)  前記(a)及び(b)の決定に違反した場合は,当該違反行為による
販売台数に見合う台数の受注を辞退させるなどの制裁を課すこ
を決定した。
 その後,5社は,昭和62年6月15日,管理ユーザーのうち販売
価格の引上げが進んでいない需要者を特別管理ユーザーとし,当
該需要者に対する完成車及びシャーシーの最低販売価格は,需要
者別に共同して定める指示価格と称する価格とすることを決定し
た。
 5社は,平成2年3月5日,前記bのうち,特に販売価格の引
上げが進んでいない需要者に対する完成車及びシャーシーの最低
販売価格は,型式別に共同して定める統一価格と称する価格とす
ることを決定した。
 5社は,平成4年1月23日,前記(ア)a(a),b及びcの各決定に
代えて,普通トラックの製造業者又は総発売元が定めている希望
小売価格を基準として型式別に各社が定めている建値と称する標
準販売価格の85パーセントに相当する価格を完成車及びシャー
シーの最低販売価格とすることを決定した。
(イ)  5社は,前記(ア)の各決定に基づき,共同して最低販売価格を定
め,同一の需要者から2以上の会社が引き合いを受けた場合には見
積価格及び販売価格並びに優先的に受注する者を調整するなどし
て,おおむね,普通トラックの需要者向け販売価格を維持し,引き
上げていた。
(ウ)  当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,5
社は,平成4年9月19日,前記(ア)の各決定を破棄した。
排除措置
 5社に対し,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止法
第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき
行ったものである。
(ア)  次の事項を兵庫県における普通トラックの需要者に周知徹底させ
ること。
 昭和60年9月6日,昭和62年6月15日,平成2年3月5日及び
平成4年1月23日に行った普通トラックの需要者向け販売価格の
維持,引上げに関する各決定を破棄した旨
 今後,共同して,普通トラックの需要者向け販売価格又は優先
的に受注すべき者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に販売活動
を行う旨
(イ)  今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,普通トラッ
クの需要者向け販売価格又は優先的に受注すべき者を決定しないこ
と。
大阪日野自動車(株)ほか4名に対する件(平成5年(勧)第18号)
関 係 人
違反事実等
(ア)
 関係人5社は,昭和62年4月3日,普通トラックの需要者向け
販売価格の低落の防止について検討した結果,次の事項を昭和62
年5月1日を目途に実施することにより,現行販売価格を維持
し,引き上げることを決定した。
(a)  普通トラックの需要者向け見積価格は,完成車及びシャー
シーについては各社の建値の82パーセントに相当する価格以上
とし,ボディ架装を行う場合にはボディの製造業者が定めてい
る当該製品の価格を加算した価格以上とすること
(b)  同一の需要者から2以上の会社が引き合いを受けた場合又は
引き合いを受けることが予想される場合には,幹事会社(当該
需要者が保有している普通トラックを最も多く販売した者をい
う。以下同じ。)に連絡し,幹事会社及び競合する会社間で販
売価格を調整すること
(c)  需要者のうち販売価格が一定の基準となる価格(完成車及び
シャーシーについては各社の建値の79パーセントに相当する価
格,ボディ架装を行う場合にはボディの製造業者が定めている
当該製品の85パーセントに相当する額を加算した価格)を下
回っている需要者に対する販売価格の引上げを重点的に実施す
ることとし,このため
大口需要者等で特に販売価格の引上げを図る必要がある需
要者をブロック会で選定すること
ii  前記iにより選定した需要者に対する販売価格の引上げに
ついては,前記a(b)の調整を行うほか,1の銘柄の製品のみ
を保有している需要者に関しては原則として当該需要者の幹
事会社を優先的に受注する者とし,他の会社は幹事会社の販
売価格の引上げに協力すること
iii  前記iにより選定した需要者に対する販売価格の引上げ状
況をブロック会において定期的に取りまとめ,運営委員会に
報告すること
 その後,5社は,平成2年3月26日,前記aの決定内容が幹事
会社に有利であるとしてその見直しを行った結果
(a)  前記a(c)iにより選定した需要者からの引き合いについての
前記a(b)の調整は,幹事会社及び競合する会社のほか当該需要
者に直近に販売した会社を加えて行うこと
(b)  前記a(c)iiの幹事会社を優先的に受注する者とする期間を原
則として3年間に限定すること
を決定した。
(イ)  5社は 前記aの各決定を実施するとともに,前記(ア)a(C)iによ
り選定する需要者について毎年定期的に販売価格の引上げ状況に応
じて選定の見直しを行い,当該需要者別に当面目標価格と称する価
格を定めて当該価格の達成状況を確認するなどにより,おおむね,
普通トラックの需要者向け販売価格を維持し,引き上げていた。
(ウ)  5社は,平成4年10月5日,前記a及びbの各決定を破棄した。
排除措置
 5社に対し,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止法
第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき
行ったものである。
(ア)  次の事項を大阪府における普通トラックの需要者に周知徹底させ
ること。
 昭和62年4月3日及び平成2年3月26日に行った普通トラック
の需要者向け販売価格の維持,引上げに関する各決定を破棄した
旨 
 今後,共同して,普通トラックの需要者向け見積価格及び同販
売価格を決定せず,各社がそれぞれ自主的に決める旨
(イ)  今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,普通トラッ
クの需要者向け見積価格及び同販売価格を決定しないこと。
(4)  浅川建設工業(株)ほか123名に対する件,浅川建設工業(株)ほか68名
に対する件,浅川建設工業(株)ほか101名に対する件及び浅川建設工業
(株)ほか65名に対する件(平成5年(勧)第19号,第20号,第21号及び
第22号)


関 係 人
違反事実等
(ア)  川崎市は,土木関係工事(土木工事,下水管きょ工事,舗装工事
及び上水道工事)の大部分を指名競争入札又は指名見積り合わせ
(以下「指名競争入札等」という。)の方法により発注しており,
指名競争入札等に当たっては,あらかじめ,指名競争入札等に参加
しようとする者のうち,一定の資格要件を満たす者を有資格業者と
して登録し,この有資格業者の中から指名競争入札等の参加者を指
名している(同市水道局が発注する工事物件についても同様の方法
が採られている。)。
 なお,下水管きょ工事については,一部,共同施工方式により施
行されており,当該工事の発注の都度結成される共同企業体を指名
する場合においては,有資格業者の中から共同企業体の構成員を原
則として第一グループ及び第二グループに分けてグループごとに同
数選定し,各グループに属する構成員それぞれ一業者ずつの任意の
組合せによる共同企業体を指名している。
(イ)  本件関係人は,遅くとも平成3年4月1日以降,川崎市又は同市
水道局が指名競争入札等の方法により発注する本件違反行為の対象
工事について,受注価格の低落防止を図るため,
 後記bの工事以外については,
同市又は同市水道局から指名競争入札等の参加の指名を受けた
ときは,次の方法により,当該工事を受注すべき者(以下「受注
予定者」という。)を決定する
(a)  当該工事について受注を希望する者(以下「受注希望者」と
いう。)が1名のときは,その者を受注予定者とする
(b)  受注希望者が複数のときは,受注希望者の間の話合いにより
受注予定者を決定する
(c)  前記(b)により受注予定者を決定することができないときは,
社団法人川崎建設業協会(以下「協会」という。)の会議室等
で指名を受けた者が参加して開催する調整会議と称する会合に
おいて,話合いにより決定する
(d)  前記(c)により受注予定者を決定することができないときは,
指名を受けた者の間で投票,くじ等の方法により決定する
 下水管きょ工事のうち共同施工方式により施行されるものにつ
いては,
 同市から共同企業体の構成員として選定されたときは,次の方
法により受注すべき共同企業体の構成員となるべき者を決定し,
これらの者の組合せによる共同企業体を受注予定者とする
(a)  共同企業体構成員の選定等通知書を受領した日の翌日,協会
の会議室で構成員として選定された者が参加して開催する組合
せ会と称する会合において,第一グループ及び第二グループの
グループごとの話合いにより,各グループに属する構成員のう
ちから受注すべき共同企業体の構成員となるべき者を決定する
(b)  前記(a)により受注すべき共同企業体の構成員となるべき者を
決定することができないグループがあるときは,協会の会議室
等で当該グループに属する構成員が参加して開催する調整会議
と称する会合において,話合いにより決定する
(c)  前記(b)により受注すべき共同企業体の構成員となるべき者を
決定することができないグループがあるときは,当該グループ
に属する構成員の間で投票,くじ等の方法により決定する
 前記a及びbのいずれの場合においても,受注すべき価格は,
受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定
めた価格で受注することができるように協力する
旨の合意の下に,必要に応じそれぞれの本件関係人以外で指名を受
けた者の協力を得て,あらかじめ,受注予定者を決定し,受注予定
者が受注できるようにしていた。
(ウ)  本件関係人は それぞれ前記(イ)により,川崎市発注の本件違反行
為の対象工事の大部分を受注していた。
(エ)  当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,平
成4年10月12日,協会の会議室で本件関係人のうち大部分の者が出
席して開催された会合において,前記(イ)の合意に基づき受注予定者
を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を行わない旨の
申合せが行われたこと等により,本件関係人は,事実上,同日以
降,同合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できる
ようにする行為を取りやめている。
排除措置
 本件関係人に対し,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る
勧告は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁
止法第48条第2項(既往の違反行為に対する措書勧告)の規定に基づ
き行ったものである。
 それぞれ関係する種類の工事について,遅くとも平成3年4月1
日以降行っていた,川崎市が指名競争入札等の方法により発注する
本件違反行為の対象工事について,受注予定者を決定し,受注予定
者が受注できるようにしていた行為を取りやめていることを確認す
ること。
 それぞれ関係する種類の工事について,次の事項を川崎市に通知
すること。
(a)  遅くとも平成3年4月1日以降行っていた,川崎市が指名競争
入札等の方法により発注する本件違反行為の対象工事について受
注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた行為
を取りやめている旨
(b)  今後,共同して,川崎市が指名競争入札等の方法により発注す
る本件違反行為の対象工事について,受注予定者を決定せず,各
自がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
 それぞれ関係する種類の工事について,今後,それぞれ,相互に
又は他の事業者と共同して,川崎市が競争入札又は見積り合わせの
方法により発注する本件違反行為の対象工事について,受注予定者
を決定しないこと。
(5) (株)トーカイほか4名に対する件,ワタキューセイモア(株)ほか6名
に対する件及びワタキューセイモア(株)ほか4名に対する件(平成5年
(勧)第26号,第27号及び第28号)



関 係 人 

違反事実等
 (株)トーカイほか4名に対する件(平成5年(勧)第26号)
(ア)
a  関係人5社は,基準寝具の健康保険の診療報酬が平成4年4月
1日から引き上げられる見通しとなったことから,同年2月22
日,岡山市に所在するワタキューセイモア(株)中国支店会議室で
開催した各社の寝具担当の営業責任者級の者による会合におい
て,岡山県の区域において病院等向けの寝具の賃貸に係る単価
(1組1日当たりの料金をいう。)を,平成4年4月1日から5
円以上を目途に引き上げることを決定した。
 これら5社は,前記決定に基づき,同単価をおおむね引き上げ
ている。
(イ)
 病院等向けの寝具の賃貸について,西日本病院寝具協議会が他
の会員の取引先に対する会員の営業活動を制限していることによ
り,5社は,岡山県の区域において他社の取引先に対して営業活
動を行っていない状況にある。
 5社は,取引料金の低落防止を図るため,遅くとも平成4年4
月以降,岡山県の区域において新規に開設される病院等に対する
寝具の賃貸について
(a)  新規開設の病院等に関する情報を報告した上で5社の間で営
業活動を行う者(以下「取引予定者という。)を決定する
(b)  取引予定者以外の者は,取引予定者が取引できるように協力
する
旨の合意の下に,あらかじめ取引予定者を決定し,取引予定者が
取引できるようにしている。
 ワタキューセイモア(株〉ほか6名に対する件(平成5年(勧)第27
号)
(ア)
a  関係人7社は,健康保険法による基準寝具及び病衣の診療報酬
の点数が平成4年4月1日からそれぞれ1点(10円)ずつ引き上
げられる見通しとなったことから,同年3月3日に開催した営業
責任者級の会合において,福岡県及び佐賀県の区域の病院向け寝
具等及び診療所向け寝具の賃貸の単価(1組1日当たりの料金を
いう。)を,同年4月1日からそれぞれ7円を目途に引き上げる
ことを決定した。
 7社は,前記決定に基づき,同単価をおおむね引き上げてい
る。
(イ)
 また,7社は,他社の取引先に対して営業活動を行っていない
状況の下で,取引機会の均等化及び取引料金の低落防止のため,
遅くとも平成4年4月以降,同区域で新規に開設される病院等
(既存病院等のうち,開設者が変更されたものも含む。)に対す
る寝具等の賃貸について
(a)  既存の病院等の開設者が新たに同一市町村に病院等を開設し
た場合は,その既存の病院等と取引している者を取引予定者と
する
(b)  福岡県の区域で精神病院が開設された場合は,福岡県精神病
院協同組合を取引予定者とする
(c)  前記(a)及び(b)のいずれにも該当しないものについては,福岡
県精神病院協同組合を除く6社の間で,あらかじめ定めた一定
の方法で取引予定者を決める
(d)  取引予定者以外の者は,取引予定者が取引できるよう協力す
旨の合意の下に,あらかじめ取引予定者を決定し,取引予定者が
取引できるようにしていた。
(ウ)  なお,7社は,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したころ,平成5年3月9日に前記(ア)の決定を破棄するとともに,
前記(イ)の行為を取りやめた。
 ワタキューセイモア(株)ほか4名に対する件(平成5年(勧)第28
号)
(ア)  開係人5社は,平成4年4月1日の健康保険法による基準寝具及
び病衣の診療報酬の点数の引上げに際して,同年3月11日に開催し
た営業責任者級の会合において,長崎県の区域の病院向け寝具等の
賃貸の単価を同年4月1日から,貸切制については7円,稼働制に
ついては8円を目途に引き上げることを決定した。
(イ)  5社は,この決定に基づき,同単価をおおむね引き上げている。
(ウ)  なお,5社は,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したところ,平成5年3月30日に前記(ア)の決定を破棄した。
排除措置
 (株)トーカイほか4名に対する件(平成5年(勧)第26号)
 5社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  平成4年2月22日に行った岡山県における病院等向けの寝具の賃
貸に係る単価の引上げに関する決定を破棄すること。
(イ)  遅くとも平成4年4月1日以降行っている,岡山県において新規
に開設される病院等向けの寝具の賃貸について,あらかじめ取引予
定者を決定し,当該取引予定者が取引できるようにしている行為を
取りやめること。
(ウ)  次の事項を岡山県における取引先病院等に周知徹底させること。
 前記(ア)及び(イ)に基づいて採った措置
 今後,共同して,病院等向けの寝具の賃貸に係る単価を決定せ
ず,各事業者がそれぞれ自主的に決める旨及び共同して,新規に
開設される病院等向けの寝具の賃貸について取引予定者を決定せ
ず,各事業者がそれぞれ自主的に営業活動を行う旨
 ワタキューセイモア(株)ほか6名に対する件(平成5年(勧)第27号)
 7社に対し,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止法
第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき
行ったものである。
 次の事項を取引先である病院等に周知徹底させること。
(ア)  平成4年3月3日に行った病院向け寝具等及び診療所向け寝具の
賃貸に係る単価の引上げに関する決定を破棄した旨
(イ)  新規に開設される病院及び診療所向けの寝具等の賃貸について,
あらかじめ営業活動を行う者を決定し,当該営業活動を行う者が取
引することができるようにしていた行為を取りやめた旨
(ウ)  今後,共同して病院向け寝具等及び診療所向けの寝具の賃貸に係
る単価を決定せず,各事業者がそれぞれ自主的に決める旨並びに共
同して新規に開設される病院及び診療所向けの寝具等の賃貸につい
て営業活動を行う者を決定せず,各事業者がそれぞれ自主的に営業
活動を行う旨
 ワタキューセイモア(株)ほか4名に対する件(平成5年(勧)第28号)
 5社に対し,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止法
第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき
行ったものである。
 次の事項を取引先である病院に周知徹底させること。
(ア) 平成4年3月11日に行った病院向け寝具等の賃貸に係る単価の引
上げに関する決定を破棄した旨
(イ) 今後,共同して病院向け寝具等の賃貸に係る単価を決定せず,各
事業者がそれぞれ自主的に決める旨
(6) 広島三菱ふそう自動車販売(株)ほか3名に対する件(平成6年(勧)
第1号)


関 係 人
違反事実等
(ア)  関係人4社は,昭和59年9月,普通トラックの需要者向け販売価
格の低落を防止する方策について検討した結果
 普通トラックの需要者向け販売台数については,共同して定め
た各社の販売比率を基に6か月ごとに販売台数の上限(以下「販
売台数枠」という。)を定めること
 広島県の区域で近く受注が見込まれる需要者を公開し,優先的
に受注する者(以下「受注予定者」という。)を決定し,共同して定め
た最低販売価格以上の価格で受注できるよう相互に協力すること
を決定した。
(イ)  4社は,前記(ア)の決定に基づき,昭和59年10月以降
 共同して,各社の販売比率を定め,毎年4月から9月までを上
期,10月から翌年3月までを下期として,各期ごとに予測した広
島県の区域における総需要(以下「予測総需要」という。)に各
社の販売比率を乗じて販売台数枠を定め,予測総需要と実需要と
の乖離状況を把握し,必要に応じて販売台数枠を修正するなどし
て,おおむね販売台数枠を上限として販売し,
 広島県の区域で近く受注が見込まれる需要者を公開し,1社の
みが引き合いを受けていた場合は当該事業者を受注予定者とし,
また,同ーの需要者から2以上の会社が引き合いを受けていた場
合は受注予定者を決定し,共同して定めた最低販売価格以上の価
格で受注予定者が販売できるよう見積価格を調整するなどしてき
た。
(ウ)  本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したところ,4社は,平成5年2月1日,前記(ア)の決定を破棄し
た。
排除措置
 4社に対し,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止法
第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき
行ったものである。
(ア)  次の事項を広島県の区域における普通トラックの需要者に周知徹
底させること。
 昭和59年9月に行った普通トラックの需要者向け販売台数の上
限並びに優先的に受注する者及び需要者向け販売価格に関する決
定を破棄した旨
 今後,共同して,普通トラックの需要者向け販売台数の上限,
優先的に受注すべき者又は需要者向け販売価格を決定せず,各社
がそれぞれ自主的に販売活動を行う旨
(イ)  今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,普通トラッ
クの需要者向け販売台数,優先的に受注すべき者又は需要者向け販
売価格を決定しないこと。
(7) 中国塗料(株)ほか9名に対する件(平成6年(勧)第2号)


関 係 人
違反事実等
(ア)  関係人10社のうち関西ペイント(株)を除く9社(以下「9社」と
いう。)は,船舶用塗料等の営業担当部長級,営業担当課長級等で
種々の会合を設けており,主なものは以下のとおりである。
末 広 会
9社の船舶用塗料等の営業担当部長級の者で構成
さ く ら 会
9社の主として船主向けの船舶用塗料等の営業担当課長級の者等
で構成
花 の 会
9社の主として造船所向けの船舶用塗料等の営業担当課長級の者
で構成
(イ)  平成2年8月にいわゆる湾岸危機が起こり,船舶用シンナーの原
材料となる原油やナフサが品不足となり,価格が高騰したことか
ら,9社は,同年9月28日,東京都千代田区所在の中国塗料(株)の
会議室で開催した末広会において,
 取引先に対する販売価格を,各取引先に対する現行販売価格の
水準を考慮して25%ないし40%引き上げることとし,その旨を同
年10月11日までに取引先に対して申し入れること
 取引先ごとの販売価格引上げの具体的方法等については,さく
ら会及び花の会で打ち合わせること
を決定した。
 9社は,前記決定に基づき,平成2年10月 3日,大阪市北区所在
の日本ペイント(株)の会議室で開催した花の会において,船舶用シ
ンナーの主要造船所向けの需要者渡し価格の引上げ等について検討
し,実施時期を同年10月15日出荷分からとするとともに,需要者ご
との引上げ率等を打ち合わせ,また,同年10月9日,東京都中央区
所在の東京都勤労福祉会館の会議室で開催したさくら会において,
船舶用シンナーの主要船主向けの需要者渡し価格の引上げについて
検討し,実施時期を同年10月15日出荷分からとするとともに,需要
者ごとの引上げ率等を打ち合わせた。
 また,9社は,平成2年10月以降,主要造船所及び主要船主向け
販売について需要者ごとに幹事会社を定めて需要者渡し価格の引上
げ交渉を行うとともに,末広会,さくら会,花の会等の会合におい
て,各社の取引先との販売価格の引上げ交渉の状況について情報交
換を行うなどにより,船舶用シンナーの販売価格をおおむね引き上
げている。
(ウ)  船舶用シンナーと同様に,平成2年8月にいわゆる湾岸危機が起
こり,船舶用塗料の原材料となる原油やナフサが品不足となり,価
格が高騰したことから,9社は,同年10月16日,東京都新宿区所在
の東京塗料会館の会議室で開催した末広会において,
 取引先に対する販売価格を,タールエポキシ,ピュアエポキシ
及び有機錫系防汚塗料については現行の価格の15%,それ以外の
船舶用塗料(非錫防汚塗料を除く。)については同10%、それぞ
れ引き上げること
 実施時期は同年11月1日出荷分からとすること
を決定した。
 9社は,前記決定に基づき,平成2年11月以降,主要造船所及び
主要船主向け販売について需要者ごとに幹事会社を定めて需要者渡
し価格の引上げ交渉を行うとともに,末広会,さくら会,花の会等
の会合において,各社の取引先との販売価格の引上げ交渉の状況に
ついて情報交換を行うなどにより,船舶用塗料の販売価格をおおむ
ね引き上げている。
(エ)  関西ペイント(株)は,後記注の営業の譲受けとともに,前記(ィ)及
び(ウ)の決定を引き継ぎ,船舶用塗料等の造船所向け販売を行ってい
る。
排除措置
 10社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  平成2年9月28日に行った船舶用シンナーの販売価格の引上げに
関する決定及び同年10月16日に行った船舶用塗料の販売価格の引上
げに関する決定を破棄すること。
(イ)  次の事項を取引先である販売店及び需要者に周知徹底させるこ
と。
 前記(ア)に基づいて取った措置
 今後,共同して,船舶用シンナー及び船舶用塗料の販売価格を
決定せず,各社がそれぞれ自主的に決める旨
(ウ)  今後,共同して,船舶用シンナー及び船舶用塗料の販売価格を決
定しないこと
 関西ペイントマリンコーティング(株)は,昭和60年1月に関西ペイ
ント(株)が同社の船舶用塗料等の販売部門を分離して,設立した販売
会社である。その後,平成4年4月に関西ペイントマリンコーティン
グ(株)は,関西ペイント(株)に船舶用塗料等の販売に関する営業のう
ち造船所向け販売に関する営業を譲渡した。これにより,関西ペイン
ト(株)は,それまで関西ペイントマリンゴーティング(株)が行ってい
た自社の製造に係る船舶用塗料等の造船所向け販売を行っている。
(8) (株)明治屋ほか2名に対する件(平成6年(勧)第3号)


関 係 人
違反事実等
(ア)  関係人3社(以下「3社」という。)及び野崎産業(株)(以下
「野崎」という。)は,かねてから,特定コンビーフの販売価格の
低落に対処するための方策等について検討を行ってきたところ,平
成3年6月6日に開催した4社会(平成2年9月ごろ設けた3社及
び野崎の部長又は課長級の者による会合。以下同じ。)において
 各社の希望小売価格を,コンビーフ缶詰100グラム缶は330円
に,同190グラム缶は600円に,ニューコンビーフ缶詰100グラム
缶は190円に,同190グラム缶は320円に,それぞれ引き上げるこ
 各社の流通各段階における建値は,前記希望小売価格に3社及
び野崎で確認した一定率を乗じた額とすること
 希望小売価格及び建値の引上げを遅くとも平成3年9月初めか
ら行うこととし,平成3年6月25日から同年7月5日にかけて,
それぞれ取引先販売業者に通知すること
 希望小売価格及び建値の引上げに伴う販売価格引上げの実効を
確保するため
(a)  3社及び野崎の取引先販売業者に対する最低販売価格は,コ
ンビーフ缶詰100グラム缶は198円以上,ニューコンビーフ缶詰
100グラム缶は105円以上とすること
(b)  量販店等が通常時に販売する小売価格について,コンビーフ
缶詰100グラム缶は318円以上,ニューコンビーフ缶詰100グラ
ム缶は178円以上に設定するよう量販店等と交渉し,その状況
について4社会において情報交換すること
について合意した。
(イ)  3社及び野崎は,前記合意に基づき,それぞれ,自己の取引先販
売業者に対し希望小売価格及び建値の引上げについて通知するとと
もに,必要に応じ,自ら量販店等と価格引上げ交渉を行いつつ,4
社会において,その状況について情報交換を行うなどして,特定コ
ンビーフの販売価格をおおむね引き上げている。
排除措置
 3社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  3社は,平成3年6月6日に行った特定コンビーフの販売価格の
引上げに関する合意を破棄すること。
(イ)  3社は,次の事項を前記製品の販売業者及び一般消費者に周知徹
底させること。
 前記合意を破棄したこと
 今後,共同して,前記製品の価格を決定せず,各社がそれぞれ
自主的に決める旨
(9) 京浜貿易(株)ほか6名に対する件(平成6年(勧)第4号)


関 係 人

違反事実等
(ア)  関係人7社は,細切塩メンマの販売価格が下落傾向にあったこ
と,原料である乾燥メンマの価格が引き上げられる見通しとなった
ことから,平成4年9月11日,東京都中央区所在の料飲店「とよ
田」で開催した各社の営業責任者級の者で構成するメンマ懇話会と
称する会合(以下「懇話会」という。)において
 直販業者に対する標準品の販売価格を
(a)  当面,1袋当り800円に達していないものについては,最低
800円に値戻しすること
(b)  平成4年10月以降の受注分から1袋当り850円以上を目途に
引き上げること
 直販業者に対する販売価格の引上げを容易にするため,7社連
盟で業界紙に販売価格の引上げの必要性に関する広告を掲載する
こと
を決定した。
(イ)  7社は,前記決定に基づき,業界紙に7社連盟の広告を掲載する
とともに,直販業者に標準品の販売価格の引上げを通知し,直販業
者に対する標準品の販売価格をおおむね引き上げていた。
(ウ)  平成4年11月以降開催された懇話会に出席していなかった丸松物
産(株)を除く6社は,平成5年4月14日,東京都新宿区所在の料飲
店「甍」で開催した懇話会において,前記(ア)の決定を破棄すること
及び懇話会を解散することを決定した。
 また,丸松物産(株)は,同日前記決定内容の連絡を受け,これに
賛同した。
排除措置
 7社に対して,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は 勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止法
第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき.
行ったものである。
 平成4年9月11日に行った標準品の販売価格の引上げに関する決
定を破棄した旨及び今後,共同して,標準品の販売価格を決定せ
ず,各社がそれぞれ自主的に決める旨を標準品の直販業者及び需要
者に周知徹底させること。
(10) (株)五星ほか24名に対する件及び青葉工業(株)ほか11名に対する件
(平成6年(勧)第5号及び第6号)


関 係 人


違反事実等
 (株)五星ほか24名に対する件(平成6年(勧)第5号)
(ア)  関係人25社のうち24社は,遅くとも平成2年4月1日以降,1社は
遅くとも平成3年4月1日以降,香川県土木部発注の特定測量等業
務について,受注価格の低落防止及び受注機会の均等化を図るため
 同県土木部から指名競争入札の参加の指名を受けたときは,指
名を受けた者が参加する研究会,調整会等と称する会合を開催す
るなどして,次の方法により受注予定者を決定する
(a)  当該物件に関して営業活動の実績があること,当該物件に関
連する過去の受注実績があること等の事情を有する者が1名の
ときは,その者を受注予定者とし,前記事情を有する者が複数
のときは,それらの者の間の話合いにより受注予定者を決定す
る。
(b)  前記事情を有する者がいないときは,陸上構造物の設計業務
にあっては点数制により,同業務以外のものにあっては受注を
希望する者の間の話合いにより,受注予定者を決定する
 受注すべき価格は,受注予定者が決め,受注予定者以外の者
は,受注予定者がその定めた価格で受注することができるように
協力する
旨の合意の下に,あらかじめ,受注予定者を決定し,受注予定者が
受注できるようにしていた。
(イ)  関係人25社は 前記(ア)により,香川県土木部発注の特定測量等業
務のほとんどすべてを受注していた。
(ウ)  本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したところ,平成6年1月27日,関係人25社のうち22社が会合を開
催し,同会合において,前記合意に基づき受注予定者を決定する行
為を行わない旨の決定を行ったこと等により,25社は同日以降,同
合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるように
する行為を取りやめている。
 青葉工業(株)ほか11名に対する件(平成6年(勧)第6号)
(ア)
 関係人12社は,かねてから,香川県及び同県内の市町(以下
「香川県等」という。)発注の特定地質調査業務の受注価格の低
落防止及び受注機会の均等化を図るための方策について検討して
きたところ,平成2年1月23日に開催した営業実務責任者の会合
において
(a)  香川県等から指名競争入札の参加の指名を受けたときは,次
の方法により受注予定者を決定すること
 当該物件に関して営業活動の実績があること,当該物件に
関連する過去の受注実績があること等の事情を有する者はそ
の旨を他の指名を受けた者に連絡する
ii  前記事情を有する者が1名のときは,その者を受注予定者
とし,前記事情を有する者が複数のときは,指名を受けた者
が参加する研究会等と称する会合を開催するなどして話合い
により受注予定者を決定する
iii 前記事情を有する者がいないときは,ローテーションと称
する点数制により受注予定者を決定する
(b)  受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者
は,受注予定者がその定めた価格で受注することができるよう
に協力すること
を決定した。
 関係人12社は,前記(a)の決定に基づき,香川県等発注の特定地
質調査業務について,あらかじめ,受注予定者を決定し,受注予
定者が受注できるようにしていた。
(イ)  関係人12社は,前記(ア)により,香川県等発注の特定地質調査業務
のほとんどすべてを受注していた。
(ウ)  本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したところ,平成6年1月20日,関係人12社のうち10社が会合を開
催し,同会合において,前記(ア)aの決定を破棄する旨の決定を行っ
たこと等により,12社は同日以降,前記(ア)aの決定に基づき受注予
定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめ
ている。
排除措置
 (株)五星ほか24名に対する件(平成6年(勧)第5号)
 25社に対して,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止法
第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき
行ったものである。
 関係人25社は,次の事項を香川県土木部に通知すること。
(a)  遅くとも平成2年4月1日以降(1社にあっては遅くとも平成
3年4月1日以降)行っていた,香川県土木部発注の特定測量等
業務について受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるよう
にしていた行為を取りやめている旨
(b)  今後,共同して,特定測量等業務について,受注予定者を決定
せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
 関係人25社は,今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同し
て,香川県土木部が競争入札の方法により発注する特定測量等業務
について,受注予定者を決定しないこと。
 青葉工業(株)ほか11名に対する件(平成6年(勧)第6号)
 12社に対して,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止法
第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき
行ったものである。
 次の事項を香川県及び指名競争入札の方法により地質調査業務を
発注している同県内の市町に通知すること。
(a)  香川県等発注の特定地質調査業務について,平成2年1月23日
に行った受注予定者に関する決定に基づき受注発注者を決定し,
受注予定者が受注できるようにしていた行為を取りやめている旨
(b)  今後,共同して,特定地質調査業務について,受注予定者を決
定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,香川県等が
競争入札の方法により発注する特定地質調査業務について,受注予
定者を決定しないこと。
(11) 旭化学工業(株)ほか39名に対する件(平成6年(勧)第7号)


関 係 人


違反事実等
(ア)  関係人40社は,遅くとも平成元年4月1日(一部の者にあっては
平成2年12月21日~平成4年10月12日)以降,仙台市三部局(①仙
台市財政局(同市青葉区(宮城総合支所を除く。),同市宮城野区,
同市若林区及び同市太白区(秋保総合支所を除く。)を含む。),②
仙台市水道局 ③仙台市ガス局)が指名競争入札等の方法により発
注する塗装工事について,受注機会の均等化を図るため
 仙台市三部局から指名競争入札等の参加の指名を受けた場合
は,発注部局別に予想発注金額により5ランクに分けた区分ごと
に,指名点数 (指名実績を基に,あらかじめ定めた一定の方法に
より算出した点数をいう。)の最も高い者(指名点数の最も高い
者が複数のときは前回の受注時期の最も古い者)を当該発注に係
る塗装工事を受注すべき者(以下「受注予定者」という。)とする
 受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者
は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
 前記a又はbに違反し秩序を乱した者に対して,一定のペナル
ティを科すこととする
旨の合意の下に,あらかじめ受注予定者を決定し,受注予定者が受
注できるようにしていた。
(イ)  40社は,前記(ア)により,仙台市三部局発注の塗装工事のほとんど
すべてを受注していた。
(ウ)  本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したところ,平成5年3月17日,仙台市青葉区所在のホテルの会議
室で40社のうち24社の代表者が出席して開催された会合において,
前記(ア)の合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注でき
るようにする行為を行わない旨の申合せが行われたこと等により,
40社は,事実上,前記(ア)の合意に基づき受注予定者を決定すること
等の行為を継続することができなくなったため,同日以降,同合意
に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする
行為を取りやめている。
排除措置
 40社に対して,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止法
第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき
行ったものである。
(ア)  遅くとも平成元年4月1日(一部の者にあっては平成2年12月21
日~平成4年10月12日)以降行っていた,仙台市三部局が指名競争
入札等の方法により発注する塗装工事について受注予定者を決定
し,受注予定者が受注できるようにしていた行為を取りやめた旨を
確認すること。
(イ)  次の事項を仙台市三部局に通知すること。
 仙台市三部局が指名競争入札等の方法により発注する塗装工事
について受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにし
ていた行為を取りやめた旨
 今後,共同して,仙台市三部局が指名競争入札等の方法により
発注する塗装工事について,受注予定者を決定せず,各社がそれ
ぞれ自主的に受注活動を行う旨
(ウ)  今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,仙台市三部
局が競争入札又は指名見積り合わせの方法により発注する塗装工事
について,受注予定者を決定しないこと。
(12) 旭化学工業(株)ほか51名に対する件及び大沢塗装(株)ほか33名に対す
る件(平成6年(勧)第8号及び第9号)


関 係 人




違反事実等
旭化学工業(株)ほか51名に対する件(平成6年(勧)第8号)
(ア)
 違反行為の対象となった塗装工事は,宮城県大河原土木事務
所,同県仙台土木事務所,同県仙台東土木事務所,同県古川土木
事務所,同県築館土木事務所,同県迫土木事務所,同県石巻土木
事務所及び同県気仙沼土木事務所(以下「8土木事務所」とい
う。)が指名競争入札の方法により発注する橋梁,歩道橋等の塗
装工事(土木事務所の出先機関であるダム管理事務所が発注する
もの及びダム管理事務所の管理施設に係るものを除く。以下「8
土木事務所発注の特定塗装工事」という。)である。
 関係人52社は,遅くとも平成元年4月1日(一部の者にあって
は平成4年8月20日)以降,8土木事務所発注の特定塗装工事に
ついて,受注機会の均等化を図るため
(a)  8土木事務所から指名競争入札の参加の指名を受けた場合
は,予想発注金額により特大工事,大工事,中工事,小工事及
び雑工事の5ランクに区分し,難工事を除き,それぞれの区分
ごとに指名点数(指名実績を基に,あらかじめ定めた一定の方
法により算出した点数をいう。)の最も高い者(指名点数の最
も高い者が複数のときは,前回の受注後の指名が最も古い者)
を当該発注に係る塗装工事を受注すべき者(以下「受注予定
者」という。)とする
(b)  雑工事については,指名を受けた者の話合いにより受注予定
者を決定する
(c)  受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者
は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,あらかじめ受注予定者を決定し,受注予定者が
受注できるようにしていた。
 52社は,前記bにより,8土木事務所発注の特定塗装工事の大
部分を受注していた。
 本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を関
始したところ,平成5年3月17日,仙台市青葉区所在のホテルの
会議室で52社のうち14社の代表者が出席して開催された会合にお
いて,前記bの合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が
受注できるようにする行為を行わない旨の申合せが行われ,次い
で,平成6年2月15日,仙台市青葉区所在のホテルの会議室で52
社のうち33社(前記14社のうちの2社を含む。)の代表者等が出
席して開催された会合において,前記bの合意に基づき受注予定
者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を行わない
旨の申合せが行われたこと等により,52社は,事実上,前記bの
合意に基づき受注予定者を決定すること等の行為を継続すること
ができなくなったため,平成6年2月15日以降,同合意に基づき
受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を
取りやめている。
大沢塗装(株)ほか33名に対する件(平成6年(勧)第9号)
(ア)
 違反行為の対象となった塗装工事は,宮城県大崎広域水道事務
所(以下「大崎広域水道事務所」という。)が指名競争入札の方
法により発注する水管橋,建築物等の塗装工事(以下「塗装工
事」という。)である。
 関係人34社は,遅くとも平成元年4月1日(一部の者にあって
は平成元年9月12日~平成3年9月9日)以降,大崎広域水道事
務所が発注する塗装工事について,受注機会の均等化を図るため
(a)  大崎広域水道事務所から指名競争入札の参加の指名を受けた
場合は,予想発注金額により特大工事,大工事,中工事,小工
事及び雑工事の5ランクに区分し,雑工事を除き,それぞれの
区分ごとに指名点数(指名実績を基に,あらかじめ定めた一定
の方法により算出した点数をいう。)が最も高い者(指名点
数の最も高い者が複数のときは,前回の受注後の指名が最も古
い者)を当該発注に係る塗装工事を受注すべき者(以下「受注
予定者」という。)とする
(b)  雑工事については,指名を受けた者の話合いにより受注予定
者を決定する
(c)  受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者
は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,あらかじめ受注予定者を決定し,受注予定者が
受注できるようにしていた。
 34社は,前記bにより,大崎広域水道事務所発注の塗装工事の
大部分を受注していた。
 本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開
始したところ,平成5年3月17日,仙台市青葉区所在のホテルの
会議室で34社のうち7社の代表者が出席して開催された会合にお
いて,前記bの合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が
受注できるようにする行為を行わない旨の申合せが行われ,次い
で,平成6年2月15日,仙台市青葉区所在のホテルの会議室で34
社のうち28社(前記7社のうちの2社を含む。)の代表者が出席
して開催された会合において,前記bの合意に基づき受注予定者
を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を行わない旨
の申合せが行われたこと等により,34社は,事実上,前記bの合
意に基づき受注予定者を決定すること等の行為を継続することが
できなくなったため,平成6年2月15日以降,同合意に基づき受
注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取
りやめている。
排除措置
旭化学工業(株)ほか51名に対する件(平成6年(勧)第8号)
 52社に対して,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止法
第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき
行ったものである。
(ア)  遅くとも平成元年4月1日(一部の者にあっては平成4年8月20
日)以降行っていた,8土木事務所発注の特定塗装工事について,
受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた行為
を取りやめていることを確認すること。
(イ)  次の事項を8土木事務所に通知すること。
 8土木事務所発注の特定塗装工事について,受注予定者を決定
し,受注予定者が受注できるようにしていた行為を取りやめてい
る旨
 今後,共同して,8土木事務所発注の特定塗装工事について,
受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う
(ウ)  今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,8土木事務
所発注の特定塗装工事について,受注予定者を決定しないこと。
 大沢塗装(株)ほか33名に対する件(平成6年(勧)第9号)
34社に対して,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止法
第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき
行ったものである。
(ア)  遅くとも平成元年4月1日(一部の者にあっては平成元年9月12
日~平成3年9月9日)以降行っていた,大崎広域水道事務所が発
注する塗装工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が受
注できるようにしていた行為を取りやめていることを確認するこ
と。
(イ)  次の事項を大崎広域水道事務所に通知すること。
 大崎広域水道事務所が発注する塗装工事について,受注予定者
を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた行為を取りや
めている旨
 今後,共同して,大崎広域水道事務所が発注する塗装工事につ
いて,受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動
を行う旨
(ウ)  今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,大崎広域水
道事務所が発注する塗装工事について,受注予定者を決定しないこ
と。
独占禁止法第8条第1項第1号違反事件
(1) (社)沖縄県ビルメンテナンス協会に対する件(平成5年(勧)第io号)


関 係 人
違反事実等
(ア)
 (社)沖縄県ビルメンテナンス協会(以下「協会」という。)
は,昭和57年7月23日に開催した理事会において,官公庁等が指
名競争入札等の方法により発注する沖縄地区の環境衛生管理業務
について
(a)  官公庁等が指名競争入札等の方法により発注する環境衛生管
理業務のうち会員が既に受注して契約している物件(以下「既
存契約物件」という。)については,次回の指名競争入札等の
際,当該会員を受注すべき者(以下「受注予定者」という。)
とする           
(b)  官公庁等が新規に指名競争入札等の方法により発注する環境
衛生管理業務については,指名を受けた会員間の話合いにより
受注予定者を定める
(c)  受注予定者以外の指名を受けた会員は,受注予定者からその
入札価格の連絡を受け,当該価格より高い価格で入札すること
により受注予定者が受注できるように協力する
旨の決定を行い,会員に通知した。
 協会は,昭和62年2月18日に開催した理事会において前記決定
事項の実効を確保するため
(a)  受注予定者以外の会員が入札価格の誤記により落札した場
合,その会員は,受注予定者に対し,当該落札物件を受注する
ことによって得られる利益相当額を支払うなどの対応を行う
(b)  受注予定者以外の会員が前記決定事項に故意に反して落札し
た物件については,他の会員は完済保証人(落札業者のために
受注業務の履行を保証する者)にならず,また,当該物件は次
回の指名競争入札等の際,落札した会員の既存契約物件とは取
り扱わない
旨の決定を行い,会員に通知した。
 協会は,前記a及びbの決定に基づき,会員に受注予定者を定
めさせ,受注予定者が受注できるようにさせていた。
(イ)
 協会は,平成元年10月6日に開催した理事会において沖縄県が
県庁本庁舎の新設に伴い発注する環境衛生管理業務について,
受注価格の低落防止等を図るための方策について検討し,会員
が共同して受注できるようにするため
(a)  沖縄県ビルメンテナンス協同組合(以下「協同組合」とい
う。)を受注予定者とする
(b)  会員は,沖縄県に対して個別に受注活動を行わない
(c)  協同組合が受注できるように沖縄県に陳情する
旨の決定を行い,会員に通知した。
 協会は 沖縄県が発注する県庁本庁舎の環境衛生管理業務につ
いて,協同組合をして,実質的に沖縄県の指名競争入札参加資格
を有する会員であって協同組合に加入していない者すべてを加入
するようにさせるとともに,前記aの決定に基づき,実質的に沖
縄県の指名競争入札参加資格を有する会員が個別に受注活動を行
わないようにさせた。
(ウ)  協会の会員は,前記(ア)cにより官公庁等が指名競争入札等の方法
により発注する沖縄地区の環境衛生管理業務の大部分を受注してい
た。また,協同組合は,前記(イ)bにより沖縄県が発注する県庁本庁
舎の環境衛生管理業務を受注し,組合員である会員は,協同組合か
ら配分された当該業務を受注していた。
(エ)  本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したところ,協会は,平成5年3月4日に開催した理事会において,
協同組合をして,実質的に沖縄県の指名競争入札参加資格を有する
会員であって前記(ア)a及びb並びに(イ)aの決定を破棄する旨の決定
を行った。
排除措置
 協会に対し,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止法
第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき
行ったものである。
(ア) 次の事項を会員及び沖縄地区の環境衛生管理業務を発注している
官公庁等に通知すること。
 官公庁等が指名競争入札等の方法により発注する沖縄地区の環
境衛生管理業務について,昭和57年7月23日及び昭和62年2月18
日に行った会員に受注予定者を定めさせるなどの決定を破棄した
 沖縄県が発注する県庁本庁舎の環境衛生管理業務について,平
成元年10月6日に行った協同組合を受注予定者とするなどの決定
を破棄した旨
 今後,官公庁等が発注する沖縄地区の環境衛生管理業務につい
て,会員に受注予定者を定めさせる行為をせず,また,受注予定
者を決定せず,会員がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
(イ) 今後,官公庁等が発注する沖縄地区の環境衛生管理業務につい .
て,会員に受注予定者を定めさせる行為をせず,また,受注予定者
を決定する行為をしないこと。
独占禁止法第8条第1項第3号及び第5事件
滋賀生コンクリート工業組合に対する件(平成5年(勧)第23号)
関 係 人
違反事実等
(ア)  滋賀生コンクリート工業組合(以下「滋賀生コン工組」とい
う。)は,大津生コンクリート協同組合(以下「大津生コン協組」
という。),湖東生コンクリート協同組合(以下「湖東生コン協組」
という。)及び湖北生コンクリート協同組合(以下「湖北生コン協
組」という。)ら生コン協組の共販事業を維持,強化すること等を
目的として,昭和60年5月24日開催した通常総会において,滋賀生
コン工組の非組合員(以下「非組合員」という。)の生コンの製造
設備を買上げ廃棄し,又は新増設の計画についてはその中止を求め
る旨を同組合の方針として決定し,以後同方針に基づき次のとおり
これを実施している。
 大津生コン協組及び湖東生コン協組の地区内において生コンの
製造設備を有し生コンの製造販売を行っていた非組合員6名の製
造設備について,昭和62年12月から平成2年3月にかけて同設備
を買上げ廃棄するとともに,買上げに際し,今後生コンの製造販
売を行ってはならない旨の条件を付した。
 大津生コン協組の地区内において滋賀県建設業協同組合(以下
「建設協組」という。)の組合員である建設業者が生コン製造設
備を共同して設置し,生コンの製造販売を行おうとした2つの計
画について,これが実現した場合生コン協組の生コンの販売量が
大幅に減少するとともに同様の計画が今後続出し,ひいては共販
事業の存続そのものに重大な影響を与えるとの判断のもとに,昭
和61年9月に開催した 滋賀生コン工組の臨時総会に相当する全
オーナー会議と称する会合及び昭和63年2月に開催した理事会に
おいてその計画の中止を求めることを決定するとともに,代表理
事等を交渉担当者として繰り返し中止を求め,もって同計画を中
止させた。
 非組合員が存在しない湖北生コン協組の地区内に非組合員が新
たに生コンの製造設備を設置し,生コンの製造販売を行おうとし
て土地の購入を契約したことについて,この非組合員の同地区内
における生コン製造業への進出を防止するため,平成4年10月,
土地所有者に代わって解約金を負担するなどして同契約を解約さ
せた上,自ら同土地を買い上げた。
(イ)
 滋賀生コン工組は,建設協組の組合員である建設業者が非組合
員からも生コンを購入していることに対処するため,平成3年7
月23日に開催した理事会において,生コン協組が実施している共
販事実に関し,建設協組の組合員に対する割戻しは全量生コン協
組から購入することが条件であるとし,非組合員からも生コンを
購入している建設協組の組合員については1立方メートル当たり
1,200円の割戻しを行わず,一般扱いとすることを決定し,同決
定を生コン協組をして実施させることとするとともに,この旨を
建設協組に通知している。
 生コン協組は,前記決定を受けて,それぞれ,平成3年8月に
開催した理事会等において同決定を実施することとするととも
に,必要に応じて建設協組の組合員の生コンの使用状況を調査
し,非組合員の生コンを使用していた建設協組の組合員について
は,自ら又は卸協組(滋賀県南西部生コン卸商協同組合,湖東生
コンクリート販売協同組合又は滋賀県北部生コンクリート販売協
同組合)を通じ一般扱いにする旨を建設協組に通知するなどによ
り,建設協組の組合員が非組合員の生コンを購入しないようにさ
せている。
排除措置
滋賀生コン工組に対して,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  同工業組合の非組合員の生コン製造設備を買上げ廃業し,又は新
増設の計画についてはその中止を求める旨の方針の決定を破棄する
とともに,買上げに際し付した今後生コンの製造販売を行ってはな
らない旨の条件を撤回すること。
(イ)  平成3年7月23日に行った,建設協組の組合員が同工業組合の非
組合員から生コンを購入する場合には割戻しを行わない旨の決定を
破棄すること。
(ウ)  今後,方法のいかんを問わず,同工業組合の非組合員の生コン製
造設備の設置又は稼働を制限する行為及び需要者に対し同工業組合
の非組合員の生コンを購入しないようにさせる行為を行わないこ
と。
(エ)  前記に基づいて採った措置を組合員並びに大津生コン協組,湖東
生コン協組及び湖北生コン協組並びに滋賀県における生コンの製造
業者,販売業者及び需要者に周知徹底させること。
独占禁止法第19条違反事件
(1) 理想科学工業(株)に対する件(平成5年(勧)第11号)
関 係 人
違反事実等
(ア)  理想科学工業(株)(以下「理想科学」という。)は,昭和55年10
月1日,販売業者を通じたサプライ商品(リソグラフの商標を付し
た孔版方式の印刷機に使用されるマスターと称する原版及びインク
をいう。)の供給を開始するに際し,適正な市場価格の安定,アフ
ターサービスの徹底等を内容とする販売方針を策定し,以後,販売
業者と取引を開始するに際し,あらかじめこの方針を伝え,その趣
旨に賛同して同社に同意書を提出した者を取引先として選定してい
る。
(イ)
 理想科学は,販売業者を通じたサプライ商品の供給開始時に選
定した取引先販売業者に対し,昭和55年10月ごろ,原則として同
社の定める需要者向け希望販売価格(以下「希望販売価格」とい
う。)でサプライ商品を需要者に販売するようにすることが同社
の方針である旨を文書で通知し,その後,逐次選定した販売業者
と取引を開始する際に,口頭で,原則として希望販売価格でサプ
ライ商品を需要者に販売するように要請している。また,同社
は,必要の都度,取引先販売業者に対し,口頭で同様の要請を行
うとともに二次販売業者にも前記方針を順守させるよう要請して
いる。
 理想科学は,取引先販売業者が前記aの要請を受け入れるよう
にさせるため,同社が主催する地区販売店会議において,取引先
販売業者に対し,原則として希望販売価格でサプライ商品を販売
する方針の確認,主要な需要者に対する値引限度の選定等の措置
を講じさせている。
 理想科学が地区販売店会議において講じさせている措置を例示
すると,次のとおりである。
(a)  昭和56年6月16日に開催した東京都多摩地区販売店会議にお
いて,希望販売価格でサプライ商品を販売する旨を確認させ
た。
(b)  昭和62年8月6日に開催した山梨地区販売店会議において,
主要な需要者に対してサプライ商品を値引販売する場合には,
その限度を希望販売価格の5パーセント引きまでとする旨を取
り決めさせた。
(c)  平成3年2月7日に開催した京都地区販売店会議において,
二次販売業者サプライ商品の値引販売をしないよう指導する旨
を確認させた。
(d)  平成3年9月12日に開催した埼玉地区販売店会議において,
原則として希望販売価格でサプライ商品を販売すること,主要
な需要者である官公庁に対しては,一本当たりの希望販売価格
5,800円のマスターを5,600円,同3,000円のインクを2,900円で
販売すること等を取り決めさせた。
(ウ)
 理想科学は,原則として需要者にリングラフを販売した販売業
者のみが当該需要者にサプライ商品を販売するようにさせるた
め,取引を開始するに際して販売業者との間で締結する「商品売
買取引基本契約書」において,取引先販売業者は,他の者がリン
グラフを販売した需要者からサプライ商品の供給を求められた場
合には,当該他の者にその旨を取り次ぐこととする旨の条項を設
けることにより,取引先販売業者に対し,他の者がリングラフを
販売した需要者にサプライ商品の販売を行わないようにさせてい
る。
 理想科学は,前記aの実効を確保するため,他の者がリングラ
フを販売した需要者にサプライ商品を販売した取引先販売業者に
対し,当該他の者からサプライ商品を買い取らせるなどの措置を
講じている。
 理想科学が講じている措置を例示すると,次のとおりである。
(a)  他の販売業者がリングラフを販売した需要者にサプライ商品
を販売した北海道地区の取引先販売業者に対し,平成2年1月
ごろ,その販売数量に相当するサプライ商品を,希望販売価格
で当該他の販売業者から購入させた。
(b)  理想科学札幌支店の顧客である需要者と平成2年度における
サプライ商品の単価契約を締結し,サプライ商品を販売するこ
ととした取引先販売業者に対し,平成3年3月ごろ,当該需要
者に対する同支店の平成元年度販売実績に相当するサプライ商
品を,取引先販売業者が理想科学から通常仕入れる価格より高
い希望販売価格の20パーセント引きの価格で同支店から購入さ
せた。
(エ)  理想科学の前記(ア)ないし(ウ)の行為により,取引先販売業者は,おお
むね,希望販売価格又は希望販売価格に近似した価格でサプライ商
品を販売しており,また,二次販売業者が希望販売価格でサプライ商
品を販売するようにさせているとともに,他の者がリングラフを販
売した需要者にはサプライ商品の販売を行わないようにしている。
排除措置
 理想科学に対して,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  サプライ商品の販売に関し,取引先販売業者に対し,原則として
希望販売価格で需要者に販売すること及び二次販売業者に希望販売
価格で販売するようにさせることを要請し,取引先販売業者に当該
要請を受け入れるようにさせている行為を取りやめること。
(イ)  取引を開始するに際して取引先販売業者との間で締結している
「商品売買基本契約書」のうち,販売業者のサプライ商品の販売先
の制限に関する条項を削除するとともに,他の者がリソグラフを販
売した需要者にサプライ商品を販売した取引先販売業者に対し,当
該他の者からサプライ商品を買いとらせるようにしている行為を取
りやめること。
(ウ)  次の事項をサプライ商品の取引先販売業者及び需要者に周知徹底
させるとともに,前記(ア)に基づいて採った措置及び次のbに掲げる
事項を二次販売業者に周知徹底させること。
 前記(ア)及び(イ)に基づいて採った措置
 サプライ商品の希望販売価格は,単なる参考価格であって,取
引先販売業者及び二次販売業者の販売価格の自由な決定を拘束す
るものでない旨
 取引先販売業者は,需要者に自由にサプライ商品を販売するこ
とができる旨
(エ)  同社は,今後,前記(ア)と同様の行為により,取引先販売業者及び
二次販売業者の需要者に対するサプライ商品の販売価格を制限しな
いこと。また,前記(イ)と同様の行為により,取引先販売業者のサプ
ライ商品の販売先について制限しないこと。
(2) 佐藤製薬(株)に対する件(平成5年(勧)第12号)
関 係 人
違反事実等
(ア)  佐藤製薬(株)(以下「佐藤製薬」という。)は,ユンケル黄帝L
について,昭和63年1月以降指定商品(独占禁止法第24条の2第1
項の規定により,当委員会の指定を受け再販売価格の維持につき独
占禁止法の規定の適用が除外される商品)ではなくなったにもかか
わらず,引き続き取引先小売業者と締結する再販売価格維持契約に
基づいて,取引先小売業者に対し再販小売価格と称する価格で販売
するよう指示している。
(イ)  佐藤製薬は,ユンケル黄帝ゴールド及びユンケルDについて,平
成2年2月ごろから,小売業者と取引を開始する際又は営業担当者
が取引先小売業者を訪問し若しくは佐藤協力会の部会を開催した際
に,これらの小売業者に対し,希望小売価格と称する価格で販売す
ることを要請するとともに,併せて,新聞折込みチラシ,店舗内の
ポスター,値札等において希望小売価格より低い価格を表示しない
こと及び他の小売業者等に転売しないことを要請している。
(ウ)  佐藤製薬は,取引先小売業者に前記(ア)の指示を遵守させ,前記(イ)
の要請を受け入れるようにさせるため,次の措置を講じている。
 ユンケル薫帝L,ユンケル蓑帝ゴールド及びユンケルD(以下
「ユンケル3品目」という。)を再販小売価格又は希望小売価格
(以下「希望小売価格等」という。)で販売していない取引先小
売業者に対し,希望小売価格等で販売しなければ,ユンケル3品
目その他の同社製品の出荷を制限し,又は優待金の支払いを保留
する等の措置を採る旨申し入れ,これに従わない取引先小売業者
に対し,必要に応じ,同社製品の出荷を制限し,又は優待金の支
払いを保留するなどの措置を採っている。
 取引先小売業者がユンケル3品目について新聞折込みチラシ,
店舗内のポスター,値札等において希望小売価格等より低い価格
を表示している場合には,これを取りやめるよう申し入れてい
る。
 ユンケル黄帝ゴールド及びユンケルDの外箱に付された流通
ロット番号を利用して,これらの製品の転売の実態を調査し,転
売した取引先小売業者に対し,転売を取りやめなければユンケル
3品目その他の同社製品の出荷を制限するなどの措置をとる旨申
し入れ,これに従わない取引先小売業者に対し,必要に応じ,同
社製品の出荷を制限するなどの措置を採っている。
 エレクトロニクス・オーダリング・システム(EOS)と称す
る発注方式により取引先小売業者がユンケル3品目を発注する場
合,その発注データに含まれている実売価格が希望小売価格等と
異なっているものについては,ユンケル3品目の出荷を制限して
いる。
 なお,ユンケル黄帝ゴールド及びユンケルDについては,平成
4年7月以降本措置の対象にしていない。
 ユンケル3品目について希望小売価格等で販売していない取引
先小売業者及び転売をする取引先小売業者に対するユンケル3品
目の出荷を継続的に管理するため,これらの小売業者をX店又は
RX店として登録しユンケル3品目の出荷を制限している。
(エ)  佐藤製薬は,前記(ア)ないし(ウ)により,取引先小売業者に対し,お
おむねユンケル3品目を希望小売価格で販売するようにさせている。
排除措置
 佐藤製薬に対して,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  同社が取引先小売業者と締結する再販売価格維持契約の対象商品
からユンケル黄帝Lを削除し,同製品の販売に関し,取引先小売業
者に対し,再販売小売価格で販売するようにさせている行為を取り
やめること。
(イ)  ユンケル黄帝ゴールド及びユンケルDの販売に関し,取引先小売
業者に対し,希望小売価格で販売するように要請し,これを受け入
れるようにさせている行為を取りやめること。
(ウ)  次の事項を同社の役員及び従業員並びに取引先小売業者及び一般
消費者に周知徹底させること。
 前記(ア)及び(イ)に基づいて採った措置
 ユンケル3品目の希望小売価格等は,単なる参考価格であっ
て,取引先小売業者の販売価格の自由な決定を拘束するものでは
ない旨
(エ)  今後,ユンケル3品目について,前記(ア)及び(イ)の行為と同様の行
為により,取引先小売業者の販売価格を制限しないこと。
(3) (株)アライヘルメットに対する件(平成5年(勧)第14号)


関 係 人
違反事実等
(ア)  (株)アライヘルメット(以下「アライ」という。)は,平成2年
3月ごろ,有力な代理店の一部から,アライ製品(乗車用ヘルメッ
ト)の小売価格を維持するための対策を実施するよう要請を受けた
ため,代理店会議の司会役に依頼した代理店とあらかじめ同会議に
おいて協議する事項を打ち合わせた上,平成2年4月24日,代理店
及び主要な二次卸売業者を招集して開催した代理店会議において,
代理店に対し,小売業者にアライ製品をアライの定めたメーカー希
望小売価格の10パーセント引きの価格(以下「値引き限度価格」と
いう。)を下回る価格で販売しないようにさせることを提案し,同
提案を実施することについて取引先代理店の了解を取り付けた。
(イ)  前記代理店会議以降アライ製品の実勢小売価格はほぼ安定してい
たものの,平成4年6月に関東地区及び関西地区のディスカウント
店の一部がアライ製品を値引き限度価格を大幅に下回る価格で販売
したことから,アライは,これに対処するため,代理店会議の司会
役に依頼した代理店とあらかじめ同会議において協議する事項を打
ち合わせた上,同年7月22日に代理店及び主要な二次卸売業者を招
集して開催した代理店会議において,代理店に対し,前記(ア)の了解
事項を再確認させるとともに,小売業者に値引き限度価格を下回る
価格で販売しないようにさせるための具体策を検討するよう要請
し,代理店から
 小売業者がアライ製品を値引き限度価格を下回る価格で販売し
ないよう,代理店の責任で小売業者を指導すること
 ディスカウント店がアライ製品を値引き限度価格を下回る価格
で販売している場合には,当該ディスカウント店に同製品を直接
又は間接に供給した代理店が買い取ること
の対策を講ずる旨の了解を取り付けた。
(ウ)  アライは,値引き限度価格の維持の実効を確保するため,自ら,
次のa又はbの措置を講じているほか,前記(ア)及び(イ)の了解に基づ
き,代理店をして,次のb又はcの措置を講じさせている。
 小売業者がアライ製品を値引き限度価格を下回る価格で販売し
た場合に,製造番号を利用して当該製品を供給した代理店を調査
し,当該代理店に対し,当該小売業者の販売価格を値引き限度価
格までの価格にさせるよう指導する旨注意すること。
 アライ製品を値引き限度価格を下回る価格で販売している小売
業者に対し,値引き限度価格までの価格に改めさせること。
 ディスカウント店がアライ製品を値引き限度価格を下回る価格
で販売している場合に,当該ディスカウント店から同製品を買い
取り,又は当該ディスカウント店に販売した二次卸売業者に対す
る出荷を停止し,若しくは当該二次卸売業者をして当該ディスカ
ウント店への出荷を停止させること。
排除措置
 アライに対して,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  アライ製品の販売に関し,代理店をして,小売業者に同社の定め
たメーカー希望小売価格の10パーセント引きの価格を下回る価格で
販売しないようにさせている行為を取りやめること。
(イ)  前記(ア)に基づいて採った措置をアライ製品の取扱い販売業者及び
需要者に周知徹底させること。
(ウ)  今後,アライ製品の販売に関し,前記(ア)の行為と同様の行為によ
り,小売業者の販売価格を制限しないこと。
(4) 昭栄化工(株)に対する件(平成5年(歓)第15号)


関 係 人
違反事実等
(ア)  昭栄化工(株)(以下「昭栄」という。)は,平成2年ごろから,
同社製品(乗車用ヘルメット)の小売価格を同社の定めたメーカー
希望小売価格の10パーセント引きの価格(以下「値引き限度価格」
という。)に維持する方針を定め,逐次開催した昭栄会において代
理店にその方針を伝えることにより,小売価格の維持を図ってきた
ところ,さらに,その徹底を図るため,平成4年7月16日に昭栄会
を開催し,代理店に対し,小売業者に値引き限度価格を下回る価格
で販売しないようにさせること及び値引き限度価格を下回る価格で
販売する小売業者に昭栄製品を供給しないことを指示している。
 次いで,前記指示の徹底を図るため昭栄は,同月20日以降,同社
の支店,営業所ごとに代理店の実務担当者を招集して逐次開催した
会合において,代理店に対し,昭栄製品を値引き限度価格を下回る
価格で販売する小売業者及びこれに昭栄製品を供給する二次卸売業
者のリストを示して,当該小売業者の販売価格を値引き限度価格ま
での価格に改めさせることができない場合には,当該小売業者又は
二次卸売業者に昭栄製品を納入した代理店に対して出荷停止の措置
を講ずる旨を警告した。
(イ)  昭栄は,前期(ア)の指示の実効を確保するため
 昭栄製品について値引き限度価格を下回る価格で販売している
小売業者に対し,自ら又は代理店をして,値引き限度価格までの
価格に改めさせること
 昭栄製品について値引き限度価格を下回る価格で販売している
小売業者に同製品を供給した代理店を調査し,当該代理店に対し
て出荷を停止すること
等の措置を講じている。
(ウ)  本件について,当委員会が審査を開始したところ,昭栄は,平成
5年3月1日に開催した管財人,管財人代理及び管財人補佐で構成
する会議において,前記(イ)の行為を,今後,取りやめる旨の決定を
行った。
排除措置
 昭栄に対して,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  昭栄製品の販売に関し,小売業者に同社の定めたメーカー希望小
売価格の10パーセント引きの価格を下回る価格で販売しないように
させる旨の代理店に対する指示を撤回すること。
(イ)  前記(ア)に基づいて採った措置を昭栄製品の取扱い販売業者及び需
要者に周知徹底させること。
(ウ)  今後,昭栄製品の販売に関し,前記(ア)の行為と同様の行為によ
り,小売業者の販売価格を制限しないこと。
(5) ラジオメータートレーディング(株)に対する件(平成5年(勧)第16
号)
関 係 人
違反事実等
(ア)
 ラジオメータートレーディング(株)(以下「トレーディング
社」という。)は,平成3年10月ごろ,東京都中央区所在の輸入
販売業者が,トレーディング社の取引先販売業者に対し,並行輸
入試薬を,トレーディング社が取引先販売業者に販売している価
格(以下「卸売価格」という。)より低い価格で販売する旨の申
出をしていることを知ったが,同輸入販売業者による並行輸入試
薬の販売量は少ないものとみられたことから,特段の措置を講じ
なかった。
 トレーディング社は,平成4年5月ごろ,東京都新宿区所在の
輸入販売業者が,トレーディング社が供給する試薬の販売業者を
通じて並行輸入試薬を卸売価格より低い価格で需要者に供給して
いることを知り,また,同年7月ごろに至って,並行輸入試薬の
販売量が当初の予想より多いものであることが明らかになったこ
とから,これを放置すると自社の収益が損なわれることを懸念
し,これに対処するため,同年7月以降,逐次,取引先販売業者
に対し,
(a)  並行輸入試薬を取り扱わないよう要請する
(b)  前期要請に応じない場合は,試薬の供給の停止及び並行輸入
試薬が用いられたメディカル社製の血液ガス分析装置の保守管
理の中止を含む対応をする
旨を文書で通知した。
(イ)  前記通知により,トレーディング社の取引先販売業者は,並行輸
入試薬の販売を中止するなどしている。
排除措置
 トレーディング社に対して,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  平成4年7月下旬以降取引先販売業者に対して行った,並行輸入
試薬を取り扱わないよう要請し,これに応じない場合は同社の販売
する試薬の供給の停止等の対応をする旨の通知を撤回すること。
(イ)  次の事項を取引先販売業者及び並行輸入試案を取り扱う輸入販売
業者に周知徹底させること。
 前記(ア)に基づいて採った措置
 今後,前記(ア)の通知と同様の行為を行わない旨